特集 2015年12月8日

加湿器が、めちゃカワロボになりました!

1ヶ月かかった

いつも記事に載せる工作は1日か2日で作ってしまう僕だが(そのくらいが根気の限界である)、これに関してはたっぷり1ヶ月かかった。「ロボットにしますよ」と二つ返事で引き受けたものの、当然のことながらロボットなど作ったことがないのだ。

連日、明け方までの作業でたびたび会社に遅刻しそうになり、「うかつなことを言うべきではなかった…」と何度も後悔した。AmazonでCDを注文したのを忘れて別の通販サイトでも注文してしまい、2枚届いたこともある。

後者はあんまり関係ない気もするが、とにかくそんなふうに気もそぞろになるほど、時に没頭し、時に磨耗する作業であった。
抱っこしてくれと腕を伸ばしているようにも見える
抱っこしてくれと腕を伸ばしているようにも見える

トル太のできるまで

そんなジリジリとした製作の様子を少し見ていただこう。このロボットの名前はトル太という。トルネード加湿器の「トル」、そして犬っぽい名前にしようと思い「太」をつけた。語呂は激しく悪い。

作り始めの段階で、トル太には3つの機能を搭載することに決めた。
・歩く
・方向転換する
・給水する

繰り返しになりますが、当方簡単な電子工作のたしなみはあるものの、ロボットは作ったことないです。何のノウハウもないのですべて手探りでいく所存です。

1.歩く

作る上ではタイヤで走らせるのが楽だが、ペットとしては動物感重視でいきたい。移動は、足で歩かせることにした。
といっても自分では作れそうになく、タミヤのダチョウキットを使いました
といっても自分では作れそうになく、タミヤのダチョウキットを使いました
組み立てるとこう
組み立てるとこう
頭を外して固定用の板を乗せる
頭を外して固定用の板を乗せる
プロトタイプ1号
プロトタイプ1号
圧倒的な頭の長さ。ケースの中身は竜巻よりも、培養液で満たして脳みそでも浮かべておきたいたたずまいだ。
ビジュアル面はあとで整えるとして、まずは歩行のテスト。
重心が高すぎて、一歩も歩かず倒れてしまった。
重心が高すぎて、一歩も歩かず倒れてしまった。
まあ、そうなるよね…。

安定のため重心を下げたいが、上につけた付録本体の軽量化は難しそうだし、下におもりをつけるとモーターのパワーが足りず歩けなくなる

なのでここはちょっと強引にいく。
プラ板のかんじきを履かせて
プラ板のかんじきを履かせて
足の裏を広くする(何度も倒れたので作業台が水浸し)
足の裏を広くする(何度も倒れたので作業台が水浸し)
足をでかくして無理やり安定化を図ってみた。
こんな力技で解決するだろうか?
あ、歩いた!!頭を大きく振って、ものすごくフラフラとではあるが。

しかしこの「倒れそうになりながらギリギリ何とか歩いてる」感じ、まるで赤子のよちよち歩きを見ているようで、たまらなくかわいくないだろうか?(作業序盤にしてすでに親バカが)

2、方向転換

ここまではスムーズだった。1日で出来た。

さて歩けるようになったが、このままだとまっすぐ前にしか進めない。ベースにしているダチョウキットには、方向転換機能はついてないのだ。考えた末、手をつけることにした。手で「よいしょ」っと地面を漕いで、無理やり方向転換させるのだ。
木で腕のベースを作って
木で腕のベースを作って
関節を作りました。関節は一方だけに曲がるようにします。
関節を作りました。関節は一方だけに曲がるようにします。
できた腕を、本体に仕込んだモーターに接続。
できた腕を、本体に仕込んだモーターに接続。
腕はサーボモーター(普通のモーターみたいにずっと回転するんじゃなくて、決まった角度で止められるモーター)につながっていて、中に仕込んだマイコンで動かす。

