これが花火大会当日、うかれコンビニの全貌だ。
駅から花火の会場へ続く行列の一部がどんどんコンビニに吸収されていく。こういった土地勘のない見物客が一カ所に大挙するとき、コンビニは「便利なよろづや」としての激務を見事に勤めあげる。人々は会場に向かう前にあらゆる期待やトラブルを想像しながらコンビニで買い物を済ます。そういった意味でコンビニと花火大会は一見対極に位置するもののようだが実は切っても切れない縁だ。2つは太陽と月のような相関性。もちろん花火大会が太陽でコンビニは月。太陽に照らされ、淡く光り出すコンビニを見ていこう。
まず入って圧倒されたのがレジ。急遽用意された5つのレジに9人の店員。それぞれがせわしなく自分の役目を必死にこなしていた。間違いなく今夜は時給アップだ。お店が繁盛してご機嫌の店長から差し入れもありそう。がんばれ、店員さん。
やはり売れ筋はおにぎりなのか通常の何倍ものスペースを埋め尽くして販売されていた。そしてついにスペースが限界に来たのか通常のコンビニでは見られない積まれかたをされていた。あまり見かけない状況に陥っているうめおにぎり。(マウスオンでアップになります)
隙間なく積まれているおにぎりを眺めていると、ハチの巣が六角形なのはそれが一番効率のいい巣の組み立てかただからだという話しをなぜだか思い出した。
こういった些末なイレギュラーに出会えるのが“うかれコンビニ”の醍醐味である。醍醐味だと感じているのは僕だけではないかと少し不安になるが。
人がごった返すコンビニを歩く。店内はカメラをぶら下げた客や携帯の写メールを掲げたお客さんが居る。お台場の花火大会には約60万人の人が集うらしく、そのほとんどが写メールをぱしゃぱしゃ撮っているだろうが、おそらく僕だけが違う対象物を撮っているだろう。
花火大会の楽しみ方の極北に立っている気がした。
総菜コーナーには見慣れない白い容器がたくさん置いてあった。なんだと思って手に取ってみたら(マウスオンで画面が変わります)この正体はからあげでした。片手に収まるサイズで300円。価格のほうもうかれ気味だが、このあたりはお祭りに免じて許してやっていただきたい。 |