特集 2016年4月15日

イカ!イカ!イカ!170円の店にとうとう突撃

イカまみれイカづくしイカだらけ……至福すぎるぞ。
イカまみれイカづくしイカだらけ……至福すぎるぞ。
イカが好きだあーーーっ!
幼児の頃から、ことあるごとに言っている気がします。

有名どころのイカセ○ター、もちろん行きました。
でも、んー、ものたりない。なんというかこう、イカへの愛が足りない。

そこで、かねてから気になっていたお店に行くことにしたのです。イカ専門といっても過言ではない立ち呑み屋『やきや』。

そこに、イカ愛はあるのでしょうか。
イカとタコが大好きで、食べたり被ったり本まで出版しました。
でもサイコーに好きなのはアワビだったりします。世間に対する謙虚です。

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> 個人サイト Weekly Teinou 蜂 Woman

なぜ今までイカなかったのか

イカメニューが豊富と知りながら、なぜこの『やきや』さんに足を運ばなかったかといえば、やはり立ち呑みやということが大きい。

わたしは下戸なので、ソフトドリンクの置いていない一杯呑み屋は敷居が高いのです。むしろ行くのは失礼でさえある。それでも今回は、失礼よりイカ愛が勝ってしまいました。

作戦はカンタン。
アルコールを注文し、同行者に2倍飲んでもらう。たったそれだけです。はーなぜ今まで気付かなかったのかな。

開店前のお店に突撃!

電話番号はどこにも掲載されていなかったので、これはもうアポなし突撃しかありません。

開店は16時。1時間前の15時にお店のドアを叩き、料理の写真メインなら……ということで、OKいただきました。
荻窪駅南口から2,3分ほど。赤い看板が目印。
荻窪駅南口から2,3分ほど。赤い看板が目印。
準備中の店内。黒に統一され、天井は市松模様でモダンです。イメージとちがった。
準備中の店内。黒に統一され、天井は市松模様でモダンです。イメージとちがった。

開店5分で、すでに店はほぼ満席!

平日の午後4時だし、開店5分後でも充分スペースはあるっしょ、と思ったのがおおまちがい。すでに、20名ほど入れそうなカウンターはほぼ満席。奥に簡易のテーブル席もありますが、そちらももちろんいっぱいです。ううーそれだけでもテンションあがるわー!

カラダを斜めにしながら、お客さんに詰めていただきなんとか2名分を確保しました。

私のココロはすでにイカ一色。食べる前からメロメロです。さあ、イカざんまいのメニューを片っ端から網羅しますよーっと!
まずはイカの中でももっとも好きなミミ(エンペラ)の刺身。170円! うっとりするこの透明感!ポスターにして飾りたいくらいだ!
まずはイカの中でももっとも好きなミミ(エンペラ)の刺身。170円! うっとりするこの透明感!ポスターにして飾りたいくらいだ!
ご存知でない方も多い『イカミミ刺身』。わたしはコレが大好きで、家でさばいた時は独り占め。それが家訓。

そもそもこのお刺身、お店においてあることが稀なんですね。コリッコリ感がサイコーで、細めに切れば皮付きでも食べられますからみなさんにもぜひ試してほしい1
品です。
珍味わたあえ おそらく茹でたゲソにたんまりのワタ和え。170円! これ以上のコクはないっていうほどのコク! 酒飲みならこれだけで小1時間は飲めるんじゃないかな。
珍味わたあえ おそらく茹でたゲソにたんまりのワタ和え。170円! これ以上のコクはないっていうほどのコク! 酒飲みならこれだけで小1時間は飲めるんじゃないかな。
次に選んだのは『珍味わたあえ』。常連らしきみなさんが、まるでお通しのように次々に注文なさるので、大慌てで「わたしもください!」と叫びました。

そう、このお店は繁盛時の寿司屋とおなじ。注文の戦場なのです。
入店して30分ほどでこの人気商品はSOLDOUTに。やっぱりなー。
ゲソ揚げ。こちらも170円! 竜田イカ揚げと言っても過言ではない、ショウユの味がきいている。
ゲソ揚げ。こちらも170円! 竜田イカ揚げと言っても過言ではない、ショウユの味がきいている。
自家製塩辛 170円! 珍味ワタ和えのコクのあとのせいか、あっさり感でつるつるっと飲むように食べられるおいしさ。
自家製塩辛 170円! 珍味ワタ和えのコクのあとのせいか、あっさり感でつるつるっと飲むように食べられるおいしさ。
原点に返って……
いか刺身 170円! イカといえば刺身です。個人的にはミミの刺身には負けるけれど、やっぱり定番。ほのかな甘みとヌメり感がたまらない!
いか刺身 170円! イカといえば刺身です。個人的にはミミの刺身には負けるけれど、やっぱり定番。ほのかな甘みとヌメり感がたまらない!
ここらでお気づきの方も多いことでしょう。(というか、タイトルにも書いてありますからね) そう! メニューのほとんどが170円ポッキリ! しかも、小さなお皿でセコい量かというと、まったくそんなことはないのです。

