特集 2025年10月1日

味わい深い!みんなの手癖で書いた名前 大発表

手癖で書いた名前って、味わい深くておもしろい!
流れるような筆使い、衝撃の省略方法、独自のこだわり………。

前回身近な人たちの手書きの名前を記事にしましたが、「何回も書いた字だからこそ生まれる旨みをもっと堪能したい…!」と思い、読者のみなさまからも募集しました。たくさんのご投稿ありがとうございます!

ここでは、ご応募いただいた中から特に味わい深かったものをご紹介します。

社会人。体育が嫌い。大人になった今でも大抵の物事を「体育よりマシか、否か」で判断している。

前の記事:手癖で書く名前は味わいしかない

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大胆な崩し

しばさん27.jpeg

本来の苗字は「柴田」なのですが、私がチェックしたということが分かれば事足りるだろうということで、「しば」までしか書きません。「し」と「は」の一画目がくるんと繋がっているところと、濁点が繋がってV字になっているところが、なんかカワイイと思っています。

かわいい。くるんってしてるのいいですね。好きなアイドルのサインがこれだったらニッコリです。

島本さん

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島は一画目以外は一筆で書いています。画数が多いわりに、縦横ばかりの単純な文字なので超省略で書いちゃってます。本は自分でも読めないですね・・
結局はサインなので読めなくても良くて、どれだけ時間をかけないかという点でこのようなかたちになりました。

これは読めないですね。どの線が何を表しているのかもわかりません。セキュリティの高いサインです。

遠藤さん

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急いでいるときは上。余裕があるときは下になりがちです。遠は1画、藤は2画で書きます。

びっくりしたんですけど、不思議と『藤』は読めます。すごい。『遠』は読めません。

アベさん30.jpeg

宅配の受け取りのサインで、とにかく速く、お待たせしないようにと思って書いているのですが、配達員さんに二度見されてしまいました。

配達員さんを待たせまいとする気持ちに共感!ただ、書かれた文字は死にかけの虫の軌道のようです。

鈴木さん

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17画→2画

抽象化がすごい。過程を見せてもらっても尚「マジか」と思います。ピカソの牝牛の絵を思い出しました。

渡辺さん32.jpeg

画数がそこそこありバランスも面倒なので全部潰した上でなんとなく分かるようにしてます

最初『坂辺?』と思いました。『辺』は読めるんですよね。こんなに簡略化されてるのに。

永井さん33.jpeg

「永」のボディーを「井」に繋がるよう書き終わるところです。(「の」になってしまうと「井」の一画目までが遠い)

この『永』の省略すごくないですか?「そこ一筆でいくんだ」と「『井』は4画で書くんだ」という二つの衝撃があります。

善嘉さん34.png

苗字は画数が少ないなのに最後だけカロリーが高いので物凄く適当です。最低限、善か嘉かが見分けられるように下の部分は切り離してますがこれでも2画で書いています。

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崩し少なめ

望月さん

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筆記具によって変わるかなと思って鉛筆、ネームペン、ボールペンで書いてみました。
こだわりは「月」の文字を三日月のように丸めて書くところと、「月」と「望」の「亡」を一筆書きで書くところです。右側に図解してみました。

『月』を三日月に見立てるという発想がかわいい。漢字の成り立ちを逆走していていいですね。

近藤さん3.png

『近』の しんにょうと『藤』の右下がめんどくさすぎるので、いかに早く書くかにこだわっています。

画数が多いことでお馴染みの『藤』!たしかに筆の速さは伝わってきますが、ちゃんと読めるのがすごい。

明日香さん

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「明」の「月」の部分はハネからそのまま中の横線に繋げてます。「香」の上部分は雰囲気で書いてます。
比較用に清書したものと一緒に撮影しております。

お名前を送ってきてくれた明日香さん。フルネームの最後の文字にあたる『香』で大幅に手抜きをしているのがナイス。

長澤さん5.jpeg

画数が多いので(8画・16画で、下の名前も含めると45画)テストの時などに結構困りました。「澤」の「幸」はいつもペンが走るままに書いているので形に再現性がないです。

画数の多さを感じさせない見事な『長澤』。手の抜き方が絶妙です。

嶋田さん6.jpeg
一般的でない方の字です。母に「書き順が違うけど」と言われましたが今更直す気はないのでこのまま通す気でいます!

どこの書き順が違うのか、もはや読む側はわからないのでオールオッケーです!

高橋さん7.jpeg

荷物受け取りのサインは欄が小さいため、こんな感じで斜めに文字を配置しがちです。

良い字ですね。達筆。割烹料亭のよう。『高』の一画目がクッとなってるのがかっこいい!

新保さん8.jpeg

「苗字か名前か」とのことですが両方書いちゃったのでそのまま送ります。「新」「保」の木の部分や口の部分など、めんどくさいところは○で済ますのがポイントです。

全体的に軽やかですね。ところどころクルンと丸まっているのがキュート!そんでちゃんと読める!

