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はっけんの水曜日
 
花てぬぐいを作ろう

(text by 大塚 幸代



↑やっぱりこういう作業は、お菓子を食べながら。

「『クウネル』みたいなことが、したいんじゃー!!」
あんまり記憶にないのですが、お酒を飲みながら、私はそんなことを、口走っていたらしいのです。
雑誌、クウネル。皆さん、ご存じでしょうか。手作り、ロハス、清貧をテーマに、世界中の長く使える雑貨や家具、人の暮らしぶりを伝える、うつくしいビジュアルの本。
そりゃまぶしいのです。現役少女も、元少女も、萌え萌えになる要素がいっぱい。
……でも。私はあんな暮らしは出来ません。手間ひまかけた料理を、毎食手作りなんか出来ないし、保存食を作れる自信もない。写真にうつってる、青い空をした異国の片田舎にも行ってみたいけれど、そんな旅費の予算はナッシング。どっしりとした木の、注文家具のダイニングテーブルも欲しいけれど、ケタ違いのお値段に目眩グラグラ。
「そんなお金かけなくっても、クウネルっぽいこと、出来るでしょう!?」
と、一緒に飲んでた、友人・ニシさん。
「そうかな〜、ほら、クウネルって自分のお弁当を自慢するコーナーあるじゃん? あそこ、ほとんどの人が雑穀米じゃん? 雑穀って高いじゃん? あんまり高いから、私は思わず押し麦とか入れて、これでよし! とか自分を誤摩化してるくらいだし……」
「……麦ゴハンじゃあ、刑務所のゴハンと一緒じゃないですかあ! 雑穀ぐらい、買いたきゃ買いましょうよ、そのくらいのお金はあるでしょう?」
「いいの、もう、少女時代、パンクロックとか好きで、正面きって少女っぽいことやるのにテレがあって……少女っぽいことやんなかったツケが、今頃まわってきてるんだと思うの……」
「今からやればいいじゃないですか、少女には戻れなくても、少女っぽいことなんか、幾らでも出来ますよ。……なんかこう、てっとりばやく、やりたいことってないですか?」
「……花ふきん」
「……は?」
「花ふきん作りたい……」
「何ですか、それ」
「さらしを縫って、フキン作るやつ」
「それ、簡単なんですか?」
「サラシ、縫うだけだから……」
「ああ、じゃあソレやりましょ! 一緒にやりますよ、ソレ! はいソレ決定!」

というわけで

サラシ、買ってまいりました。10.2メートル1000円。普通の洋裁店で売ってました。

あと、糸。サラシには木綿の糸がいいらしいのですが、なんだかよくわからないので、いろんな種類を買ってしまいましたよ。まあ縫えればいいんだ、縫えれば。


まず、サラシを切ります。2枚重ねで縫うので、2枚ぶん。
サラシの幅は33センチなんですが、フキンの大きさは正方形でも、長方形でもいいらしいので、そのへんは好みで、テキトーにちょん切るべし。

サラシは、上下のハシはしまつしなくても良いようになってるので、切った部分だけ1センチ中に折り込んで、しまつすることにしました。待ち針なんかするの、超ひさびさ。



で、基本の和モノ柄の参考資料や、自分でむかーし作ったスクラップブック(!)なんかながめて、図案決め。



本来、図案を紙に書いてから、チャコペーパー(布のためのカーボン紙みたいなやつです)でうつすんですが、

今回は勢いで、フリーハンドで書いてしまいました。伝統の柄をアレンジ。

「私、不器用だから、ものすごく簡単な柄にします!」とニシさん。人んちのベッドの上から書いてるとこがスゴイ。

これを、刺繍糸の1本どりで、がっつんがっつん、縫ってみました。

まずはハシをぬいます。


縫ってる間、ヒマだったので、「おやじしりとり」をすることに。

解説、おやじしりとりとは?:ジャンプするおやじ/じっとしているおやじ/ジーパンをはくおやじ、など、必ず「おやじ」で終わらせて、次は「じ」で始まる言葉ではじめるというしりとり。「おやじ」の部分は、別の固有名詞に置き換えても可。
今回は、「もこみちしりとり」にしました。

「ち……チンゲンサイが苦手なもこみち」
「チョロQで遊ぶもこみち」
「千葉を一周するもこみち」
「チャットで禁止されるもこみち」
「ちーかまを、手でむけないもこみち」
「チップスターをひとりで食ったもこみち」
「地理にうといもこみち」
「チェッカーズが得意なもこみち」
「チャゲ&飛鳥だったらチャゲ役なもこみち」

「………できたー!」
「はや!」

「バンザイ!」


ニシさんの1作め、完成。

私もしつこく、チクチクぬっていきます。

おお、それっぽいやんけ!


手のひらがら、なんてのも作りました。

それっぽいよね!?

めざせハードコア乙女

作り終えたあと、ニシさんとまとめた意見。

  • これ、着るものとかじゃないし、家で使うものだから、自己満足で済むからいいなあ。
  • 縫い物してると、修行モードにはいるなあ。写経してるような。
  • でも、これを趣味としてやるのは、本当に好きじゃないと出来ないなあ。

ほんとに「刺し子」を趣味にしてる人から見たら、「なんじゃこりゃー」なものなのかもしれないですが……。
本来、要らない布を補強して、使える雑貨に改造したものが「花ぶきん」なのだそうなので、大胆に、おおらかに、アリモノの布を、アリモノの糸で、縫っちゃっていいような気がしました。

クウネルみたいなことがしたいぜ。
あどけない少女みたいに、美しく、ありえなく生きたいぜ。
たとえ一生無理だとしてもな!!


 
 
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