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中に入ると、私の他にはお客さんが1人しかいなかった。
やはり水ではなくお茶が出た。粉茶に近い、濃い味のお茶だった。甘味に合わせているんだろうか。
甘酒350円を頼んでボーッと待っていると、もう一人のお客さんが、女性店員に話しかけているのが聞こえてきた。
「もうねえ、ダンナに『おまえ、どこ行くんだ? また甘いものか?』 って言われちゃったわあ。でもほっておいて、お店まかせて出てきちゃった」
どうやら近所の商店の奥様らしい。
「ほんっと、この店は全部のメニュー、美味しいわあ。他にこんな店、ないもの。
こないだねえ、甘味が好きな人と話してたんだけど、京都の甘味屋さんまわって、がっかりしたんですって。
どこも焼いたモチを使ってないんだそうよ。代わりに白玉とか入ってるのよ。手間から考えたら、白玉のほうがラクですものね。
私がこないだ銀座の甘味屋に行ったときも、そこも白玉だったわあ。ほんと、この店を見習って欲しいわあ」
褒めちぎっている。
私も好きなメニューを頼みたかった。あんみつとかぜんざいとか食べたら、さぞや美味しい店なんだろう。ああ………。
ほどなく甘酒が運ばれてきた。
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