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特集:涙


ロマンの木曜日
泪橋、涙橋


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お昼までこないよ

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ザ・水質調査隊

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東海道53次の途中で

●涙橋でボラちゃんを待ちながら

涙橋は全長10メートルも無いようなコンクリート製の小さな橋だった。
ここで涙の別れが行われていたのだ。
感慨深いものを感じていると

「お昼くらいにならないと戻ってこないよ」
ボラちゃん通らしき地元のおじさんから声をかけられる。
いや、僕はボラちゃん目当てじゃなくて、この涙橋を。

 

カメラを持ってウロウロしていると今度は水質調査の人たちがやって来る。
橋の真ん中にバンをとめ、釣り竿とかロープでくくったバケツとかビーカーとか色々な道具を持った人たちが降りて来る。
黙々と釣糸を垂らし、バケツで水を組上げ、ビーカーを振っている。
その仕事師たちは
「どいつもこいつも、ボラちゃんボラちゃんって」
という目で僕を見ていた。
いや、僕はボラちゃんじゃなくて、この涙橋を。
平井権八(同僚殺し及び辻斬りによる強盗殺人)とか、八百屋お七(放火) とか、白木屋お駒(夫殺し)とか、歌舞伎にも出て来る人たちが刑場に向かう時に涙したという、この涙橋を。

 

水質調査隊がいなくなると、今度は東海道53次を徒歩で旅している風な中年男性がリュックを背負ってやって来た。
熱心に橋のふもとの看板を読んでいる。(前ページで紹介した看板)
この人はボラちゃんフィーバーを知らないらしく、橋を通る人たちが川をのぞき込む姿を見て不思議そうな顔をしている。
「タマちゃんが来たそうです」
って嘘をつきたい衝動にかられたが、ボラちゃんTシャツを手に持っていたのでやめた。

 

ボラちゃんも来る気配がないので、そろそろ帰ります。



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