雪国は冬になると色んなものが縛られる。
「そんなの知ってるよ、雪囲いだろ」なんてつれないことを言わないでほしい。確かに街路樹などは縛られるものの代表だが、実は他にも縛られるものは多いんだから。
今回はそんな縛られものを探していきたいと思います。ちなみに雪囲いとは雪から樹木を守るためにするものです。右みたいなの。
(text by 小柳健次郎)
オーソドックスな雪囲い
色々な物が縛られると言っても、やはり外せないのは木の雪囲いである。
まずはその基本形から。
この雪囲い方式は荒縄と竹で繕った、もっともオーソドックスと思われるもの。
だいたいは写真のように無難なのが多いが、作り手の性格や家庭環境がにじみ出てくるものもある。こんなのとか。
左はとんがりコーンのように完璧な造形だ。しかし右のはビックリするぐらいのあり合わせ。
しかもどんなに見たって、囲むべき樹木が見あたらない。ひょっとしてあの板か。
なかにはこんな、木が細すぎてどっちが囲いだか分からないものもある。
皮被りな雪囲い
次に一般的だと思うのが、皮を被ったやつである。
この場合の皮とは、先端部分をワラなどで覆ったもののことで、私が個人的にそう呼んでいるだけだから人前では使わない方が良い。
右写真、赤く枯れた木だけ雪囲いされてない。
歳をとった木が囲われないのは姥捨て山みたいで悲しい。が、この場合は歳をとって皮がなくなったということなのだから、至極真っ当で悲しむことはないと思う。
芽隠し囲い
3番目に多いのが、ほぼ全体をワラで覆ったもの。俗に言う「芽隠しプレイ」である。
この形は個性的なものが多く、人が住めるような物もあれば、木がとても苦しそうな物もある。
普通の観葉植物として生きるより、これで一生オブジェとして生きていくのも悪くないと思うよ。
ところで、他にも兼六園で有名な雪吊りや、紐で結んだだけの物などがあるが、さすがに長くなるので割愛しておきます。
公園の縛られな奴ら
ここからは街路樹以外の縛られを探していこう。まずは公園で見つけたもの。
水飲み場の風貌はまるで傘子地蔵のようだ。
昔話のように笠を被せてしまうと家の前に水飲み場が大集合してエライ目にあうから、気を付けなければいけない。
おそらく看板と思われるものはどうも縛る理由がよく分からないが、きっととんでもなく卑猥なことが書かれていると想像される。青少年のためにも縛る必要があるのだろう。
隣の蛇口がないのは凍結防止のためだろうか。冬の公園は水が全面ストップするので、当然お小水をしてはいけない。いわんや大をや。
というかこれ、縛りとか全然関係ない。
街の中の縛られ
その他、街をとぼとぼ歩いてたら見つけたM物件です。
左のは全く中身が想像つかない。間違いの少ないことを言うと、キャベツではないと思う。
街の中では二つしか見つかりませんでした。それが人生ってもんです。
縛られ動物園
とりあえず動物園に来た。
いきなり場所が飛躍したが、縛られものはフリーダムでボーダーレスなので気にしないでください。
中身が確認できないので推測するしかないが、今までにない縛られもので満足だ。
ただ背景にCGを使ったテレビ番組なんかだと、これらが全部消えてしまうので要注意です。
チンパンジーも縛られていた。
なんとなく人類の進化の歴史を感じた。
縛られることで目覚めるもの
中には縛られて別のものに見えるものもある。
公共性を考慮するとあまりコメントしたくないが、しかし痛そう。すごく痛そう。
ついでに言うと、これの主はご老人である。
包装遊園地
縛られものとは微妙に違うんですが、なんか全体的に遊園地が包装されてたので紹介します。
冬に動かせないのは仕方ないが、個人的にはこの状態で稼働してたら面白いなぁと思う。
ぜったい楽しくない観覧車
遊園地内をさらに進むと、なんか青い観覧車があった。
これも雪対策だろうか。ゴンドラの一つ一つがすっぽり気持ちよく包まれている。きっとゴンドラ用のそういうのがあるのだろう。世界ってすごい。
ところで、よみうりランドにはカップルの諸業務用にカーテン付き観覧車があるらしい。
しかしこっちはオール包装。諸業務どころではない。
でもどうせならこっちに載せたい。360度ぜんぶ闇。
縛られものを探すのはたいへん得がある行為。
縛られものを集めて分かったことがある。それはお地蔵さまであるということだ。
あるときは傘子地蔵のようにワラを被り、またあるときは紙張り地蔵みたいに包装され、そして縛られ地蔵のように縛られる。まさしく地蔵菩薩そのもの。
そんな縛られものたち、きっとこれからも我々の生活を雪から守ってくれることだろう。