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ひらめきの月曜日
 
背景のない一日

普段の生活で見ている風景には、見ているものの後ろに、何らかの景色がある。つまり、背景だ。

この、背景を消してみることはできないだろうか。

画像処理ソフト禁止、リアルに日常、目の前にある景色の背景を白い幕で消す挑戦です。

(text by 古賀及子


日常を写真館の写真みたいにしたい

普段、私たちが目にしている景色には、なにであれいろいろな“背景”が移りこんでいる。


たとえば腕時計を見るときも、後ろにはごちゃごちゃ背景が

今回は、この、背景というものを故意にをなくしてみようと思うのだ。

きっかけは、写真館で撮るような写真を見たときだった。


参考写真

上の写真は以前、木曜ライターの住さんがウェブマスター林さんと企画で写真館で撮影した写真である(「証明写真」より)。

写真館独特の、雰囲気のあるまだらの背景が利いている。

こんなふうに、ごちゃごちゃした生活感のある背景を日常からとりのぞいてみたいのだ。写真館を日常に出張させようというたくらみだ。

“背景を消す”とは

で、実は、最初は上の写真館の背景のような紙なり布を探していたのだがなかなか見つからず、それならいっそ背景を消してしまおうと思ったのである。

背景を、何にもない、真っ白にしたい。そのために、今回は白い模造紙を買ってきた。


これで背景を白くする

写真から背景をなくすのであれば、画像処理ソフトを使って背景を消してしまえばよいわけだが、リアルに背景をなくしていきたいと思う。

目のまえにベロンと白い紙をしいて、いちいち背景を消していく。

と、ここまで読んで、何をやろうとしているか何となくガッテンしていただけたでしょうか。実は私自身も、いまいち背景を消す、ということがどうなることなのか分からず、手探りでの撮影となりました。

まずは、そんな背景を消した写真群をごらんください。


背景のない一日
(別のウィンドウがひらきます)


こうしてまとめて見ると、背景がない日常のあまりの味気なさにびっくりだ。途中に同僚の橋田さんが登場しているものの、世の中に自分しかいない気持ちになる。

だが、丸一日の記録なのに、写真の枚数が少なすぎるうえ、白い背景に影が映っていたり、模造紙が証明の色で照らされてオレンジ色になってしまったり、やや中途半端な写真が多い気がしませんか。

メイキングオブ背景のない一日

正直に言うと、背景に模造紙を広げて撮影、というこの作業がかなり大変だったのだ。

たとえば、「8:15 いってきますー」のときの撮影現場の様子は、こんな感じだ。


べろーんと、模造紙を張って

上の写真のように、撮影は、その時々で白い模造紙を張ったり、立てたりし、背景を本当になくした状態で撮影した。

駅などで一人では模造紙が広げられない場所では、誰かに手伝ってもらって紙を広げるなど、背景を消すどころか、よけいに背景がごちゃごちゃしている。

大きな白い紙を立てなければならない場合は、マイクスタンドに模造紙を張り、片側をやはり誰かに持ってもらった。


背景を白くする装置。矢印の棒はマイクスタンド

この作業がもう、てんやわんやなんである。

一人が模造紙を押さえ、もう一人が撮影、1枚撮影したら、模造紙をマイクスタンドにぐるぐる巻きつけて移動と、 いっぱいいっぱいだ。


1枚撮影したらこのようにスタンドに模造紙を丸めて次の撮影場所へ

さらに、模造紙の大きさが足りずカメラのフレームから完全に背景が消えなかったり、模造紙をつぎはぎしたらその継ぎ目が写真に写りこんだり、どうにも思うようにいかない。


模造紙から背景がはみだしている

この背景を消すべく、後ろに模造紙を広げる!なんか、模造紙の継ぎ目が見えてます

時間が経ってくると模造紙がもうくちゃくちゃに

気持ち的には、野外に写真館を持ち出すたくらみだった今回、やっぱりプロの仕事を手軽にで真似ようというのは難しいということだろうか。

でも、あとで写真を見るときに沸く違和感には変えがたいものがあり、模造紙じゃなくて布にして、あとは人をもっと呼べばなんとかなるか、なんとかもっと垢抜けた方法でリベンジしたいと思っています。

きたるゴールデンウィーク、予定の無い方はぜひ皆さんで背景を消してみるのはいかがでしょうか。


最後ぐらい、意地をはらず画像ソフトで背景消しました(クリックで背景出ます)

 
 

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