子どもが喜ぶレンジアップ
思いついたのは、子どもが喜ぶような温めだ。
お弁当用品などで子どもを喜ばせるような商品はたくさんある。カラフルなバレンやら、キャラクターのイラストつきのラップに小分け用アルミホイル、エトセトラ、エトセトラ。
料理、主にお弁当の世界で“子ども”をターゲットにするのは定石なのだ。われわれも打って出よう。というわけで、こんな電子レンジ真空パックはどうだろう。
冷ご飯を温めるとき…
と、いつも通り密着しましたね。実はこれの反対側には……
わあい、コンニチハー!
そうなのだ! かぶせるラップに顔を書いてみた。レンジで温めることで何かキャラクター風のものが盛り上がって出現したぞ。
どうだろう、子ども、喜ぶのではないか。狂喜しちゃうんじゃないか?? ご飯いっぱい食べちゃうんじゃないか。
食べるときにはラップははがさねばならないが、お弁当としてご飯を持っていく場合、お弁当箱に詰め替えずこのままラップにくるめば……。
わあい、ご飯だよー!
なんと、キャラクター風のご飯ができた。すごいぞ、真空パック。
と、私も絵のように にこにこ していたのだが、気づいた。
別にレンジにかけなくても、絵を書いたラップでご飯をくるめばよいのではないかと。
(しかも、いろいろ試したところ、油性ペンの一部は薄手のラップを溶かしてしまう性質があり、加熱することで食品にインクが移ったりする場合があることが分かった。何やら有害そうだ。むしろお子さんをお持ちの方はなさらない方がよいと思われる。がーん。)
ああ
真空パックは大人の趣味のままなのか
だめだ。やっぱり電子レンジ真空パックは、てらわずに偶然そうなってしまったときに愛でるという趣味でしかありえないのか。
何か役に立つこと、便利なことに使えないか。使えないのか。そうやってまた考えあぐねていたある日。以前ジャガイモをレンジにかけて柔らかく下準備しようとしていて大失敗したときの写真が出てきた。
小さいジャガイモを長時間レンジにかけすぎた
ちょっとどうかと思うぐらいレンジにかけすぎてしまい、ジャガイモが小さくしわしわになってしまっている。この頃はまだ900Wの感覚がうまくつかめていなかったのだ。
そうして、この写真をよく見ているうちに、なんとなく「山っぽいなあ」と思ったのだ。
瞬間ひらめいた。
そうだ、山だ
山を作ってみてはどうだろうか。
山の形にジャガイモを切って
富士山ができた
年のはじめにおめでたい
山にしたじゃがいもは、レンジアップ時間が足りずまだ固かった。もういちどレンジにかけて、また富士山になって、竹串を通したらすっと通ったので富士山をはずして食べた。
とても美味しかったです。
何をやっていたんだろうと思う。
私は電子レンジにかけた物の真空ぶりをこれまで楽しく眺めていたのだが、何かを愛でるということは便利、役立つということとは違う場所にあるのだろう。
電子レンジで物を温めるのは日常的で私にとって必要なことだ。そんな必要不可欠な行為のなかに愛でる対象を見つけたことだけでよしとしなければならないのに、ちょっと欲張りすぎたようだ。
でも富士山はうまくできたと思う。うまくできたと思うよ。
朝の屋上は気持ちよかった