特集 2015年5月27日

矢印だらけ

日常に溢れに溢れてる矢印を鑑賞してみました。これ、僕が一番好きなやつ。
日常に溢れに溢れてる矢印を鑑賞してみました。これ、僕が一番好きなやつ。
矢印が多すぎる。あまりにも世界は矢印に満ちていて、僕らは気がつくと矢印に従っている。

クソッ、人間様なんて言ったって、たかがあんな記号に従う存在なのだ。なにが霊長類ヒト科だ、情けない。

だから、矢印をじっくり見てやることにした。無意識に従うのはもうごめんだ。見てやる!矢印!!(謎の衝動)
あばよ涙、よろしく勇気、こんにちは松本です。

1976年千葉県鴨川市(内浦)生まれ。システムエンジニアなどやってましたが、2010年にライター兼アプリ作家として自由業化。iPhoneアプリはDIY GPS、速攻乗換案内、立体録音部、Here.info、雨かしら?などを開発しました。著書は「チェーン店B級グルメ メニュー別ガチンコ食べ比べ」「30日間マクドナルド生活」の2冊。買ってくだされ。(動画インタビュー)

前の記事:滋賀の選挙は『のぼり旗』が乱立している

> 個人サイト keiziweb DIY GPS 速攻乗換案内

駅が矢印だらけだ

特に矢印が多いのが駅だ。もう、あちこちに矢印が描かれていて、僕らはそれに従って便利に乗り換えしたり目的の場所に行けたりする。

悔しいけど矢印って便利だ。
JR新橋駅と東京メトロ日本橋駅で採集した矢印たち。
JR新橋駅と東京メトロ日本橋駅で採集した矢印たち。
駅で矢印の写真を撮っていて気付いた事がある。ほとんどの矢印が同じタイプなのだ。
こういう矢印。
こういう矢印。

海外の駅も同じタイプの矢印だった

東京メトロとJRだけでなく、過去の写真を探したらスイスのジュネーブ駅でも同じ矢印が使われていた。
ジュネーブ空港から歩いてジュネーブ駅まで行って撮ってきた写真(普通は歩いて行かない)。
ジュネーブ空港から歩いてジュネーブ駅まで行って撮ってきた写真(普通は歩いて行かない)。
フランスのモンタンベール駅もこのタイプの矢印だった。駅ではこの矢印を使う事が多いのだろうか。

矢印も可愛いけど、上に書かれたアイコンも可愛い。
矢印も可愛いけど、上に書かれたアイコンも可愛い。
『こういう矢印』って言われても判らないかも知れないので解説すると、つまりは下の写真の様な矢印のことだ。
アローヘッドの左右の辺がシャフトと平行な矢印。
アローヘッドの左右の辺がシャフトと平行な矢印。
いきなり専門用語で恐縮だが、矢印の矢尻の部分をアローヘッド、真ん中の線をシャフトという。

この、アローヘッドの外側の線とシャフトが平行な矢印が駅には多い。稀に例外もあったが、案内板は全て平行型の矢印だった。
駅で見つけた平行型以外の矢印たち。
駅で見つけた平行型以外の矢印たち。
だからどうしたって話でもあるんだけど、駅の矢印はほぼ平行型である。しかしその勢いは駅にとどまらず、街には平行型の矢印が溢れていた。
平行型矢印の一例。
平行型矢印の一例。
人間に『向こうに進みなさい』と指示する矢印は、大体平行型。
人間に『向こうに進みなさい』と指示する矢印は、大体平行型。
もうちょい見ていただこう。
急カーブの矢印も平行型。
急カーブの矢印も平行型。
役所の場所も平行型で示されている。
役所の場所も平行型で示されている。
船の乗り場を示す矢印も平行型。シャフトの根元が波になっているのが可愛い。
船の乗り場を示す矢印も平行型。シャフトの根元が波になっているのが可愛い。
ジュネーブの信号も方向指示は平行型だった。
ジュネーブの信号も方向指示は平行型だった。
葛西臨海公園はとにかく平行型矢印が多い。
葛西臨海公園はとにかく平行型矢印が多い。
真ん中に線が入った、ちょっとだけ珍しい平行型矢印。
真ん中に線が入った、ちょっとだけ珍しい平行型矢印。
フランスの山小屋で見つけた非常口マークにも平行型矢印。
フランスの山小屋で見つけた非常口マークにも平行型矢印。
エレベーターもトイレも非常口も、僕らは平行型矢印に導かれている。
エレベーターもトイレも非常口も、僕らは平行型矢印に導かれている。
駅も道ばたの看板も商業施設も海外も、人間が進む方向を示す矢印はほぼ平行型である。