久保木さん9.jpeg

「木」と「保」の右下は日によってまだまともな時があります。「久」を完全に崩さないのもこだわりポイントかも(数字の2みたいには書かない)。

こだわりポイントの『久』がきれいです。1画で済まさないところに矜持を感じます。

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技ありの崩し

山下さん
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旧姓は画数が多かったので、手癖で書くとごちゃごちゃしがちでしたが、こんなにさらっと書けるなんてと感動してます。結婚してよかったと思うことの1つです。

ともすれば略さなくてもいいくらい少ない画数の苗字ですが、更なる高みへ挑もうとする姿勢に拍手。

有紗さん11.jpeg

「有」がギリわかればわかるっしょ!ってことで、「紗」の方はウネウネグルングルンしています。

かなりいいサインですね!全体的に迷いがなく堂々としていてナイスです。

優さん12.jpeg

意外と天敵なのはペンをどこかで離さないと形にならない「心」の部分です。「心」を書かなくちゃ!と思うあまりいつもその下の部分を書く時に謎に一、二画多く書いてしまいます。にんべんが大きいと殴り書きでも文字っぽく見えると思っています。

たしかに、にんべんの存在はデカい。まずは「これは文字である」と認識してもらうことが大切です。

石塚さん13.jpeg

テクニック(?)は「塚」のワの下を“る”にすることです。ここで急に画数が多くなることへの苛立ちを払いの勢いのよさで解消しています。

パッと見て、『絵うまそ』と思いました。画家のサインみたい。流れるような筆の運びがきれいです。

長屋さん14.jpeg

配達員さんを待たせるのがとにかく嫌なので手早く書けるように画数を少なくしています。
紙からペンを離す時間さえ惜しくたまに「長」の下部分のハネから「屋」の尸部の四角までつながるときがあります。

美しい省略です。先に紹介した長澤さんも『長』の下の部分が『ω』になっていましたが、あるあるなのでしょうか。

中西さん15.jpeg

上は手癖、下はちゃんとした字です。
西の縦線2本を、最後にシャッシャッと書くのがお気に入りです。

初めて見る『西』です。西の縦線二本、最後の仕上げって感じでかわいいですね。

鶴岡さん16.jpeg

とにかく早く書けるようにとした結果、自分でも読めなくなりました。ちゃんと書いた岡の字はなぜか父の字に似ています。

『岡』の中身を『2』で表すんですね…!これは『岡』を持つ名前の人だけの独自表現かも。

美琴さん17.jpeg

「琴」の王ふたつを33にできることに気づき、ブレイクスルーしました。「今」の中身も3になりました。

3がみっつ!かわいい~。眼鏡を取ったのび太くんですね。ちゃんと読めるのもすごい。

渚さん

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見えないと思いますが「渚」です。つくりの「者」を全部つなげてしまっています。旧字の渚(日の上に点があります)なのですがその点は省略しています。普段ここまで急いで書くことはなく、今回書いてみたらあまりに酷かったので何度か書き直しましたが何度書いてもこんなものでした。

三画!『者』を一筆でいくのは豪快ですね。でもちゃんと『渚』に見えますよ!

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推測させる崩し

岡田さん

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調子がいいと岡の中身が直線に近付いて逆さまのTみたいになっていきます。

素人目だと『岡』と『田』が酷似して見えます。でも、並べると『岡田』と読める。絶妙な書き分け。
そして、先に紹介した鶴岡さんの『岡』とかなり似た『岡』でもあります。

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『岡』の中身って『2』に収束していくのでしょうか。

曽我部さん

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「曽」の文字はなかなか省略がしづらいので、「我」をぐちゃっと書いて時間を巻いています。「部」の右側(おおざと)がちゃんとしていればそれっぽくなります。

『曽』『部』は読めますが、『我』が...!読み手の推理力が試されます。君はこの謎を解読できるか。

大久保さん21.jpeg

各文字を1画で書いています。あと、子どもの頃から机に対して斜めに構えるクセがあったので、字が右肩上がりになってます。そのせいで、机に正対している時は紙自体を右肩上がりにしないと座りが悪くて書けないです。

一文字ずつ見たら読解不可ですが、3つ連なっていると『大久保』にしか見えない。

佐野さん

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「佐」は、「亻」が分かればいいかなと思っています。「左」の部分は、大体「ェ」の部分があればOKです。「野」は、「予」が3になりがちです。

一筆目の勢いがいいですね。『野』の左にあることで、これが『佐』だとわかります。

佐藤さん

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右上がりが大人の字と聞いているので、なるべく右下から左上にかけての線が多くなるようにしています」

絶対に紙からペンを離さないという強固な意志を感じます。そして消去法でギリ『佐藤』と読めます。

𠮷田さん24.jpeg

「吉」も「田」も最低2画です。「読めなくてもいい時」用の崩し字と、「読めないといけない時の崩し字」と、「ちゃんと書く字」の3種がなんとなくあります。

ノーヒントで見ると何語なのかもわかりませんが、これは苗字だと言われると途端に『吉田』の文字が浮かび上がってきます。

金子さん(旧姓:新井さん)25.png

36年書いてきた旧姓の新井と、結婚後の姓である金子です。全く作りが違うのに、どちらも巻き尻尾のような書き癖があると初めて気がつきました。金の左下が巻くことすらあります。

巻き癖のある字じゃない方をしっかり書くことで、全体像を想像させる手法も共通していますね。

松林さん

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木へんが連続しているので右側をしっかり意識して書くようにしています。「松林」姓あるあるだと思うのですが、かなりの確率で「松村」姓と間違えられるので林が村っぽく見えないよう最後の払いを長めにとっています。

「俺は『松”村”』じゃねぇ。『松”林”』だ…!!!」という力強さが最後の払いに表れています。

 

いかがだったでしょうか?独自性のある文字がたくさん見れましたね。
「マジ? 」という筆遣いの連続でしたが、もしかしたら今回ご紹介したお名前と同じ字を使ったお名前の人は、「あるある!」と共感したかもしれません。

ご投稿くださったみなさま、ありがとうございました!

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