五右衛門風呂を沸かそう
宿に荷物を置いて、また四万十川に戻って遊んで、日が暮れたので宿に戻ってきた。
川遊びで冷え切った体を温めるために、早速お風呂の準備をする。もちろん蛇口を捻ればガス給湯器からの熱いお湯もでるんだけれど、ここはせっかくなので五右衛門風呂にチャレンジだ。
鉄製の風呂釜にジャブジャブと水を溜めたら、裏に廻って火を熾す。
薪で風呂を沸かすというと、昔見た「北の国から」で、ジュン君がうまく火をつけられずに父親に怒らるというイメージがあるのだが、私にできるのだろうか。
とりあえず、チェックインの時に管理人さんに習ったように、新聞紙、小枝の束、細めの薪、太い薪の順に積み上げる。
マッチを擦って火をつけ、新聞紙に点火。
あ、もう燃えた。
ここ数日の晴天で薪が乾いていたのがよかったのか、マッチ一本であっさりと火がついた。
私が学生時代に住んでいたアパートのバランス釜より全然火付きがいい。
すごいぞ五右衛門風呂。
なんだ、風呂沸かし、楽しいじゃないか。
真冬の北海道で沸かせる自信はないけれど、秋の高知だったら全然余裕。個人的には古民家における共同生活の中で一番楽しい仕事だ。
別に火を見守っている必要もないんだけれど、ついボーッと火を見てしまう。
風呂を沸かすのに、いったいどれくらいの量の薪が必要なんだろうと思っていたのだが、薪を追加したのはたった一回だけだった。
わずか5本の薪で風呂釜一杯のお湯が沸いてしまった。思っていた以上に全然熱効率がいい。凄いぞ五右衛門。
五右衛門風呂に入ろう
風呂が沸いたら、まず風呂釜の外でジャブジャブと体を洗って汚れを落とす。
風呂の蓋を開け、お湯をよくかき混ぜて温度を確かめたら、風呂釜に落とし蓋みたいな木の板を浮かべて、それを踏みつけながら風呂に入る。
木の板にけっこうな浮力があって、なかなかバランスが難しくてひっくり返りそうになる。
この板を忘れると、薪の火で熱せられた風呂釜の底で、アチーッと火傷をして、「さすが五右衛門風呂だな」と唸ることになるらしい。
五右衛門風呂、すごい気持ちいい。
薪の遠赤外線効果か、体の芯までホカホカしてくる。
そして水の質がいいからだろうか、風呂のお湯がとても柔らかい。
14時間も車に揺られてきて、疲れ切った体に五右衛門風呂、最高。
無意識に、「う〜、極楽〜、極楽〜」とつぶやいてしまった。
なんだか初めてきたところなのに、昔からここに住んでるような気がしてきた。
囲炉裏で晩ご飯
風呂にゆっくりと入っている間に、もう夕飯が用意されていた。
せっかく囲炉裏があるのだから、難しい料理を作る必要はないだろうと、野菜直売所で買った地元の野菜を中心に、スーパーで買った太刀魚やじゃこ天、管理人さんにもらった四万十川の特大テナガエビなどを、ただ炭火で焼く。
いっぱい食べて、いっぱい飲んで、気がついたら寝ていた。