どんなに有名な観光地にやって来たとしても、「ああ、そうか、これが凱旋門かあ」という程度の感想しか持てない僕である。
「気圧の谷」に立っても、「そうかあ、ここが気圧の谷かあ」という感想しか浮かんでこない。しかも、「気圧の谷」には名産品もなければお土産も売っていない。
何か記憶に残る事をしよう。
気圧の谷で「がちょん」と叫ぶ。
「がちょん」とは谷啓さんの一発ギャグである。
谷だから。
「気圧の谷」の小高い丘で。
谷だけに。
帰ろ。
気圧の谷で「がちょん」と叫んだ後、東名高速の吉田インターチェンジ付近まで戻り、スーパー銭湯でゆっくりとした。岩盤浴で汗を流し、ご飯を食べて、マッサージを受け、露天風呂に出たら外はすっかり晴れていた。
低気圧は先を急ぐのだ。 低気圧に置いてけぼりをくらって少し焦った。
本当に帰ろ。