とくべつ企画:寿司と乗り物 2017年1月2日

オープンカーで寿司を食べに行く

サビ抜きで!
サビ抜きで!
寿司はとくべつなものである。

せっかくならばとくべつな車で食べに行きたい。

オープンカーでうまい寿司を食べに行きました。
行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。愛知県出身。むかない安藤。(動画インタビュー)

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> 個人サイト むかない安藤 Twitter

変な人たちが車借りに来た

世の中には2種類の車がある。オープンカーとそうでない車だ。

今回はオープンカーを借りて寿司を食べに行くことにした。理由なんてない。好きな乗り物に乗って寿司を食べに行くという企画を正面から受け止めた結果である。

オープンカーに乗るということで休みまでとってめかしこんでレンタカー屋さんにやってきたのだけれど、表面上は怪しまれることもなく、かんたんな手続きで車を借りることができた。
担当の人と一緒に、まわりに傷がないことを確認して
担当の人と一緒に、まわりに傷がないことを確認して
屋根の開け方を習ったら
屋根の開け方を習ったら
いざ乗車。
いざ乗車。
急にキャラがひとり増えたのにお気づきだろうか。

ひとりでは自分の毒でやられてしまいそうだったので、乗り物好きのライター西村さんに同乗してもらったのだ。二つ返事できてくれた。

それではいざ、寿司食べに行こう。元気に出庫である。

バックのさせかたがわからない

今回借りた車はマニュアル・トランスミッションの車だった。知っているだろうか、左足でクラッチを切ったりつないだりしながらギアを変えるシステム、それがマニュアル・トランスミッション。
村上春樹もマニュアルが好きって言ってた。
村上春樹もマニュアルが好きって言ってた。
小気味よくギアを操作して駐車場のスロープを駆け上がり、意気揚々と出てきたわれわれだが、一般道に出た瞬間に問題が発生した。

バックのさせかたがわからないのだ。

そんなの「R」に入れたらいいだろう、とお思いの方、ぜひ今のマニュアル車を借りてほしい。入んないから。すぐに路側帯に停めた。
隣で操作マニュアルを読まれると助手席の人はこういう顔になるよな。
隣で操作マニュアルを読まれると助手席の人はこういう顔になるよな。
説明書を読んでもバックのさせ方は書いていなかったので事務所に電話して聞いた。「すみません、この車、どうやってバックさせるんですか」。聞くと正解は「シフトノブをいったん押し込んでからRに入れる」だった。書いとけ。

いろいろあったがこれで前にも後ろにも進むことができるようになった。気を取り直して出発したい。
きっと周りの人たちは(こういう人たちも自撮りするんだ)って思ったことだろう。
きっと周りの人たちは(こういう人たちも自撮りするんだ)って思ったことだろう。
目的地は房総半島の木更津に決めた。僕はオープンカーに乗れるだけで満足だったので、このまま都内を回っていてもよかったのだけれど、西村さんがどうしても東京湾アクアラインを走りたい、というので。

彼女か、と思ったが、たしかにこの車でアクアラインを走ったらさぞ気持ちいいだろう。それに千葉ならきっと寿司もうまいに違いない。わかりました、行きましょう!
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オープンカーあるある:トラックが怖い

形容し難いコスプレの二人を乗せた車は湾岸通りをひた走る。

ところで、オープンカーに乗ると普通の景色がまったく違ったものに見えるのだ。

たとえば隣をトラックみたいな大型の車が通り過ぎると、ものすごい轟音と風が襲ってくる。これは屋根のある車では感じられないフィーリングである。
隣をでかい車が通るだけで笑える。
隣をでかい車が通るだけで笑える。
そしてなんといっても見晴らしのよさだろう。

途中で通ったレインボーブリッジなんて、本当に手を伸ばせば触れるような感覚だった。
こんなに近くに橋を感じたことがあるか。
こんなに近くに橋を感じたことがあるか。
あとこれはオープンカーは関係ないかもしれないが、ちょうどこの日、ロシアからプーチン大統領が来日するということで、都内の主要道路ではそこらじゅうで検問がはられていた。

べつに何も悪いことはしていないが、西村さんに持たせようとトランクにおもちゃのマシンガンを入れているので、できれば止められたくない。
検問の横を通るたびに緊張したが、プロの目では「こいつら無害」とバレたらしく、一度も止められることはなかった。
検問の横を通るたびに緊張したが、プロの目では「こいつら無害」とバレたらしく、一度も止められることはなかった。
二人を乗せたオープンカーは首都高を抜け、快晴の中アクアラインを走る。
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オープンカーは乗り出しの頃こそ興奮で我を忘れたが、慣れてくるとその開放感、気持ちの良さがじわじわと心に広がってきた。