手をつけて生き物っぽくなってきたところで、もうちょっとかわいい感じにしていきたい
配管用の部品と、配線に使うフタ(?)
配管用の部品と、配線に使うフタ(?)
虫カワだ(虫っぽくて可愛い、の意味)
虫カワだ(虫っぽくて可愛い、の意味)
目は左右違う部品を使うことでジャンク感を保ちつつ、キュートなフェイスを演出することに成功した。

続いてさっき付けた腕の動作確認。関節を一方にだけ曲がるように作ったのは、振り下ろして→戻す、という往復の動作だけで、うまく地面を漕げるようにするため。実際動作するかどうか、試してみよう。
曲がった!!
曲がった!!
これで曲がる機能も手に入れた。

腕を作る作業の説明はここまでで400字くらいだが、作業時間はたっぷり1週間かかった。
だいたい60文字で1日、5文字で1時間経過するペースだ。圧縮率を感じながら読んでほしい。

3.給水する

ここまでで、ただの加湿器を乗せたロボットだ。ねらいが愛玩用と言えど、もうちょっと機能面でも加湿器ロボである必然性がほしい。そこで自動給水機能である。

付録の加湿器はタンクがあまり大きくないので、持続時間もまあそこそこ、といった感じ。そこでロボットに給水機能を持たせ、長時間使えるようにするのだ。あと、多少「働いてる感」を出すことで健気さも演出していきたい。
これを背負わせることにした。上半分が水タンク。下は電池ケース。電池を本体から外すことで、、軽量化も兼ねる。
これを背負わせることにした。上半分が水タンク。下は電池ケース。電池を本体から外すことで、軽量化も兼ねる。
裏にはキャスター。これを引きずりながら歩く。
裏にはキャスター。これを引きずりながら歩く。
荷物を引っぱらせた状態で、もう一度歩かせてみよう。前進+方向転換のあわせ技がうまく動くかどうかも気になる。
一応歩く(すごい左に寄っていきますが…)
いちおう歩いてる!問題はまっすぐ進まないことと、手を使った方向転換がうまくいってないところ。ここはおいおい調整で…。

それから、動画にあるとおり、途中で動作をいったん立ち止まって、考えるそぶりを見せるようにした。(犬だとこのあとおもむろに排泄行為に入るしぐさだが、トル太にはそんな機能はないので安心である。)

さて、水を運ぶところまではできたとして、運ぶだけでは意味がない。加湿器に入れなきゃいけない。ポンプを使えば一発だが、簡単に手に入りそうなポンプは水槽の水換え用が最小サイズで、ここに乗せるには大きすぎる。
考えた末、桶で汲み上げることにした。
本人にだけものすごくわかりやすい設計図
本人にだけものすごくわかりやすい設計図
桶の下のほうに穴を開けて、チューブを接続できるようにした
桶の下のほうに穴を開けて、チューブを接続できるようにした
チューブの反対側は加湿器のタンクにつながっている
チューブの反対側は加湿器のタンクにつながっている
そして本体のおしりに上下に動く尻尾をつけて、
そして本体のおしりに上下に動く尻尾をつけて、
先端から桶をつるす
先端から桶をつるす
尻尾を下ろすと桶が水中に沈んで水を汲み、尻尾を上げると桶が持ち上がるので、チューブを通って水が加湿器のタンクに流れ落ちる。

なんか机上の空論っぽいメカニズムだが、何度かの調整(と一口で言っても3日かかっている)の末、なんとか完成した。見てくれこのGIFを。
スルスルスル…
スルスルスル…
完璧な動きだ!(3回に1回くらいの成功率だが)

4.おまけ

あとはより生き物っぽくするため、いくつかの部品を足した。
スピーカーをつけて喋るように
スピーカーをつけて喋るように
触覚?のところに光センサを入れて、暗いほうに向かっていくようにした。
触覚?のところに光センサを入れて、暗いほうに向かっていくようにした。
あと写真を撮り忘れたけど、片目にLEDを入れて光るようにした。

