イベント終了と高速の片付け
荒川車庫から出発した都電は、大塚駅前で乗客を乗せ、早稲田へ向かい、折り返して三ノ輪橋へ、そしてまた大塚駅前に戻ってきた。別れを惜しむ参加者の皆さんたちはここで下車し、イベントは終了となる。
スタッフを残して全員の下車が確認されたところで「ありがとうございましたー」と、車内のスタッフ3人がホームの参加者に向かってつないだ手を上げた。プシューっとしまる扉。
あれです、まさに芝居の幕が下りるような感じ。都電がまさかドラマチックだった。
さて、そうしていったんは「おつかれさまでしたー」と緊張が緩んだものの、ここからが大変だったのだ。
大塚駅前を発車した都電は再び終点早稲田へ向かう。私は、早稲田からまた荒川車庫に戻るのだとばかり思っていたが「荷物は全部早稲田で下ろします」のだそうだ。
都電の貸切は、下車乗車場所にかかわらず“方向を変えるまで”が片道13,820円となる。スタートの荒川車庫からここまでで3回方向を変えているが、また車庫に戻るとするとさらに方向を変えねばならない(図をご覧ください)。早稲田で降りれば3回分の料金ですむ訳だ。
大塚駅前から早稲田まで約14分。その時間内に機材の片付けと掃除をする。都電は相変わらずゆっくり走るが、車内は超特急だ。
またも私はテキパキとはたらく皆さんの間でおろおろするばかり。ゴミを拾う真似などをしてお茶を濁している間にすべての機材は片付き、車内はゴミ一つない貸切ビフォア状態に戻されたのだった。
あっけない、あまりにあっけなすぎる別れ
早稲田駅につくとまた大急ぎで荷物を降ろす。すべて降ろされたところで運転手さんにお礼を言うと、スタッフは全員ここで下車。私も降りた。
ん……? 終わり……?
「この後車庫へ行って何かしたりするんですか?」聞くと、スタッフの皆さんは「いや、もう帰りますけど」としれっと言うのだった。
振り向けば、今まで私たちが貸切っていた車両はなんとそのまま一般車両となって何事もなかったかのように、今度は普通にお客さんを乗せてまた三ノ輪橋方面へ向けて発車していく。さっきパソコンがおいてあった場所には、学生風の男の人が立って乗っていた。
別れはあまりにあっけなく唐突だった。都電貸切の現場はこういうことになっていたのか……!
驚きのうちに初めての貸切体験は終わった。本当に、本当にあっという間だった。
そんなわけで、ますます自力で貸し切りたくなってきましたよ。私だったら何をやろう。夢を広げつつ帰途についたわけです。 |