特集 2017年3月15日

「どうぞ、蚊帳の中へ」蚊帳の博物館で蚊帳体験

インターネットに活路が

いわゆる「ふとん屋」としての商売に限界を感じた治さんは「お客様に快適な眠りを提供しする企業」としてステップアップすべく「眠り」を改めて学び、1996年、「あなたの枕を探します」というホームページを立ち上げた。そのホームページに予期せぬ問い合わせが来た。
「殺虫剤が苦手という人がいて、蚊帳が欲しいけどどこで手に入るかわからない。あなたのところで買えないかと言われた。」
--ほー、ニーズが見つかった。
「そう、頼まれた事をやる、それでお客様が喜んでくれる。すぐにインターネットで蚊帳の販売をはじめました」
すると、他にも同じ思いで蚊帳を求める人がいただけでなく、また新たなニーズを掘り起こした。
「蚊だけでなくムカデが入ってこないものが欲しいと言われた」
--ああ、普通の吊るしの蚊帳だとムカデは下を這って中に入ってきちゃいますからね。
「で、底布をつけたムカデ対策の蚊帳を作った」
「ムカデント」名付け親は朋子さん。
「ムカデント」名付け親は朋子さん。
メッシュのテントのような感じ。底生地が付いているのでムカデも侵入できない。
メッシュのテントのような感じ。底生地が付いているのでムカデも侵入できない。
東京のマンションの1階に住む私も家の中でムカデを見た事がある。ちょっと田舎になると切実な悩みとなっている家もあるだろう。事実「そちらのムカデ用蚊帳をすぐに送ってください!」という危急の依頼もあったという。

こんな感じで「洗える蚊帳がほしい」と要望があった時は地元の織物工場を巻き込んで洗濯に耐える「カラミ織」生地を開発。
右が従来の平織、左が菊屋オリジナルのカラミ織。強度が強く、形くずれもしにくい。
右が従来の平織、左が菊屋オリジナルのカラミ織。強度が強く、形くずれもしにくい。
さらに蚊帳をリラックス空間を演出するためのインテリアとして室内に常設したり、時にはビルの地下の浄化槽に蚊が卵を産みに来るのを防ぐために12mの蚊帳ですっぽり覆ったり、と思いもよらない依頼をこなしてきた。
蚊帳生地を使ったスピーカーなんてものまで。
蚊帳生地を使ったスピーカーなんてものまで。
今の生活の有り様に合わせた付加価値をつけて蚊帳を復活させた三島さん。冒頭で紹介したマズローの三角形は現在、サークルのマトリックスに進化して彼の思いを表現している。
様々な要素を取り込んだ「安心してぐっすり眠れる環境」として外界と境界をなす蚊帳。蚊帳の外から蚊帳の中へ。
様々な要素を取り込んだ「安心してぐっすり眠れる環境」として外界と境界をなす蚊帳。蚊帳の外から蚊帳の中へ。
「うちのサイトは安眠.com。眠りをトータルに提供してお客様によりよい生活を送ってもらいたい。その一環として害虫から身を守り、リラックスできる空間としての蚊帳がある。これからも”どうぞ、蚊帳の中へ”と提案していきたいです」
20年以上前の似顔絵が目印。ドリフの大爆笑ですか。
20年以上前の似顔絵が目印。ドリフの大爆笑ですか。

現在、蚊帳の蚊帳感を体験できるところは数少ない。建物の構えは店舗だが気軽に蚊帳に入りに来てくださいとの事。近くに来た際はどうぞどうぞ、蚊帳の中へ。
要所にダジャレが埋め込まれているのも注目。
要所にダジャレが埋め込まれているのも注目。

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