特集 2018年2月23日

石材に注目して国会議事堂を見学する

タージ・マハルが白い理由

先ほどから石灰岩、大理石、御影石やら花崗岩みたいに、かなり適当に書いている。読んでいるうちに混乱してしまうかもしれないので、ちょっと整理しておきたい。

建物に使われる石の種類は、おおきくふたつに分けられる。大理石と御影石だ。その他の石も使われることもあるらしいけれど、あくまで「その他」なので、ひとまずここではおいておきたい。

そして、大理石、御影石という呼び方は「石材」としての言い方だ。もうちょっと学問的な呼び方(岩石名)としては、大理石は「石灰岩」、御影石は「花崗岩」となる。(ただし、花崗岩ではない石を石材として「花崗岩」と呼ぶこともあるらしいし、石灰岩じゃない石を大理石としてまとめることもあるらしい、ややこしいけれど、例外もたくさんあるのだと心得てください)
建物で使われる石材の大雑把な表
建物で使われる石材の大雑把な表
大理石と呼ばれる石灰岩は、大昔のサンゴ礁や貝など古代の生物が堆積してできたものと、炭酸カルシウムが沈殿してできたものの二種類があり、化石が見つかるのは前者の石灰岩だ。
一方、御影石と呼ばれる花崗岩は、ざっくりいうと、マグマが冷えて固まった岩石である。だから、化石が入った御影石というのはあまりない。

建物では、御影石は、主に外装用に使われ、大理石は内装用につかわれる。確かに、先ほどみた、花崗岩の徳山石は、外装に使われていたし、石灰岩の琉球石は内装に使われていた。

西本さん「大理石が外装に使われないのは、日本は雨がたくさん降って大理石が溶けてしまうからなんです。酸性雨なんていいますけど、雨はもともとちょっと酸性なんですよ、だから、雨があまりふらないところだと、外装に大理石をふんだんに使った建物があるんです、タージ・マハルとか」
タージ・マハルが大理石でできているのは雨の影響が少ないから
タージ・マハルが大理石でできているのは雨の影響が少ないから
タージ・マハルのあるインドのアグラは、雨季と乾季で雨の降る時期がはっきりしている。日本のように程度の差こそあれ一年中建物が雨にさらされる環境に比べると、雨の影響が少ない。だから大理石を外装に使っても平気なのだ。いままで考えたことなかったけれど、言われてみればめちゃくちゃ納得できる。

石がひとつもない

続いて向かったのは本会議場。総理大臣を決める首班指名選挙や、法案の採決などが行われる場所だ。
参議院の本会議場
参議院の本会議場
参議院の本会議場には、天皇陛下のためのお席が議長席の後ろにある。この席は、衆議院の本会議場にはなく、天皇陛下が臨席する国会の開会式では、衆参の国会議員全員が参議院の本会議場に集合して行われる。
天皇陛下の御席
天皇陛下の御席
普通の見学であれば、ここの見学がメインになると思う。

ところが、西本さんは「石がひとつもない」と、ぼやく。
石がひとつもない……
石がひとつもない……
本会議場は、椅子から壁からなにからなにまで、木できている。申し訳ないけれど、今日に限っては、木はおよびでないのだ。

――どこか、石はないですかね、天井は……ガラスと漆喰ですね。
ガラスがかろうじて石のなかま? 惜しい
ガラスがかろうじて石のなかま? 惜しい
――でも、おそらくこの木も調べたらちゃんとした産地のしっかりした木材なんですよね。

衛視さん「本会議場の木材は欅(けやき)ですね、反響防止を配慮して、なるべく木材を使っているんです」

西本さん「そこはやはり日本らしいですよね、欧米だと会議場でも石を使うとおもうんですよ。例えば国連の会議場とか、このまえ安倍総理が演説した演説台の後ろの石、蛇紋岩(じゃもんがん)なんですよ」
国連でスピーチをする安倍総理。後ろが見事な蛇紋岩・政府インターネットテレビ</a>より
国連でスピーチをする安倍総理。後ろが見事な蛇紋岩・政府インターネットテレビより
たしかに国連の演説台の後ろ、緑色の石だ。あれ蛇紋岩っていうのか。

西本さんは、国連で演説するトランプ大統領のニュースをみても、まず「蛇紋岩」に目が行くという。持っている目がわれわれと違う。

西本さん「国連の蛇紋岩は、イタリア産ですね」

――産地!

西本さん「蛇紋岩は、もともとマントル物質だったんですよ」

――マントルって……地殻の下? でしたっけ。なんでそんな深い場所の物質があるんですか?
マントルお忘れの方はこちらの図を御覧ください(Wikipedia</a>より)
マントルお忘れの方はこちらの図を御覧ください(Wikipediaより)
西本さん「いい質問ですね……プレート同士がぶつかって、マントル物質が地表にグシャーと押し出されちゃったんです」

――え、じゃあ取れる場所が限定されるかなり貴重な石?

西本さん「いや、地球規模で考えれば確かに取れる場所は少ないんですけど、マントルがぶつかって盛り上がってる場所は、日本列島もそうだし、アルプス山脈もそうだから、いろんな所でとれるんです」

――なるほど。

国会の本会議場で、マントル物質の話になる見学は憲政史上初だろう。
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