人間の汚れた手
その手とは、ICレコーダーである。いきなり蓄音機から逸脱である。
というのも、言い訳をすれば、蓄音機で録音した声は、雑音の入り方がレトロなのはいいがちょっとボリュームが小さく、ジョンもこれがまさかご主人の声とは思うまいという質だったのだ。
なので、アナログからデジタルに切替えである。再びご主人様に声を入れてもらう。
そうだ!そういえば。HMVの場合、「今は亡き」ご主人の声がふと蓄音機から流れてきたからこそ、懐かしさに思わず耳を傾けた・・・って訳で、ならご主人が思いっきり同室にいて団欒を楽しんでいたのでは、なるほど失敗するはずだ。
ならご主人に別室に移ってもらおう。さあ恋しがれ、亡きご主人をさ、ジョン!
こっち見てどうするジョン。カメラ見てどうするジョン。耳をそばだてろ。たれた耳をピンと立ててご主人の声を聞け!
と命令しても始まりません。ここで、より汚い手をご主人が持ち出してきた。
とうとう、エサで釣るわけだ。
情緒より食べ物だった!ジョンには情緒よりエサだ!
・・・。
やはり、事情を知らないジョンには、HMVの忠犬を演じることはできませんでした。そりゃそうだ。
しかしせっかくなのでベストショットを絵画風に仕上げて終わりたいと思います。