この形だとそっちに行きたくなってしまうのだろうか。樹液を求めて集まるカブトムシみたいに、人類は平行型矢印を見るとそっちに行きたくなってしまう。

それでいいのか、人類よ(いいんでねーの)。

次のページでは『そっちに進め』が多発する交通標識の矢印を見ていきます。

交通標識の場合、平行型はほとんどない

駅や街中でシェアが高い平行型の矢印だが、これが道路交通の標識になるとほとんど見つからない。

下の写真にはざっと14の矢印があるが、全て平行型ではない矢印である。便宜上、形が似ているから『イカ型』とでも名付けておこう。
標識は全てイカ型の矢印である。
標識は全てイカ型の矢印である。
おそらく視認性の問題だろう。平行型の矢印を道路に書くと線が多すぎて見づらいから、イカ型を使っているのだと思う。
斜めから見ても方向と形を視認しやすいイカ型矢印。
斜めから見ても方向と形を視認しやすいイカ型矢印。
しかし、実は道路の矢印と標識の矢印は微妙に形が違う事にお気づきだろうか。
標識の場合はアローヘッドの折り返しがするどい。
標識の場合はアローヘッドの折り返しがするどい。
道路に書かれた矢印はアローヘッドが直角なのに対し、標識の場合は少し鋭角になっている。これも視認性の問題だろう。だが、例外もあったりする。
最近普及している自転車走行レーン。これを逆送してくる人を見るとイラっとしますよね。
最近普及している自転車走行レーン。これを逆送してくる人を見るとイラっとしますよね。
自転車レーンの場合はたまに平行型が使われていたりする。自動車用の標識よりも規格が緩いのかも知れない。
道路ではレアな平行型。しかも笠が3枚。
道路ではレアな平行型。しかも笠が3枚。
一般的な道路標識に使われている矢印は全て鋭角イカ型である。平行型矢印はイレギュラーであると理解していただきたい。
標識の矢印は全て鋭角イカ型だ。
標識の矢印は全て鋭角イカ型だ。
ジュネーブで見つけた標識も鋭角イカ型であった。色使いも共通である。シャフトの下がわずかに膨らんでいて奥行き感が出ているのが可愛い。
外国のこういうサインってことごとく可愛く見える。『食べ慣れないものがご馳走理論』かもしれないが。
外国のこういうサインってことごとく可愛く見える。『食べ慣れないものがご馳走理論』かもしれないが。
ちなみに前ページで見たスイスの信号は矢印が平行型だったが、日本の信号では違う形になっている。

直角のアローヘッド線とシャフトで構成された、傘型の矢印である。個人的な嗜好としては、このタイプの矢印が一番好きだ。
信号ではなぜか傘型矢印を採用。
信号ではなぜか傘型矢印を採用。
次のページでは色んな変わった形の矢印を紹介します。

変わり種を紹介

このページでは、ちょっと変わった感じの矢印達を紹介したい。まずはサーティーワンアイスの行列矢印。
ポップ体のメッセージと足跡、Rマーク付きのロゴと盛りだくさん。
ポップ体のメッセージと足跡、Rマーク付きのロゴと盛りだくさん。
サーティーワンの矢印はもう、ひたすらに可愛い。分類としては傘型になるのだが線の端が丸いとか文字入りとか、亜種にも程がある。

次も可愛い系。
点線の傘型矢印。良い。鳥が良い。
点線の傘型矢印。良い。鳥が良い。
どうだ、これも可愛いだろう。人間を誘う矢印なので、一般的には平行型が使われそうなところだが、これは平行型にはない温もりがある。

