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ロマンの木曜日
 
セキセイインコ時計
え。ぼくリストラ?


鳩時計はロマンチック。
鳥がさえずり時を知らせてくれるなんて、どう考えても夢のある人が考えたに違いないです。

17世紀のドイツでうまれたこのカラクリ時計。英語ではCuckoo Clockといいますが、え。鳩ではなくて実はカッコウなんですね。日本名では閑古鳥。これでは縁起が良くないことから、我が国では「鳩時計」と呼ばれているのです。

ならば鶴でも鴨でもカラスでも、ハシビロコウだっていいような気がします。

個人的にはカラスかハシビロコウがいいと思いますが、そうだ、手近なところでセキセイインコなんていいかもしれません。大きさだってジャストサイズだと思います。

「3時ー!3時ー!3時ー!」と言葉を覚えさせればさらに一石二鳥ではないでしょうか。

(text by 土屋 遊



鳩時計はなんと鳴けばいいのか

じっさいはカッコー時計。なのに鳩時計。

ああそういえば、友人宅の鳩時計は、たしかにハトらしきビジュアルで「カッコーカッコー」と鳴いています。これはいけません。

鳩時計と断言するのであれば、あくまでもハトらしく鳴いていただきたいものです。

それにしても。
旧友らとハトの鳴き声談義をしたのですが、怪しい意見ばかりがでてくるのです。(のちにドバトとキジバトの違いを知ります)

私は「ホーホホーホホー」。ほかに「クェッククェッククェック」「クルックークルックー」「ポッポッー」の意見がでましたが、動物的直感に冴えた幼稚園児が「ホッカイローホッカイロー」と言い出したので、一番ちかい私の主張が認められました。

それにしても、カラスが「カーカー」と認識されているのに比べ、ハトの鳴き声のなんとバリエーションの豊富なことでしょう。

これではたしかに、ある小説のくだり(注1)に戸惑う人がでてもおかしくないなあ、と納得した次第です。

注釈:1
「女は鳩の泣くような声を漏らし、行為が終わった後女は男に背を向けてさっさと眠りについた」

え。ホッカイロー?

早くここから出しなさいよ。とどこまでも高飛車なピーちゃん

猛犬ならぬ猛インコのボディーガード

いくら夢とロマンの鳩時計といえども、私たちは動物愛護一派ですので、むりやりインコを鳩時計にするわけではありません。

その日も、セキセイインコのピーちゃんがいる友人伊藤さん宅に旧友が集っていました。
「イナバウアーしてどれくらい下(のほう)が見えるか」
と、皆でのけぞっては私が一番、私なんか床が見える!いやワ、タシ……などと競っていて、じっさいは鳩時計どころではありませんでした。

皆でモメている最中、負けを確信したのでしょう、伊藤さんがいきなり鳥カゴのなかのピーちゃんに話しかけました。
「なあにー?お外(カゴの外)に出たいのー?」

ピーちゃんは稀に見るデンジャラスなインコで、伊藤さん以外には家族にさえも噛みまくるという凶暴な性格。伊藤さんの発言は、私たちに対する脅迫行為といってもいいでしょう。しかもピーちゃん、カゴの中でなにやらヒステリックになっていました。入り口の柵を、狂ったように噛みまくりビーッ!ギャーッ!と鳴いています。イナバウアーにうつつを抜かされ、自分が注目されないことにご立腹だったのです。


ごきげんなピー
もうでてくんなよ

カゴから出すと、友人の肩にとまりいつものように即糞しました。
「早く出せって言ってんでしょ!」
と、おそらく腹いせのつもりでしょう。いつもこれです。

次のターゲットは私でした。
肩にとまられ、カラダを硬直させた私をあざわらうかのようにジリジリと耳もとににじり寄るピーちゃん。(耳たぶ噛みが得意ワザです)そしてさんざん嫌がらせをしたあと、お気に入りの場所、ナイキのバッグに飛び移りました。

よかった……バッグさまさまです。もう二度とナイキに足を向けては寝られない、そんな感謝の念が湧いてきます。

その後は、お気に入りのうわばきにとまったり、気まぐれに人を脅したりして満足したのでしょう、鴨居に落ちついたピーちゃんが徐々に時計に近づいていくように見えました。

 

 

 
時間がちがうのは気にしないでください。つまり、こんな流れです。

 

 

ふーふふーふふーん
んしょんしょ
なによこれ!ジャマよ!
お尻から入れるかしら
あ!こいつね!いつもうるさいのは!
ナマイキね!焼鳥にしちゃうわヨ!

 

偽ハトと格闘するピーちゃん

まるで私たちの視線を集めるかのように、この日はじめて、ピーちゃんは鳩時計に興味を示しました。イナバウアーの色香にヤられたとみました。

「時計に入ったらさーインコ時計だよねーギャハハハー」
「あそこから顔出したら最高じゃない?ねえー鳥小屋にしちゃいなよ、ガハハ」
「ダハハー時間がきたら『03-5○○○-○○○4』(下記参照)とか言い出したらウケるー」
「ウケるうーー!」

中年女の下品な笑いが哀しくこだましていました。

 

迷子になったときのため、今なお必死に電話番号を特訓中の伊藤さんとピー
『03-5○○○-○○○4』
伊藤さんの声がインコみたいでコワい。
(ちなみにいまだに覚えていません)

 

 
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