特集 2016年12月20日

種子島でのロケット打ち上げがシビれるぐらい最高だった

打ち上げを待つ(X-900分)

夜明け前の射点移動を見た後は、再び竹崎観望台に戻って来て、今夜のために撮影場所をチェックしておく。
肉眼でも、だいたいこれぐらいはロケットが見えてる。
肉眼でも、だいたいこれぐらいはロケットが見えてる。
観望台にはデジタルのカウントタイマーが設置されている。
昼ぐらいに「カウントダウン開始」の指示が出て、このタイマーの数字がマイナス表記(マイナスからゼロへカウントされていく)になると、この一帯の緊張感がグッと高まるらしい。
ひな壇だけど、芸人はいない。
ひな壇だけど、芸人はいない。
報道陣はこのひな壇にカメラを設置するとのことで、あと半日もすると、ここにバズーカみたいなレンズ付けたカメラがずらっと並ぶことになるようだ。
改めて、ひな壇から待機中のロケットを撮影。緊張感高まる。
改めて、ひな壇から待機中のロケットを撮影。緊張感高まる。
とはいえ、まだ時間はある。
ロケット関係者が打ち上げ前に必ず訪れるという場所があるそうなので、ひとつそこも回ってみよう。

ロケット神社参拝(X-480分)

宇宙センターから車で5分ほどのところに、宝満神社という神社がある。
ここが、JAXAの人・ロケット作ってる三菱重工の人・ロケットに搭載されている衛星の関係者など、みんなが事前に打ち上げの成功を祈るためにお参りするという、通称ロケット神社なのだ。
なんというか、ありがたみのある雰囲気。
なんというか、ありがたみのある雰囲気。
話によるとこちらでは「玉依姫(たまよりひめ=神霊を宿す女性・巫女のこと)」をお祀りしているとのこと。
種子島に赤米(古代米の一種)を持ち込んで降臨した方という説明もあり、ありがたい田んぼの神様のようだ。

あれ、ロケット関係ないのか。
この雰囲気が大事なのかも。僕も成功を祈っておきました。
この雰囲気が大事なのかも。僕も成功を祈っておきました。
とはいえ、参道から拝殿までの静謐な雰囲気はとてもいい。落ち着く。
パワースポットとか御利益とかそういうのはさておき、神経をすり減らす打ち上げ作業の前に、こういう場所で心を穏やかにするのはそれなりに大事なことなのかもしれない。
島内のあちこちに立てられたのぼり。島全体で成功祈願してる。
島内のあちこちに立てられたのぼり。島全体で成功祈願してる。
…的なイイ感じにまとめてはみたが、正味のところ、こちとらもうワクワクしすぎてはち切れそうになっているのだ。落ち着くとか嘘だ。むしろ余計にテンション上がってるぐらいである。ヤバい。

このままだと神社の境内でスクワットとか始めてしまいそうだ。
そんなことで疲れてる場合でもないので、時間は早いけど竹崎観望台まで移動することにしよう。

打ち上げ直前(X-360分~-120秒)

宇宙センターのゲート前では、すでに厳重な入構制限が始まっていた。
ドラマとかで見たことはあるが、これ本当にガチのやつだ。
車を止められて、その場でチェックを受ける。
車を止められて、その場でチェックを受ける。
まず事前に登録しておいたレンタカーのナンバーを照合され、顔写真入りの入構証(これも事前に免許証の写しを送って登録したもの)と本人の顔をチェックされる。
僕は後部シートに撮影機材の入った大きなカバンを乗せていたのだが、警備員さんに「うしろ、他に誰も乗ってませんよね?」と確認までされてしまった。

今はもう何を見てもテンション上がる一方なので、厳重なチェックを受けたことでまた昂ぶってきた。
X-4時間前。向こうにぼんやりとライトアップされたロケットが見える。
X-4時間前。向こうにぼんやりとライトアップされたロケットが見える。
この辺りのタイミングでプレスルームにこもったのだが、そこからひどく記憶が薄い。
撮影機材のセッティングをした後は仕事でもしようかなとノートPCを開いてみたが、そわそわするばかりで何一つ進まなかった。
期待で本当に顔がテラテラしてる。顔の油分すごい。
期待で本当に顔がテラテラしてる。顔の油分すごい。
ただ、プレスルームと屋上のひな壇を意味もなく何度も往復したような気はする。
かなり急な外階段(エレベーター使用禁止)を使って屋上まで出たら、設置したカメラの望遠レンズを覗き込んで、ロケットを確認して「よし」って言って、また階段でプレスルームに戻って、みたいなのの繰り返しだ。

何回それを繰り返したかは憶えてないが、翌日にふくらはぎが軽く筋肉痛になっていたので、筋トレになるぐらいは上り下りしたんだろう。
これ見て「よし」って言ってた。なにが「よし」なのか、今となっては分からない。
これ見て「よし」って言ってた。なにが「よし」なのか、今となっては分からない。
そうこうしているうちに、打ち上げ8分前。アナウンスで「480……470……」と10秒ごとのカウントダウンがスタートした。
意味もなくその場で足踏みをしてしまう。