お次はコレ、半切り型。

コインパーキングの看板だが、こういうところで半切り型は珍しい。
コインパーキングの看板だが、こういうところで半切り型は珍しい。
矢印を半分に切った形の半切り型だが、カードとか小さい物に使われる事が多い。上の看板みたいな大きな物に使われる例は、実は少ない。
デザイン上の制約で半切り型を使う事が多いようだ。
デザイン上の制約で半切り型を使う事が多いようだ。
観察していると、デザインの都合でスペースが足らないとか、文字のラインに合わせたいとか、そういう理由で使われているのかなと推測される。
上高地のトイレの看板。手前のカッパが持っている看板には半切り型矢印が描かれているが、奥のトイレにはイカ型矢印が描かれていた。
上高地のトイレの看板。手前のカッパが持っている看板には半切り型矢印が描かれているが、奥のトイレにはイカ型矢印が描かれていた。
これも半切り型だが、いかにも亜種である。
これも半切り型だが、いかにも亜種である。
視点を小さいところにも向けてみよう。

ガチャガチャのハンドルにも半切り型、細かい部分では三角矢印が描かれている。三角矢印はシャフトが無いので矢印と定義していいものか議論の余地があるが、ここでは矢印として扱いたい。
ガチャガチャのデザインは大体こういう感じで共通している。
ガチャガチャのデザインは大体こういう感じで共通している。
また、自販機にも半切り型の矢印が使われている。『廻す』という行為を示す場合は半切り型が多いようだ。

お札を入れる部分にはイカ型矢印が描かれていて、これはどの飲料メーカーの自販機でも同じ形である。タバコの自販機も同様だったので、『自販機のお札を入れる部分の蓋』は寡占状態なのだろう。
自販機のこういうアイコンは多くが同じ形である。メーカーが限られているのだろう。
自販機のこういうアイコンは多くが同じ形である。メーカーが限られているのだろう。

駐車場の矢印は様々

駅や道路交通の様に規格化された矢印と違って、民間施設の駐車場は自由な矢印の宝庫である。
不揃いなイカ型矢印が良い。
不揃いなイカ型矢印が良い。
平行型はもちろん、イカ型、傘型など様々である。ロードサイドのファミレスは特に様々で、矢印界のカンブリア期である。
デニーズの矢印は可愛い。
デニーズの矢印は可愛い。
華屋与兵衛は短めのイカ型である。
目立つけど、華屋与兵衛の和食なイメージとはなんか違う看板。むしろ中華っぽい。
目立つけど、華屋与兵衛の和食なイメージとはなんか違う看板。むしろ中華っぽい。
馬車道はシャフトが極度に細いイカ型。
馬車道の矢印はこういう形。馬車道の場合、店によって形が違っていたりして奥が深い。
馬車道の矢印はこういう形。馬車道の場合、店によって形が違っていたりして奥が深い。
他に、ココスは平行型だったり、ロゴとの兼ね合いやブランドイメージを考慮しているのだと思うが、ファミレスの駐車場は矢印に注目すると面白い。

電撃も矢印になる

次はまた変わった矢印。心肺停止しちゃった人に使う電気ショックの機械、AED。最近よく見かけるが、ハートマークに電撃矢印がアイコンとなっている。この様に、電撃の場合はギザギザの矢印で表される。
レア矢印。電撃型。
レア矢印。電撃型。
フランスのシャモニーで見つけた感電注意の看板も同じ電撃矢印が使われていた。
レールには850ボルトの電気が流れていて、死の危険があるって書いてある。超こえぇ。
レールには850ボルトの電気が流れていて、死の危険があるって書いてある。超こえぇ。

手描きも良い

今までの矢印は印刷したのとか、結構きちんと描かれたものだったが、道路には手描きとおぼしき矢印が残されていることもある。
足跡と矢印の組み合わせ。輪郭のかすれ具合が良い。
足跡と矢印の組み合わせ。輪郭のかすれ具合が良い。
スプレーでサッと描いたような気軽な感じが良い。
スプレーでサッと描いたような気軽な感じが良い。
きちんと書かれている様に見えるが、輪郭がかすれておりおそらく手描き。たまらん。
きちんと書かれている様に見えるが、輪郭がかすれておりおそらく手描き。たまらん。
山道の分岐を示す看板の矢印。山道も矢印が多い。
山道の分岐を示す看板の矢印。山道も矢印が多い。

テープの矢印も好きだ

屋内の場合はペンキで描いてしまうわけにもいかず、というわけでテープが貼られていることも多い。

そんな手作りな矢印も僕は好きだ。
特に、こういう傘型の矢印が良い。
特に、こういう傘型の矢印が良い。
テープの貼り方には個性があり、こういう先端が欠けた矢印もある。
先端を平らにするパターンは他では見た事がなかった。レア矢印である。
先端を平らにするパターンは他では見た事がなかった。レア矢印である。

