ヘリウム風船にカメラをつけて飛ばしたい。そして鳥になった視点から町の写真を撮るのだ。
ちょっと視点が上がっただけで風景はだいぶ変わる。幼い頃、母親の背中から見える世界の違いに驚いたときのように、こんどは鳥の視点を体験してみたい。
夢っぽいことを言っちゃってますが、たまにはいいでしょ。
(text by 三土たつお)
本当に浮くのか
夢の実現のためには、まずは地道な調査が必要だ。カメラ一台を浮かせるためにはいったいどれくらいの風船が必要になるのか。
量ってみると、ぼくがふだん撮影につかっているカメラの重さは約160gだった。
まずはヘリウム風船を1つふくらませてみて、その浮力を調べてみることにしよう。
ヘリウムを調達
風船の専門店へ行き、ヘリウムのボンベを買ってきた。中ぐらいの大きさの風船20個分で約1万円。決して安くない。
ヘリウムを入れると、風船が浮いた。
こう書くとあたりまえだけど、でも空中でものが浮くというのはやっぱり不思議なことだ。
たとえばものをさがそうとして手を離すと、風船が天井にのぼってしまってあわてる。こんなこと普通ない。ジュースを一口飲んでテーブルに置いたら、ジュースが浮いてしまった、というようなものだ。
いや、違うか。
風船1つぶんの浮力は
風船のひもの先に1円玉と10円玉をいくつか結び付けて、つりあう重さをさがすと、ちょうど14円で浮きも沈みもしなくなった。
1円玉は1g、10円玉は約4.5gなので、このヘリウム風船の浮力は約10gといったところのようだ。
浮かせたいカメラの重さは160gだったから、つまり風船16個でちょうどつりあうことになる。保険のために20個もふくらませれば十分だろう。
もくもくと作る
目安がついたので、あとは風船を量産していく。
ガスはボンベからシューシュー入ってくれるので、風船をふくらませること自体には時間はかからない。
ただ、手先がたいそう不器用なので、風船の口をしばり、ひもをむすぶだけで3分くらいかかってしまう。20個とすると約1時間だ。
ふくらましている間、こちらでお待ちください。
ぜんぶ膨らませるにはまだまだ時間がかかる。
できあがるまでの間、ヘリウム風船を使ったアイデア商品の紹介でちょっとだけお待ちください。