ほとんどのお客さんが2品くらい注文して、2、3杯飲んで満足げに帰っていきます。

なんなの! ボランティアなの!?
ずらりと並ぶ170円。ゲシュタルト崩壊を起こしそう……。本当にボランティアなのかもしれない。
ずらりと並ぶ170円。ゲシュタルト崩壊を起こしそう……。本当にボランティアなのかもしれない。
いったん広告です

「あら? イカっておいしいわ」ママさんの気付き

そもそもなぜこんなにイカメニューが豊富なんでしょうか? 開店前に少しだけママさんの話を聞くことができ
た。

一時期、青森は八戸に住んでいたというママ。帰京して店を出す際にイカをメニューに加えたところ、あるときフト「あら? イカっておいしい……」と気付いて増えていったのだそうです。

でしょう!? そうでしょう!
「あら……?」こんな感じでしょうか。ぜんぜんちがいます。こんなマヌケなお顔はしていらっしゃいません。
「あら……?」こんな感じでしょうか。ぜんぜんちがいます。こんなマヌケなお顔はしていらっしゃいません。

カウンター内は「プロフェッショナル仕事の流儀」

人が1人通れるほどの狭いカウンター内は、バイトの青年と女性が飲みものと洗い場、そしてママさんは料理担当でした。

とはいえ、背筋が定規のようにピシッとしたママ、さすがです。お客さんの注文を完全に把握していて、まるでビビビビーっと方々にアンテナを張り巡らせているかのよう。めまぐるしく動くウデと手。的確な指示にこちらも緊張が走ります。

わたしはホレボレと、「プロフェッショナル仕事の流儀」をカウンター越しから観ているような気分になっていました。
イカみみ焼き 当然のごとく170円!
イカみみ焼き 当然のごとく170円!
イカげそ焼き あたりまえの170円!
イカげそ焼き あたりまえの170円!
イカなんこつ焼き もう書かなくてもいいっすかね、170円!
イカなんこつ焼き もう書かなくてもいいっすかね、170円!
どちらかというとナマが好きなわたしですが、こちらの焼き物、「んぐ~!(うっまー)」と悶絶するほどいい味でした。ほどよい甘みのついた醤油ダレが絶妙で、淡白な味わいっつーの? これならいくらでも食べられちゃいます。ヤッバー! 胃の中がイカだらけだよ~。
終始ニヤけた写真ばかり。これを至福と言わずしてなんと言おうか。
終始ニヤけた写真ばかり。これを至福と言わずしてなんと言おうか。

だって旨くて安いでしょ? 常連さんのコトバに納得

カウンター内の仕事の流儀を目の当たりにしたけれど、お客さんもなかなかの仕事(?)ぶり。
席を詰めるのもイヤな顔ひとつしない、カラダが斜めになろうがおかまいなし。もちろん長居はしない。
なんとジェントルな人たちでありましょう。

豊島園昆虫館の館長だった方、東大教授、大統領と呼ばれているナゾの人物に異世界のたのしいお話を伺いながら、絶品のイカを食する時間たるや!
みなさん雨の日も風の日も日参しているとのこと。なぜかと訊くと「だって旨くて安いでしょ?」あーそりゃそうだ!
〆のイカ納豆 言ってもいいですか? 170円です。
〆のイカ納豆 言ってもいいですか? 170円です。
さて、『やきや』さんにイカ愛はあったのでしょうか?
ありました。たしかにありました。滞りなくありました。っていうか負けたと思いました。

どれをとってもイマイチなんていうハンパな味はなく、逆のイミで納得のいかない(安すぎる!)お値段。
ここにイカ愛がないとすれば、世界中の一体どこにあるのでしょう?

お酒3杯、イカ料理9品で2400円です。思わず「いいんですか?」と疑いたくなるようなお勘定。
胃をイカで、ココロをイカ愛で充満させつつ店をあとにしました。

も1回言っていいですか?
イカが好きだあーーーっ!(以前にも増して)
やきや 荻窪店
東京都杉並区荻窪5-29-3
荻窪駅南口より徒歩2分
営業時間:16:00~23:00
定休日:日曜

イカ本も用意してございます。

ここまで散々書いてきたとおり、イカへの愛はとどまることを知りません。そこで、50人もの作家さんたちにご協力いただき、フルカラー56Pイカ専門の本を出版いたしました。
デイリー関係者では、べつやくれい/大北栄人/高瀬克子/森翔太/とみさわ昭人/玉置豊/クリハラタカシ/乙幡啓子(敬称略)のみなさまにご参加いただいております。

パリッコさん執筆で『やきや』さんのレポートもあり!

……とかいいつつ、しゃあしゃあとタコ本も出版しておりますので何とぞよろしくお願いいたします。
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