過剰な感じもたまらん

下の写真はコインパーキングの料金支払機だが、三角矢印やらV字矢印やら、過剰な矢印ぶりがかなり良かった。
矢印だらけでゴチャゴチャしてて良い。
矢印だらけでゴチャゴチャしてて良い。
次のページでは、特に良いと思った秘蔵の矢印を紹介します。

普通の矢印なんですけどね

秘蔵って言っても、特に変わった形をしてるわけでもない、普通の矢印である。

下の写真はトルコのイスタンブール空港の案内板。僕が好きな直角傘型矢印が5つも描かれている。

どうだ、グッと来るだろう。
すごく格好良いと思いませんか。
すごく格好良いと思いませんか。
下の写真はシャモニーにある観光地モンタンベールで見つけた。赤字に堂々たる白のアイコン。すごく良い。
アローヘッドのサイズとシャフトの長さが特に良い。
アローヘッドのサイズとシャフトの長さが特に良い。
なんでこんなに良いのか、パースのズレを補正して長さを測ってみた。なんとアローヘッドとシャフトの長さが黄金比である1:1.61になっていた。
黄金比については諸説ありますが、良いと感じるんだから仕方ない。
黄金比については諸説ありますが、良いと感じるんだから仕方ない。
モンタンベールの看板は他のアイコンも非常に可愛くて、デザインをパクるべく写真をたくさん撮ってきた。
矢印じゃないけど、この?の形がすごく良い。円とのバランスも良い。
矢印じゃないけど、この?の形がすごく良い。円とのバランスも良い。
ジュネーブでみた信号の押しボタンも良かった。文字が書かれておらず、矢印とボタンのみで構成されている。
傘型矢印とボタンのみというシンプルさ。
傘型矢印とボタンのみというシンプルさ。
外国のこういうデザインは本当に良い。こういうセンスは遺伝子的なものなのか、文化的なものなのかどっちなんだろう。
一見すると単なる傘型矢印だが、微妙に太さが変わっていく、アローヘッドの終端がエレガントである。
一見すると単なる傘型矢印だが、微妙に太さが変わっていく、アローヘッドの終端がエレガントである。
ゴミ箱のデザインとリサイクル矢印の感じもいい。判りやすい。
ゴミ箱が可愛いすぎて家に欲しい。
ゴミ箱が可愛いすぎて家に欲しい。
なんてことない軽食屋さんの看板もこの有様であり、可愛い。
原っぱに唐突に立っている看板。系統としてはサーティーワンタイプ。
原っぱに唐突に立っている看板。系統としてはサーティーワンタイプ。
ホテルにあった案内板も、矢印はもちろんアイコンがいちいち可愛くて萌えた。
萌えー。
萌えー。

従いたくない矢印もある

矢印への反骨で始まった当記事だが、どうにも僕は矢印が好きで従いがちになっている様な気がしてならない。

そんな中、非常に従いたくない矢印を見つけた。

それがコレ。
従っちゃダメなやつだ、これ。
従っちゃダメなやつだ、これ。
以上です。

矢印=鳩

矢印はそこらじゅうに描かれているし、気付かずに従ってるし、自分もよく使う。このありふれ方は鳩のそれである。

だが、そんな存在だからこそ改めて注目して見ると意外な発見がある。使い方に工夫があったり、デザインに凝っていたり、逆に雑だったり。

矢印に込められた想いを想像してみるのもなかなかいいもんですよ。

お知らせ:Androidアプリを作りました

ずっとiPhoneアプリを作っていましたが、Androidアプリを作ってみました。名前は『雨かしら?』。雨が降っている場所を地図でリアルタイムに確認出来るアプリです。日本全国で使えます。

Google Play 雨かしら?

指定地点の天気予報を表示したり、百名山のデータが最初から入っていたり、天気予報アプリとしても使えます。無料ですので使ってみてください。

あと、iPhone版が好評の登山用GPSアプリ『ジオグラフィカ』もAndroid版を作っています。現在はコミュニティでαテストをしていますので、山好きのAndroidユーザーはチェックしてみてください。

Geographica 新世代オフラインGPSアプリ
▽デイリーポータルZトップへ

デイリーポータルZを

 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ

↓↓↓ここからまたトップページです↓↓↓