あきらさんのもので溢れる店内
おばさんが裸電球のスイッチをカチッと入れてくれたので店内はいきなり明るくなった。
書物以外にも色々なものがランダムに陳列されている。
土「おお、これは……」
神「珍しいキーホルダー」
土「アフロ犬ですかね……」
神「……ですね」
土「めずらしいですね……」
神「ですね」
珍しいキーホルダーの他にも、レコード、雑貨、益子焼などの陶芸品が置いてあった。
一軒家だけに、飾りなのか売り物なのかよくわからないものもある。
かわいらしい柄の入ったガーリーな益子焼は陶芸家である娘婿の作品。古本を中心にほとんどの商品は真の店主、おばさんのご主人の所有物だったものだと教えていただいた。
土「ご主人の……?」
神「もしかしてご主人のお名前って、あきらさんですか?」
店「ええ、そうなんですよ、ほほほ」
土「あきらさんのか……」
あきらさんの古本
あきらさんの古雑誌
あきらさんの珍しいキーホルダー
あきらさんのあきらさんの……。
店主の蔵書販売はそう珍しいことではないけれども、所有者だった人の名前を知ることによってモノに対しても親近感がわいてくるのは妙だった。
いきなり商品の全てがあきら人生の断片であるような気がしてきたのだ。 |