私用で長野に来ている。せっかくなので何か見所はないのか、と思いホテルのフロントで聞いてみた。すると
「それならば近くに城がありますよ、薬局の裏です。」とのこと。
薬局の裏が城。駐車場でもバス停でもなく、城。城ってもっと仰々しいイメージがあったのだけれど、長野では「城は薬局の裏です」って紹介されちゃうくらいにカジュアルな存在なのか。とにかく行ってきました。
(安藤 昌教)
あった
ホテルの人に教えてもらった道を歩いていくと、確かに遠くに城らしきものが見えてきた。通常の町並みの中にあまりに唐突に天守閣が顔を出している。城ってこういう感じで不意に現れるものだっけ。
近くまで行くと城は本当に薬局の裏にあった。写真では見えにくいが屋根には鯱もいる。
それにしても城の方が薬局よりも明らかに目立つのに、薬局の裏、という説明は有効なのだろうか。まあそういう細かい疑問は抜きにして城を見に行こう。
町に城があるということ
この薬局の裏の城こと高島城は、かつては諏訪湖に突き出すような形だったらしく「諏訪の浮城」と呼ばれていた。それが現在では住宅地のど真ん中に建て替えられた。周囲は平成の世に移り、薬局とかが立ち並んだのだけれど、城だけは変わらず戦国時代のたたずまいを保った。そこに見事なミスマッチが生まれたのだ。
城は最上階まで上ると天気のいい日には富士山まで望めるという。あいにくこの日は雲が多かったので殿様気分で下の薬局を見下ろしてみた。うむ、苦しゅうない。
旅行者にしかわからない面白さがある
旅行へ行くと何もかもが新鮮に見える。もしかしたら薬局の裏に城があることだって、この地域の方にとってはいとも普通な事柄なのかもしれない。住み慣れてしまうとその小さな面白さにも目が慣れてしまうのだ。沖縄に帰ったらもう一回旅行者の目線であたりを見返してみたいと思っています。
高島城
長野県諏訪市高島1丁目 電話0266−53−1173