半年かけて回りました

そんなにかつ丼は好きじゃないと思っていた。

が、先日、パソコンの画像フォルダを眺めていたらかつ丼の写真だらけだった。むちゃくちゃ好きなんじゃないか。
「おれ、あいつのこと好きだったんだ。」
なんてラブコメ気どりで（そんなまんが今どきあるのか？）かつ丼への愛に気づく秋。

そんな僕のかつ丼遍歴を振り返ります。（林 雄司）

まずは名古屋のみそかつ丼

かつの上にみそがかかっている。ごはんにもみそがしみている。はっきり言ってこのごはんだけでおかずになる。みそごはんで白ごはんが食べられます。

店員さんが「どうですか？」ととなりのスーツ姿の男性に声を掛けていた。店がオープンしたてだったので、受けるか気にしているのかもしれない。矢場とん（名古屋では超メジャーの店）の東京進出1号店だし。だが、その男性の答えは

「んー、甘いな」

いやいやいや！そんなことないですよ。うまいですよ！なぜか隣にいた僕が焦ってしまった。たしかにみそは甘めだが、かなり美味しい。かつもやわらかい。ああいう人いるんだなあ、と名古屋の人に申し訳ない気持ちになって店を出た。

駒ヶ根のソースかつ丼

福井とならんで有名な駒ヶ根（長野）のソースかつ丼。観光地化されていて、ソースかつ丼を出す店にはおそろいののぼりが立っていた。

厚めのかつの下にはキャベツ。ごはんとかつの熱でいいあんばいにしなしなになっている。ソースはかつに染みる程度。肉はしゃきしゃき、脂はもっちり。高校生だったらこのかつの量でごはん2杯はいけるおかず力。

群馬県桐生のソースかつ丼にはキャベツなんて乗ってないと乙幡さんがコネタ162で書いていた（これが私のソースかつ丼だ！）。キャベツが乗っているかつ丼とはつまりこれのことなんだろうな、と思った。

おみやげにかったソースかつ丼用のソースは店の前に出ているのぼりと共通のデザインだった。代理店が入っているのかと思わせる仕事ぶり。

福井のソースかつ丼

福井のソースかつ丼もどこかで食べられないものかと思ったら、高田馬場に店があった。

かつはヒレ肉。あからさまに駒ヶ根のかつ丼と違う。キャベツは乗っていない。

店内には通の食べ方が書いてあった。それによると、ごはんの上にかつを1枚残して、残りは丼のふたに取り出す → 食べる → 1枚食べたらまた次のかつをのせる、そうやって常にごはんの上に1枚のかつの状態を保つのが良いらしい。店内を見回すと全員そうしている。すごい影響力。

でもその食べ方の案内の最後には、あなた流儀で自由に食べるのがいちばんおいしい、と書いてあった。ええ！いまさら。

ネットで検索してみると福井のソースかつ丼として小川家はおいしいという人とそうでない人が半々だったが、東京で食べられる数少ない店ということで。

長崎のトルコライス

正確にはかつ丼じゃないんだけど（まるっきり違うけど）、かつが乗っているのでこれも広義のかつ丼に入れてしまおう。

トルコライスは長崎に伝わるケチャップライスの上にかつが乗っている料理。店によってかなり違うらしい。（そのあたりはコネタのライターとしても活躍している長崎の斉藤さんのページをご覧ください。「トルコライスの謎」）

東京でトルコライスが食べられる数少ない店が、市ヶ谷のラーメン フジ。かつの上にはドミグラスソース。子供が好きなものを大人が好きでもいいじゃん！というメッセージが伝わってくる料理である。うまい。ここだとセットにするとミニラーメンまでついてくる。ワーイ！