この車、無駄なスペースがまったくないギュッと詰まった設計なのだけれど、なにしろ屋根が開いているので窮屈な感じがしないのだ。ほどよい一体感、二人でどこまででも行けそうな気がする。

これはデートに最適な車である。

口には出さなかったけれど、たぶん二人ともそう思っていた。

そうそう寿司だ。寿司屋の場所を助手席の西村さんにたずねた。
「ちょっと待って下さいね」。西村さんのサングラスには度が入っていないのでダブルメガネになる。
「ちょっと待って下さいね」。西村さんのサングラスには度が入っていないのでダブルメガネになる。

木更津の回転寿司屋へ

アクアラインを降りたあと、西村さんのナビでやってきたのは木更津の寿司屋「スーパー回転寿司やまと」。ふたりとも特に寿司にこだわりがなかったため、無難に回転寿司にした。
店にある寿司ぜんぶよこせ。
店にある寿司ぜんぶよこせ。
これまでオープンカーのいいところばかりを書いてきたが、正直言うと冬にオープンカーはものすごく寒いので気をつけた方がいい。
寒さで動きがままならない西村さん。
寒さで動きがままならない西村さん。
早く暖かい店内に入りたいところだが、オープンカーを駐車するにはまず屋根を閉じなければならなかった。鈴木英人のイラストに出てくるオープンカーのカップルも、きっと駐車場でこうやって屋根を閉じてからレストランに入っていくんだろう。乗ってみないとわからない地味な儀式である。
気にせずそのまま降りる、という選択もあるかもしれないけれど、それは自分のオープンカーを買ってからだ。
気にせずそのまま降りる、という選択もあるかもしれないけれど、それは自分のオープンカーを買ってからだ。
「スーパー回転寿司やまと」には有名人のサインが壁いっぱいに飾ってあった。僕たちもサイン求められたらどうしようとちょっと思ったが、大将がにやにやしながら自撮りしている僕たちをながめていただけだった。
有名人はこうやって自撮りとかしないからなきっと。
有名人はこうやって自撮りとかしないからなきっと。

寿司がやたらうまい

それにしてもさすが房総木更津である。寿司はどれを食べても意識が遠のくほどうまい。寒さが魚を旨くする、とよく言うが、オープンカーの寒さも寿司を美味くするのかもしれない。
一皿目に二人とも「なめろう」を選ぶ選球眼。
一皿目に二人とも「なめろう」を選ぶいぶし銀の選球眼。
うっわ。
うっわ。
とにかくここに来るまで寒さに凍えていたので寿司よりも温かいものが食べたいなとと思っていたが、二皿くらい食べたあとはもう寿司のことしか考えられなくなった。
ねえねえ西村さん、見てよこのエビ。
ねえねえ西村さん、見てよこのエビ。
うふーん。
うふーん。
金目鯛
金目鯛
あはーん。
あはーん。
やばいたまらん。あまりのうまさにサングラスも外して二人ともほぼ素である。

二人でお腹いっぱい寿司を食べて合計4000円くらいだった。食べられなくなったものである。

それでもこの美味さは満足度高い。もうオープンカーの興奮はすっかり金目鯛の美味さによって上書きされてしまった。

橋を見に行く

寿司を堪能したあとは西村さんのオススメのビューポイントまでやってきた。このあたりは前に社員旅行で潮干狩りに来たことがあるから知っているのだとか。

「見てくださいこの橋、よくないですか」
たしかにいい。マシンガン片手に橋を指差していると狙撃しようとしているとしか思えないけど。
たしかにいい。マシンガン片手に橋を指差していると狙撃しようとしているとしか思えないけど。
オープンカーに乗って寿司を食べ、橋を見に行く。印象の強すぎる食べ合わせに下痢しそうである。

突然ですがここでこの記事唯一の情報をおとどけしたいと思います。

派手なスーツとかオープンカーとかマシンガンとか、被写体が一般的ではない場合、照れると逆によくない、ということがわかった。
照れは悪。
照れは悪。
にやにやしながら直立不動。これはよくない。

いっそのこと西日を味方につけて思いっきりカッコつけた方がいい。
西村さんが持っているのが水鉄砲だとバレるアングルではある。
西村さんが持っているのが水鉄砲だとバレるアングルではある。
いい一日だった。帰りは屋根を閉めて暖房入れて帰りました。

オープンカーで食べに行く寿司はいつもの10倍美味い

アクアラインを使えば都内からでも1時間くらいで木更津まで美味い寿司を食べに行けることがわかった。それからオープンカーの開放感(あと寒さ)が寿司の美味さに一役買っていたことも確かである。春にまたこの特集やりましょう。
寒さに固まり出てこられない西村さん。
寒さに固まり出てこられない西村さん。
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