特集 2016年3月10日

人生初バーテンダー体験

「シモキタボール」を下北沢名物に

夜が更けるにつれ、お客さんが次々にやってきた。常連の男性が生ビールを注文する。この近くで整骨院を営んでいるそうだ。

「昔、高円寺に住んでて、こないだ久しぶりに行ってみたら、もう完全にピーターパンでさ」

それを言うなら浦島太郎では…という言葉を飲み込みつつ、生ビールを作る。
嬉しそうに生ビールを出すバーテンダー
嬉しそうに生ビールを出すバーテンダー
ちなみに、下北沢では「シモキタボール」というお酒を名物にしようとしている。ロックグラスに養命酒を注ぎ、レモンをちょっと絞り、炭酸水で割ったものだ。

ひと口飲ませてもらったら、おお、かなりおいしかった。
男気のあるデザイン
男気のあるデザイン
また、店には乾き物しかないが、すぐ近所の居酒屋「十七番地」から出前が取れるそうだ。
こだわりの串焼き
こだわりの串焼き
この日も実際にお客さんが頼んでいた。
奥はマッシュポテトチーズ500円
奥はマッシュポテトチーズ500円
それ以外で「いいな」と思ったのは、各スマホキャリアに対応した充電ケーブルを常備している点だ。
助かりますよね
助かりますよね
話がだんだんバーテンダーから逸れていったが、こうしたホスピタリティも飲食店の魅力を測る物差しのひとつかもしれない。

ジャグリングはボールが偶数だと難しい

気づけば午後11時過ぎ。お客さんは、さらに来る。

男性客から「チンチン」と言われた。さすが、深夜になると下ネタ解禁かと思いきや、チンザノロッソとチンザノエクストラドライで作るハーフ&ハーフとのこと。
「あ、そのボトルね」
「あ、そのボトルね」
初めて来店したというのに、バーテンダーより早くボトルの位置情報をつかんでいる。

聞けば、彼は副業でサーカスやジャグリングのプロデュースをしているそうだ。ここで、隣の客が「ボールのジャグリングって最高何個までできるの?」と聞いた。

答えは「たしか世界記録が13個だったはず」。
チンチンからのボールトーク
チンチンからのボールトーク
「ジャグリングの運動原理から、ボールは偶数だと難しい」という話が面白かった。いまここにいないと一生知らないままの知識を得られるのも、バーの醍醐味だろう。

スピーカーから流れるのは銀杏BOYZの「BABY-BABY」だ。
近くのバーのマスターが休憩がてら来店
近くのバーのマスターが休憩がてら来店
店は「みたび」というダイニングバーで、朝までやっているうえに料理がおいしいため、山崎さんは自分の店を閉めた後に時々行くという。

そこへ、「先生、SNSでの告知を見たよ」と言いながら塾講師時代の生徒が登場した。うわー。
右がその柴田、左は柴田の先輩
右がその柴田、左は柴田の先輩
東久留米市で塾講師をやっていたのは27歳まで。当時、柴田は中学生だった。いまの年齢を聞くと34歳だという。

「いま役者をやってて、ちょうど下北沢の劇場で公演中なんだよ」

僕はおもに数学を教えていて、3年2学期の数学の成績を2から3に上げた記憶がある。それを伝えると、「そうだっけ? でも夏期講習の地理の授業が、なんか怪しかったのは覚えてる」と言われた。

うん、突然ピンチヒッターで頼まれた授業で、地理には一切詳しくないからしょうがない。
話を聞いていた常連さんがチケットを買ってくれた
話を聞いていた常連さんがチケットを買ってくれた
テスト前しか勉強しなかった柴田は「慈五郎」という役者ネームで活動しているので、皆さん応援してやってください。

お客さんのお酒を作ることを最優先に

そして、バタバタしているうちにあっという間に閉店時刻が迫ってきた。
明日に備えて帰っていく柴田たち
明日に備えて帰っていく柴田たち
かなり密度の濃いひとときで、充実感がある。そして、ずっと立ちっぱなしだったので腰が痛い。
常に画面は割れている
常に画面は割れている
今日はたくさんお酒を作った。慣れてくるとカウンター内での無駄な動きがなくなる。そして、たくさん話をした。常連さんから沢尻エリカママの最新情報も聞いた。
幸いにもシェーカーを振る機会はなかった
幸いにもシェーカーを振る機会はなかった
売り上げの計算をしている山崎さんに「人生初バーテンダー体験、どこがよかったですか? そして悪かったところは?」と聞いてみた。

「飲み込みが早いですね。やっぱり、お酒が好きな人が作る感じがしました。気づかいもバッチリ」

逆に改善点は?

「メモを取ったり伝票に書いたりするのは後回しにして、お客さんのお酒を作ることを最優先にした方がいいと思いました。ある程度続けて、常連さんが好きなお酒も覚えてくると、また違う楽しさが生まれますよ」

納得。
1日ありがとうございました
1日ありがとうございました

またやりたくなっています

店を閉めて山崎さんと「みたび」でお疲れさまの乾杯をした。カウンターの中と外では、こんなにも景色が違うのかと驚いた。

カウンターの中はステージだった。バーテンダー体験、一回だけのつもりだったが、正直、またやりたくなっています。今夜、すべてのバーで。
右は「マスター、〇〇」シリーズの代官山のマスター。やはり円熟味が違う
右は「マスター、〇〇」シリーズの代官山のマスター。やはり円熟味が違う

<取材協力>
東京DOME(呑もうぜグループ)
http://nomouze.jp/dome/
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