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はっけんの水曜日
 
うまいバナナを求めて

すごく若い。

やっぱり社長でした

園内を一周して帰ってくると、さっきのおじさんはバナナ園の制服に着替えていた。頂いた名刺によるとこの方、バナナ園の園主の飯塚さん。勝手におじさんとか言っていたのだが、実は71歳とのこと。なんだこの若々しさ。バナナを毎日食べているからだろうか。


現在バナナ園で結実している苗は20から30種。3月くらいになればほぼ全種が実をつけるようになるらしい。

「昨日までモンキーバナナが食べごろだったんだけどね。」

飯塚さんは吊るしてあったバナナを数種類切り取ってきてくれた。

しかし真っ黒ですが
「バナナはね、このくらいちゃんと熟した状態が一番うまいの。」

そうなんですか。スーパーに売られているやつもこのくらいまで待った方がいいんですか
「いや、あれはね、青いうちに収穫してきてるからね、だから待ってもそれほど甘くはならないよ。」

なんでも輸入物のバナナは輸送され店頭に並べられてから黄色くなるように、まだかなり青いうちに収穫されるのだという。こういうバナナは糖分へと変化する栄養素が実に蓄えられていないので、黒くなるまで待ってもさほど糖度が増さないらしい。ここバナナ園では、フックで吊ってまで完熟させてから収穫しているので当然甘くなる。

 

各バナナに区別がつくよう名前を書いてくれた。
達筆だ。
皮は真っ黒でも中身は新鮮でした。

この日食べごろを迎えて、試食できたバナナは以下。

  • モンキーバナナ
  • スクエアバナナ
  • トンソクバナナ
  • イシバナナ
  • ミャンマーバナナ
  • 銀バナナ

どのバナナが一番おいしいんですか、と飯塚さんに聞いてみたところ、好みだね、とあっさり言われてしまった。どれにも甘みと酸味、それから香りのバランスにそれぞれの個性があるのだとか。深いぞバナナ道。

 

園主、バナナを語る。

飯塚さん

飯塚さんは建設会社に勤務していた20数年前、仕事で沖縄に橋を建設しに来たことがあるらしい。で、その時食べた島バナナのおいしさに魅せられてしまった。

「こんなうまいバナナがあったんだ、ってびっくりしたね。それまでスーパーでしか買ったことがなかったからさ。」

その後バナナのことで頭がいっぱいになってしまった飯塚さんは、アジア諸国を渡り歩き、バナナを食べ歩いた。そこで世界にはさらにうまいバナナがあることを知ってしまったのだ。

建築資材でできています。

「それで建設会社辞めて、沖縄でこのハウスを作ったのさ。建設資材使って作ってるハウスなんてうちだけじゃないかな。」

確かによく見るとここは普通のハウスじゃない。この日は台風が接近していて、ずいぶん風が強かったのだけど、このハウスはびくともしなかった。なんでも風速70メートルまでなら耐えられるらしい。本気だ。

「沖縄の人はとにかく島バナナが一番うまいって言うけどね、僕に言わせたら世の中にはもっとうまいバナナがたくさんあるんだよ。」

 

とにかくうまかったです

で、その飯塚さんが作ったバナナだ。試食させてもらったバナナは正直びっくりするほどおいしかった。どれもまさに完熟という文字がふさわしい状態で、普段食べているバナナの青臭さがまったくないのだ。そして思いっきり甘い。なんと糖度29度のものもあるのだとか。ちなみに僕が世界一甘いと思っていた果物、マンゴーが糖度15度くらいというからそのすごさがわかるだろう。とにかくうまい。

日本ではどうしてもバナナは輸入物が中心となってしまう。スーパーに売られているバナナだってもちろんうまいんだけど、飯塚さんのハウスでは現地の人が食べている本当にうまい(もしくはそれよりうまい)バナナを食べることができるのでした。

うまいっすね、と褒めるとどんどん切ってくれます。

ナハバナナ園

沖縄県豊見城市伊良波603−2
電話098−856−6626


 

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