■扇柳さんにお話をうかがってみた
――普段は色々な楽器を演奏されているそうですが、どんな楽器ですか?
扇柳さん:弦楽器、打楽器、管楽器ですね。
――(笑)くくりが大きいですね!楽器なら何でも弾くぞという感じですね。
扇柳さん:本当は一番好きなのは歌なんですけどね。
――一番最初に弾いた楽器は何ですか?
扇柳さん:小学校3年生の頃に、おじにエレキギターをもらいました。その時は音楽に全く興味がなかったんですが、中学の時にバンドを組みまして、それから20歳過ぎまでずっとロックバンドでベースを弾いていました。でも1回音楽をやめて、やっぱり音楽がやめられないなと思ってもう一度はじめた時に、アイルランドのフルート奏者を偶然聞いて、笛が好きになって始めたんです。
――じゃあ、笛を始めたのは大人になってからなんですね。
扇柳さん:25歳くらいじゃないかな。当時はインターネットも発達していなかったので、民俗笛もなかなか手に入らなくて、小学校で使ってたリコーダーを吹いてました。
――ええー!
扇柳さん:アイルランドのトラッド音楽を、プラスチックのリコーダーでやってたんです。
――リコーダーの次はどこへ?
扇柳さん:アイルランドのホイッスルが手に入って、長年それを吹いてたんですけど、やっぱりちょっと違うというのが自分の中に出てきて…アイルランドの笛もとてもいいし今でも使ってはいますが、さらに魅力的な北欧の笛の製作者達と出会ってしまった。それで今はノルウェーやスウェーデンの笛を中心に使っています。
――笛をたくさん持っていると聞いたんですが。
扇柳さん:たくさんは持っていますけど、コレクターではないので、持っているのは使う笛だけですね。
――そ用途に応じて笛を吹き分けているというか、使い分けてるんですか?
扇柳さん:そうですね。
――北欧の笛の魅力は何ですか?
扇柳さん:北欧の笛は音もより素朴で、普通の西洋音楽にはない音律を持っているんですよ。ポップスを聴きなれている人には、気持ち悪いかもしれないんですけど、体にしみこむとそれが心地よくなってくるんですよね。僕が笛という楽器が好きな理由はそこにあるんです。鍵盤楽器などでは絶対に出せない音で自由に表現できる。西洋音階から簡単に脱却できるんです。
――今一番気に入っている笛はどれですか?
扇柳さん:今一番気に入っているのは、ノルウェーのBodil Diesenさんという女性ビルダーが作った笛なんですけど、「シーフルート」といいます。リコーダーから発生し、ノルウェーで独自の発達をしたものです。「海の笛」という呼び方は、1700年代にヨーロッパからノルウェーにボートで運ばれたということに由来しています。他に「シティフルート」ともよばれています。孤独な羊飼いたちが気分転換やダンスのために演奏していたようです。スケールは通常のリコーダーとは違い、5度の音や7度の音は低く、メジャーとマイナーの中間くらいになっているなどいくつかの違う間隔を含んでいます。 |