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あれ? 具がないんじゃないか!? |
いきなり家族の話で恐縮だが、うちの母はおっちょこちょいである。遠足の昼食にと母が作ってくれたおにぎりには、うっかり具が入っていなかったことがある。
母の手作りおにぎりを食べる機会はすっかりなくなってしまったが、コンビニのおにぎりを食べていて奥のほうにある具までなかなかたどり着かないとき、おっちょこちょいな工場の人が具を入れ忘れたんじゃないか、と不安になることがある。
毎回その不安をよそにひょっこり具が表れるわけだが、もしも本当に具が入っていなかった場合、半分以上まで食べ終わったおにぎりをコンビニに持って行って
「これ、具が入ってないじゃないですか、ホラ」
とクレームをつけても説得力に欠ける。すでに食べてしまった半分以上の中に具が入っていたんじゃいか、と疑われそうだからだ。食べかけのおにぎりをお店に持っていくのも、100円少々の商品で文句を言うのもなんだかかっこ悪いなとか、しなくてもいい心配をしてしまう。
そんな妄想による余分な心配をしていることが小心者っぽいし貧乏人っぽい発想だが、とにかく今回は僕の小さな心配事を助長する、おにぎりの“具なし領域”にスポットを当てます。
(text by 梅田カズヒコ)
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