特集 2016年3月12日

友の部屋:「生きてる?」「会社つぶれました」ほか全3編

「会社つぶれました」(林雄司)

これまで「会社つぶれました」という電話を受けたことが2回ある。

いちどは10年以上前、若い社長が率いる会社だった。別の担当が社長に会いに行くと頭に包帯を巻いて出てきたという。応接室の灰皿で殴られたそうだ。

いまと違って昔は応接室にごついガラスの灰皿があったのだ。あれで殴られたら相当痛い。痛いどころが死んでしまう可能性だってある。20世紀はそんなマッドマックスみたいな時代だったのだ。

僕は嫌煙家ではないが、あの灰皿がなくなったのは経営者には朗報だろう。怒った債権者に囲まれてもあれが武器になることはない。代わりにアルマイトの灰皿をおいておくと吉本新喜劇みたいでおもしろい。
会社名がどうしても思い出せない
会社名がどうしても思い出せない
しかし「会社つぶれました」という電話は正確には「倒産という形になりまして…」であった。

「カタチあるもの」「カタチないもの」という言い方があるが、倒産という形がないものでも「形」が登場するのはおもしろい。形という言葉は便利である。英語でいうところの関係代名詞みたいなものだろうか。

かつての部長の得意の関係代名詞は「世界」だった。「もうそこから先は営業の世界だ(「担当部署は営業部である」の意)」。「データベースっていうのは日本語処理の世界でさ、さきにガーッとインデックスを作っておく世界なんだよ」(データベースの仕組みのことを説明しているらしい)。もちろんそんな世界はない。営業だけの世界なんてない。

僕の口癖は「感じ」である。
「そこから先は営業って感じでさ」「データベースを先に作っておくって感じでー」と形でも世界でも感じでも言い換え可能だ。

倒産って形になってもあのガラスの灰皿みたいな世界がなくなったのは朗報って感じです。
感動をありがとうって感じで。

デイリーポータルZ友の会コラム「感動をありがとう」より

第1回は電気屋でののどかなエピソードだったのに、いつの間にか借金の話やクレームの話ばかりになってしまっていた林さんの連載。この裏話感がさすが会員向けコンテンツという感じです。
ちなみに友の会には広告企画がらみのもっと濃厚な裏話などもあるのですが、それはここに載せると支障があるので気になる方は↓のリンクへどうぞ。初月無料で全部読めます。(そのまま解約し忘れるのも手ですよ)
最後にもう1本。唐突にゴミに命を与えます。
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