いよいよ正しいちり紙マツタケのつくりかたへ

ショックだった。

安倍さんの写真の美しさ、キノコの出来映え、そして、「え……秘宝館オリジナルじゃねえの？」というショーゲキ。

検索したら、数は少ないながらも作り方が紹介されているページをいくつか発見したのだ。

てっきり秘宝館関係者のどなたかが、一心不乱にマツタケ作りに精を出し、なぜか「あぶりチリ紙マツタケ」にたどり着いた、そんな作品だと思い込んでいた。

息も切れぎれに炎やケムリと格闘した昨日の夜。カラダを張ったマツタケ作り。バカバカしい行為のすべてが水の泡となった。そもそもネットで調べるという発想さえ、昨日まではなかった。

そして今日。複数のレシピを加味した結果、たどりついたのが以下の手順だ。

本物らしく網で焼けば……

もっと太く、もっと太く……とぶっといマツタケを作るのに試作を重ねたが、昨日の苦労に比べればなんてことはない。あっという間にできあがった。

せっかく作ったマツタケ風を、まる焦げにはしたくない。ゼンソクにもなりたくない。
ライターではなく網で焼くことにした。正統派だ。

目の前の「マツタケ」を見ながらハタと疑問に思った。

私はこの上出来なマツタケが、本当に作りたかったのだろうか……。

成功は成功なんだけど……

ちがう。 もっとバカバカしいくらい下手に作りたかったのだ。

作り方を見て、アレンジして、できあがったそれらしいマツタケに意味はなかった。いや、意味はあった。失敗したら掲載は見送っただろう。

けれども意味があったことに意味はなく、意味がない行動にこそ意味があったのだ。というかここまでお読みいただいた方なら、私の浅はか加減はすでにおわかりいただけることと思う。

今日の出来映えは満足ではあるが、昨日は楽しかった。

そしてやっぱり、秘宝館のちり紙マツタケ、その制作者魂と、公開に踏みきる勇気、そして、真っ赤なハートのうえに堂々と誇らしげに鎮座していたちり紙マツタケそのものに、心から敬意を称したいと思う。