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土曜ワイド工場
 
あのクラゲを食べたい

自らの水分に浮かぶクラゲ達

クラゲの仕込み二日目の朝。塩漬けにしていたビニール袋をのぞき込むと、塩の浸透圧で絞り出された自らの水分(仮にクラゲウォーターと呼ぼう)の中でプカプカと浮かぶ、二回り程小さくなったクラゲが!

水を抜かれたクラゲ、昨日までのプヨプニョした頼りないゼリー状から、アロエ状、あるいはナタデココ状とでもいうべきしっかりとした質感に変わっている。よし、この調子ならどうにか食べられるクラゲになりそうだ。

このクラゲをみた友人(男)は、「ヌーブラみたい」と喜んでいた。ヌーブラか、確かに。そう思うとなんとなくありがたい気がする。わーい。


クラゲウォーターがたくさん溜まったよ。 ヌーブラ風。肌にいいんだか悪いんだか。

 

ストイックなまでに水分を抜き続ける

この状態だと、理論上まだ20%〜30%の水分が残っているらしいので、クラゲをザルにとり、クラゲウォーターに沈殿していた塩と混ぜ合わせてさらに4〜6時間水切りする

「熱」や「圧力」には頼らず、「塩分」だけで水分を絞り出すところがストイックでカッコイイ。研究者のこだわりを感じさせる工程だ。


だいぶ水分が抜けたが、もう少し抜きたい。1人で食べきれるくらいまでに。

結局、下準備に時間がかかりすぎてしまったため、クラゲ料理を友人宅で食べるところまで至らず、クーラーボックスに大事に詰めての帰宅となった。そうか、これを1人で食べることになったか。溜め息ってこんなときのために存在するんだろうな。

ふぅ。

自宅に帰り、クラゲをチェックしたのだが、まだ水分が抜け切れていないので、さらに塩を追加し、冷蔵庫に入れて一晩寝かせる。クラゲったら思っていた以上スローフード。

 

三日目にして下処理がようやく終了

クラゲ三日目、ようやくクラゲの水分量が納得のいく感じになった。水の抜かれたクラゲ、見た目と感触が、「通好みな白身魚の刺身」みたいだ。さすが英語で jellyfish と名乗るだけはあるな。うっかりポン酢で食べそうになるも、未だに残る海の匂いでどうにか思いとどまる。

この状態で重さを量ったら、実に185グラムまで絞られていた。元々が2キロ強だったので、大分県海洋水産研究センター 企画・海洋資源利用部の研究通り、約7〜8%となったのがとてもうれしい。クラゲの脱水、大成功だ。


すっかり水分が抜けたクラゲ。 185グラムまでに減量成功。イエイ。

クラゲなのに白身魚っぽい。 ポン酢で食べたら美味しいのではと思った。今でも思う。

 

塩蔵ミズクラゲ完成!

これにて憧れの塩蔵ミズクラゲが完成である。三日に渡るクラゲ加工、いやあ長かった。頑張った自分に甘いものを与えて褒めてあげたい。角砂糖とか。

いや違う。まだ終わっていない。私はクラゲが食べたかった訳で、塩蔵ミズクラゲを作りたかったのではなかったはずだ。確か。ここで満足しては水分を抜かれたクラゲに申し訳が立たない。

料理だ料理、料理してクラゲを食べるのだ。


 

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