都会の街を歩いていると、自然と目に入ってくるキラキラとしたレストラン。きっと流行りの店なのだろう、若者であふれていて、確かに都会的な魅力はあると思う。
しかし、そんな店とは対極の意味で惹かれる店というのもある。なんだか人んちっぽいな、という店だ。
レストランというよりは、人んち。妙にくつろぎムード。
そうした店は、飲食店の中でも特にうどんを提供する店にどうも多いようだ。そんな人んち感を求めて、うどん屋をめぐってきました。
(小野法師丸)
思い出してみれば、確かにいわゆるレストランとうどん屋とを比べてみると、その店に入ったときの感覚は違うと思う。かしこまらずに落ち着けるのは、やはりうどん屋の方だろう。
提供する食べ物の違いということもあるだろうが、外観からすでに漂わせている雰囲気は異なる。
よくあるファミリーレストランと、たまたま通りかかったうどん屋を並べてみた。同じ飲食店でも対照的だ。
ガストに住んでる人はいないだろうが、右のうどん屋には誰かか住んでる気配がある。改めて意識したことがなかった方も、うどん屋がかもし出しがちな人んちっぽさをわかったいただけるだろうか。
右の写真は道すがらに撮ったうどん屋なので、人んちっぽさはこれでもごく一般的。気をつけて探してみると、うどん屋にはさらなる人んち感を放つ店もある。
写真は、さいたま市にある「万吉うどん」というお店。
そう書いたところで、うどん屋という情報と、写真のたたずまいから受ける印象とがなかなかつながらないかもしれない。パッと見の感想は「家じゃん」というのがほんとのところだろう。
敷地に入って歩を進めても、うどん屋らしさよりは人んちっぽさの方が高まってくる。
ゴルフパットの練習ができるようになっている辺りで、ここは本当にうどん屋なのかという疑問も頂点に達するだろう。やっぱりここって、普通の民家じゃ…。
そんな不安も、入り口のところまで来てついに解ける。ここはうどん屋だ!
限界ぎりぎりまで人んち感を維持してきたこの店だが、入り口を通って中に入ると、そこは比較的うどん屋な感じの空間。あくまで一般的なうどん屋然に、これはこれでほっとする。
やはりうどん屋、うどんを頼もう。
注文して出てきたのは、やはりうどんである。つけ汁にたっぷりのネギとお肉とが入っていて、それぞれの味がよく染み出している。うまい。
うどんを食べてほっとする。やっぱりここは、単なる家じゃない。
それはそれで安心できたのだか、「人んちっぽさを求めて」という視点からすると、さらなる人んち感を期待する気持ちも湧いてくる。より強烈な人んち感を求め、うどん屋めぐりを続けよう。