「180…打ち上げ3分前です。全システムの電源が外部から内部に切り替えられました…170…」
そのアナウンスに「すごいエヴァンゲリオンっぽいですね」みたいなコメントが周りから聞こえてくる。
確かにエヴァっぽい。いや、むしろあっちがこれを真似してるんだけども。

「120…19…18…17…」
打ち上げ2分前からは、いよいよ1秒ごとのカウントダウンに切り替わる。
待ったなし感、半端ない。こちらも足踏みが強まる。
あと、秒カウントを聞きながら足踏みすると、自分が1秒あたり何回足踏みしてるのか分かって便利だった。このとき僕は3歩/秒ペースで足踏みしてた。

打ち上げ(X-0)

「15…14…13…」
このあたりで、メインエンジン点火というアナウンスが入り、ロケットの下部にぽわっと明かりがともる。
うわっ、来た!来た!
うわっ、来た!来た!
「5…4…」
ぐらいで、明かりがクワーッと広がる。

「3…2…1…0…リフトオフ」
光の玉が太陽ほどになって、一瞬「えっ、なになに?どうなったの?」ぐらいに目の前が真っ白になる。
と同時ぐらいに、数秒前に点火されたメインエンジンの音がようやく耳に届いた。
これが「ドゥオオオォォォオオオォォォ…」という燃焼ガスの噴出音と、「バリバリバリバリバリバリ!!!」という、すぐ近くに雷が落ちたみたいな、音というよりは振動に近いのが混じって聞こえてくるのだ。
来た来た来た来たー!!!!!!!(焦りすぎて、カメラがずれた)
来た来た来た来たー!!!!!!!(焦りすぎて、カメラがずれた)
光と音に圧倒されて「うわーっ」と思っている間に、手で摘めそうなくらい密度の濃い煙(水蒸気)がロケットの周りに立ち上って、で、その煙を地上に残してロケット自体がググググーッと上昇する。
うわー
うわー
うわー
うわー
うわー
うわー
うわー
うわー
冒頭にも書いたとおり、目でロケットを追えたのはせいぜい1分といったところ。
うわーうわー言ってる間に、H-IIBロケットは小さくなって、ぽつんと見えなくなった。
(個体ブースター分離まではレンズ越しに見えたんだけど、撮影はできなかった)
10分後ぐらいに、プレスルームに降りてきて自撮りをしたので見て欲しい。びっくりするほど目がキラキラしてる。できれば最初のページの自撮り写真と見比べて欲しい。
10分後ぐらいに、プレスルームに降りてきて自撮りをしたので見て欲しい。びっくりするほど目がキラキラしてる。できれば最初のページの自撮り写真と見比べて欲しい。
ということで、今回の打ち上げ見物は終了である。
感想としては、バカっぽくて恐縮だが「うわー」と「すげー」と「最高」しかない。むしろこんなキラキラした目で冷静にコメントできてたら気持ち悪いだろう。

感想を忘れないようにその場でボイスメモを録っていたのだが、本当に「うわー」と「すげー」と「最高」しか言ってなかった。役には立ってない。
打ち上げは成功から一時間後ぐらいに宇宙飛行士の油井さんが記者会見していたけど、それ見ながらまだ脳内で「うわー」って言ってた。
打ち上げは成功から一時間後ぐらいに宇宙飛行士の油井さんが記者会見していたけど、それ見ながらまだ脳内で「うわー」って言ってた。
実は今回の打ち上げ直前に、同じくISSへの補給物資を積んだロシアの無人補給機が打ち上げ失敗している。そういう意味で今回の打ち上げ成功は非常に価値があったのだ。

…なんだけど、でもそういうのは全く知らなくてよくて、単に「すごいものが見たい」というだけでロケット打ち上げを見に行くの、いいと思う。
下手すると、ロケットって何をするモノなのか知らなくても、打ち上げを現地で体感したら「うわー、すげー」ってなるからだ。
みんな、見に行くといい。僕も多分また行く。

今回は取材と言うことで勿体ないぐらい良い場所を用意していただいたのだが、その代わりにカメラの撮影に気を遣ったりしたため、打ち上げを100%満喫しきれなかった部分もある。

できればカメラとか用意せず、ただただあの光と爆音に晒されて「うわー」って言い続けるだけだと、もっと楽しかったと思う。次はそうしよう。
打ち上げられたこうのとり6号機は、12月13日にISSにドッキング完了。めでたい。 (写真提供:JAXA/NASA )
打ち上げられたこうのとり6号機は、12月13日にISSにドッキング完了。めでたい。 (写真提供:JAXA/NASA )
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