で、いろいろ付けたら重くなって2速歩行できなくなったので、方向転換用だった手を前足にして4速歩行にした。

そうした幾多の行き当たりばったりを乗り越え、なんとか完成したのがこちらのロボットである!
正面
正面
ななめから
ななめから
上から
上から
顔
そして動いている様子もどうぞ。
最初に尻尾で水を汲んでいるのがわかるだろうか。この動作は相変わらず、3回に1回くらいの成功率である。(他の2回は床に盛大にぶちまける)

動きも、前進したり、手を使って方向転換したりと多彩……なはずなのだが、終盤のパーツ追加で体が重くなり移動しにくくなってしまい、総じて「何かモゾモゾしてる」ようにしか見えない。

しかし、これらが全部チャームポイントだっていうんだから、恐ろしい話ではないか…!

学研の人に見せる

と思っていられるのも、1ヶ月かけてこれを作った自分の親心の範疇だけである。そういえばこの企画、大人の科学の企画だった。学研の人に見てもらわなきゃいけないのだ。

なにぶん、二つ返事での「ロボット作りますよ!」発言からの、このポンコツである。怒られる可能性、ゼロではない…いやむしろ…。
不安になってもう少し飾り付けした結果、頭がより長くなったトル太が…
不安になってもう少し飾り付けした結果、頭がより長くなったトル太が…
学研のみなさんと対面
学研のみなさんと対面
怒られるかもしれない。ただ怒られた場合でも、俺のことを悪くいうのは仕方がない、でもトル太のことを悪く言うのは許さん!!

と、なぜか逆ギレする覚悟でいたのだが、皆さんの反応はいたって好評、好意的であった。よかった…。
笑顔で迎えられるトル太
笑顔で迎えられるトル太
この和やかなムードである
この和やかなムードである
すごいアングルから写真を撮られるトル太
すごいアングルから写真を撮られるトル太
そうこうするうちに転んで動けなくなるトル太
そうこうするうちに転んで動けなくなるトル太
転倒した瞬間、そこにいたメンバー全員の胸がキュンと鳴る音が聞こえた。いままでトル太の可愛さにピンと来てなかった読者のみなさんも、これには心打たれたのではないだろうか。実際はこれがこのままのポーズでジタバタするのである。

記事のほうでは作者とあわせての紹介ということで、僕も映りこんでの撮影もあった。
カメラマン「子供をあやすようなポーズおねがいします」
カメラマン「子供をあやすようなポーズおねがいします」
「『おいで、おいで』って応援するような感じで」
「『おいで、おいで』って応援するような感じで」
「誉めてあげてください」
「誉めてあげてください」
ほめるも何もトル太はポンコツなので全然前進できていないのだが、それでもほめまくる。
褒めがエスカレートして、言われてないのに抱きしめてしまう
褒めがエスカレートして、言われてないのに抱きしめてしまう
一人でどっかにいこうとするトル太
一人でどっかにいこうとするトル太
ちょっと首を傾げたようなところがたまらない。
ちょっと首を傾げたようなところがたまらない。
1対1で接していると、作者-作品の関係であったトル太。そのときの印象はあくまでロボットとしての可愛さであったが、こうやってたくさんの人で囲むことによって、より生き物っぽいというか、ペットっぽい存在感を放っていた。

全然ルンバじゃなかったけど

ルンバにならい作り始めたこのロボット。仕上がってみると、ポンコツだわ露骨に愛され狙いのビジュアルだわで、全然ルンバと似ても似つかないところにたどり着いていた。

ともあれこのかわいさ、普段から家の中に放し飼いして、息子にもう一人家族を作ってやるのもありだな、と思う。
ただし、もう少しモーター音が静かなら…。と不必要なところだけルンバと瓜二つであった。
暗いところでは意外な渋さを見せる
暗いところでは意外な渋さを見せる

雑誌「大人の科学マガジン vol.43」にこのロボットの記事が載っています。
トルネード加湿器 | 大人の科学マガジン

さらに、台湾でも発売されてるとのこと!
大人的科學10:極光龍捲風
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