バナナは日本人が一番たくさん食べている果物らしい。うまいもんね、バナナ。そういえば沖縄にはちょっと小ぶりの島バナナ(沖縄バナナと呼ばれたりもする)というバナナがあって、高いんだけど甘酸っぱくてとにかくうまいのだ。僕は沖縄に来るまでバナナはデルモンテ一種類だと思っていたので(もちろんデルモンテはバナナの種類ではない)島バナナの存在には驚いた。もしかしたら僕が知らないだけでもっと他にもうまいバナナがあるんじゃないか。たくさんバナナが生えている場所があるというので行ってきました。
(安藤 昌教)
それはナハバナナ園です
世界のバナナ、と書かれた巨大なハウス、これが今回お世話になるナハバナナ園だ。ナハバナナ園というのは名称で、実は那覇にはない(隣の豊見城市という所にあります)。
この日はでっかい台風が接近していたので、ハウスのバナナ園は休みなんじゃないかと思っていた。実際入り口まで行ってもやっぱり誰もいないし、中の明かりも消えていた。
あきらめ半分覗いてみると、おじさんが一人いた。パナマ帽のそのおじさんは言う「バイトの女の子が台風で出てこれなくてね、ジュースとか出せないけど、バナナ見るだけならいいよ、どうぞどうぞ。」と。どうやらこの方が責任者の方らしい。いま汚い格好しているので写真撮らないでな、と言われたがせっかくなので撮っておきました。
お客は案の定というか当然というか僕らだけだった。たぶんおじさんも風雨がひどくなる前に家に帰りたかったに違いない。なのにとても丁寧に説明をしてくれました。ありがとうございました。
おじさんによると、世界中には約230種のバナナがあるらしい。そのうちの80種がこのバナナ園にある。80種の中で今食べられる実をつけているのが20種類ほど。
おじさんの説明は非常に熱いもので、「このバナナの苗は豊見城の大城さんのとこのやつで、彼の家では今年100本採れたらしい。」とか非常に具体的なことを言ってくる。園内で結実したバナナはあとで試食させてもらえるとのこと。はたしてこのなかにうまいバナナはあるのだろうか。
珍しいバナナがたくさんあります
このバナナ園の中でも特に珍しいのがこの合掌バナナという種。バナナの実がペアになっていて、合わさったその姿が合掌している手のように見えるのだ。うまいんですか、と聞くと「うまくはない」と言われしまった。主に観賞用らしい。
隠れた部分に工夫が見られます
「あのフックは世界でうちだけだと思うよ。」
おじさんの指差す先には天井から小さなS字フックがぶら下がっていた。いったい何をするためのものなのだろうか。
「バナナはね、実が大きくなってくると枝がたわむでしょう。そうすると茎が圧迫されてそこで成長が止まっちゃうの。だけどフックで天井から吊るしてやれば、栄養が止まらずに大きく成長するんですよ。」
なるほど納得。愛情を注がれて育ったバナナだ、さぞうまいに違いない。そろそろ試食してみませんか。