職人の目分量が正確だ、という話をよく耳にする。
毎回同じ量のシャリをつかむという寿司職人。 ガラス職人は炎の色から温度をピタリとあてるという。
一方で、ぼくたち素人の目分量はどれくらい正確なんだろう。職人だけじゃなくて、実はぼくたちみんなすごかった!ということだったりしたら楽しい。
調べてみました。
(text by 三土たつお)
動機はこんなふう
壁にポスターを貼るとき、その水平や垂直はたいてい目分量で判断する。 わざわざ水準器を使ったりしない。
あるとき気になって、自分たちで貼ったポスターの垂直を調べるために、 重りをつけた糸をつるして、比べてみた。結果はおどろくほどぴったりだった。
それ以来、ぼくたちの目分量も意外に捨てたものじゃないんじゃないかと思っているのです。
紙のちょうど半分をみつもる
たとえば、何かのちょうど半分の位置をみつもる、という場合。
パンやケーキを切ったりする場合など、半分の位置を見切るという作業はたいてい目分量で行われて、それなりに正確だったりする。
紙の場合は折ってみればいいのだけど、ここではあえて見当をつけて半分と思うところにしるしをつけてみた。
その後で、紙を半分に折った。
メジャーで計ってみると、折り目のついた本当の半分の位置からの誤差は約4mm。A4の横の長さはだいたい30cmなので、誤差の割合で考えると1%ちょいだ。
これはかなりいい線なんじゃないだろうか。
100mをみつもる
次に、100mの長さの見当をつけてみたい。
上の写真は、自宅のそばの道路を撮ったもの。これでいうと、矢印を書いた、ちょうど車が左折しようとしている辺りが100mかな、という気がする。みなさんはどうでしょう。
それを確かめるために、道のりを計るロードカウンターという機械をころがして実際に向こうまで歩いてみた。
見当をつけた場所で確かめてみると、その距離は94.4mだった。すごい!けっこう正確だ。
誤差の割合でいうと5.6%。こう書くとけっこう大きな誤差のように思うけれど、でも実用的には十分に正確な範囲なんじゃないだろうかと思う。