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特集


ひらめきの月曜日
 
伸ばして潰して薄くする
伸ばすぞ

厚いのもいいが、薄いのも好きだ。

いきなり何の話かというと、今日も飽きずに食べ物の話なのだが、ちょっと考えてみてほしい。

ピザ、あるでしょう。宅配でもなんでもいいですが、生地が薄いのを初めて食べた時、あなたは感動しませんでしたか? 私はしました。大変しました。

本来は薄くない食べ物を薄く伸ばしたら、もしかしてまた新たな感動を得られるのではないか。

そんな思いに駆られ、麺棒を買ってきました。

高瀬 克子


薄くすることの意味

薄いことのメリットって一体なんだろう。ちょっと考えてみた。

・口に入れやすい
・歯の弱い人でも食べやすい
・量が増えたように見える

…こんなところだろうか。最初に書いたピザも、あまりに生地の厚いものは、食べる前から「うわー、これ食べたら他のものが食べられないよ」と思ってしまうが、生地の薄いクリスピータイプのピザは「あまり腹に溜まらなそう」と、気軽な気持ちで食べることができる。

そう、薄いことは、決して悪いことではない。そんな信念を胸に、あれこれと伸ばしていくことにしよう。


まずはうどんから

そこで、うどんの登場だ。具合が悪い時、よく「うどんくらいしか食べる気がしない」と思うことがあるが、うどん、太いものは太い。よっぽど具合が悪い時は「そうめん(にゅうめん)」に流れがちだ。

しかし、そうめんの欠点は「最初から茹でられた物が売られていないこと」ではないだろうか。看病してくれる人がいるのならともかく、一人暮らしで、しかも具合が悪い時というのは、あまり台所に立ちたくないものだ。茹で麺タイプで済ませたいと思うのが道理だろう。


冷凍庫にこれさえあれば、いつでも寝込めます

だがさっきも言ったが、うどんは太い。それがヘビーに感じられるほど具合が悪い時だってある。

そこで麺棒の登場だ。薄く伸ばすことによって、果たして食べやすくなるのだろうか。


ラップの上から麺棒で伸ばします
伸びたというか、潰れました
なんとなく量が増えた気がします
…きしめん?

さっと熱湯で温め、麺つゆをかけて食べ比べ

もしや私は「きしめん」を作ってしまったのだろうか。

…いや、違う。きしめんは最初から薄く作られるものだし、平たくてもコシというものがある。一方、この「伸ばしうどん」は、コシが見事に粉砕されており、噛み応えは限りなくゼロに近い。

うん。これはいい。今度から、うどんのコシさえ邪魔に感じるほど具合が悪い時は、うどんを平べったくしてから食べようと思う。

 

パンはどうだ

うどんは、ある意味成功だった。では、パンはどうだろう。
ただし、パンなら何でもいいというわけではあるまい。食パンは、中のふっくらした部分が台無しになってしまうし、デニッシュタイプの菓子パンはボロボロになってしまう。

ボロボロにならず、平たく伸ばすことによってウマくなる可能性を秘めたパンといえば…。


あんパンに、ご登場願いました

パンがもっちりしてて、いかにも伸ばし甲斐がありそうじゃないか。しかも中身はアンコときた。「どうせ私ら潰される運命ですし、結構ですよ」と言われているようで、大変心強く、そして頼もしい。

では、遠慮なくやらせていただきます
やはりラップの上からぐいぐいと
伸ばし成功。パンとアンコが完全に一体化

さっそく食べてみた。…ウマイ。いや、これは大変にウマイ。パンとアンコが分離不可能なほど一体となっていて、潰されたことで少し硬くなっていて、…うーん、なんとも言えずにウマイ。

そしてこれは、もはやあんパンではない。新しいお菓子だ。こういうのが売り出されたら、私なら買う。

誰か「圧縮あんパン」とかいう名前で、商品化してくれないものでしょうか


それにしてもウマかった。…そうか。薄く伸ばすということは、中身のある物の場合、それが外側と同一化するということなのか。

ならば、次も具の詰まった物を伸ばすことにしよう。甘い物の次は、しょっぱい物で。コンビニのレジ横で、すでに売られ始めた、例のアレで。


 

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