特集 2014年5月16日

30年前のガイドブックで札幌を食べ歩く

30年前のガイドブックに載っているお店に行きます!
30年前のガイドブックに載っているお店に行きます!
どこかに旅行に行く際にガイドブックを買う。本屋に行けば観光地別に多くのガイドブックが並んでいる。名物やオススメのお店の紹介など。そんな内容だ。

もちろんこのようなガイドブックは30年前にも存在する。30年前のガイドブック。今そのガイドブックに載っているお店はどうなっているのだろうか。残っていれば必ず美味しいはずだ。だって不味いと潰れているはずだから。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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> 個人サイト Web独り者 彼女がいる風の地主恵亮

30年前の札幌のガイドブック

毎年最新の情報が盛り込まれたガイドブックが出版される。誰もが最新の情報が欲しいのだ。しかし、である。古いガイドブックに載っているお店が今もあるならば、それは必ず美味しいお店なのではないだろうか。もっとも信頼できる情報と言える。
昭和61年に出版されたガイドブック!
昭和61年に出版されたガイドブック!
今から28年前(昭和61年)に出版された札幌のガイドブックを手に入れた。1986年。「ドラゴンクエスト」や「写ルンです」が発売された年であり、成分献血が始まった年でもある。北海道で言えばまだ青函トンネルは完成していない。そんな年のガイドブックだ。
昭和61年
昭和61年
保育社から出ている「札幌いい味101店」。1986年に出版されたこのガイドブックに載っているお店に、2014年のいま訪れてみたいと思う。はたして残っているのだろうか。だって28年だ。当時生まれた子供は結婚して子供がいてもおかしくない。いま28歳の私は未だに独り身だけれど。
ということで、札幌にやってきました!
ということで、札幌にやってきました!

札幌駅も違う

札幌を訪れたのは4月の上旬のことだった。まだ雪が残っている。駅付近は高い建物が並び、28年前のガイドブックに載っているお店が残っているのかと心配になる。札幌駅からしてもう全く違う。成り上がったような姿になっているのだ。
1988年の札幌駅
1988年の札幌駅
2014年の札幌駅
2014年の札幌駅
現在から26年前(昭和63年)に今回のガイドブックと同じ保育社が出版した「おもしろ駅図鑑1東日本」に札幌駅が載っていた。ガイドブックより2年新しいが、今の札幌駅とは駅名以外名残がなかった。ライダーもいない。いきなり約30年という時間の長さを感じる。
時間の長さを感じつつ、まずはこのお店に行きます!
時間の長さを感じつつ、まずはこのお店に行きます!

カフェバンカム918

最初に行くお店は「カフェバンカム918」。うまい焙煎と評価の高いリヒト珈琲の豆を使うコーヒー専門店だそうだ。中央区大通り西17にお店はある。札幌は碁盤目状に街が形成されているので、ガイドブックの地図は曖昧だけれど、目的のお店は容易に見つかるはずだ。今もあればだけれど。
ここにあるらしい
ここにあるらしい
地図によれば「西18丁目駅」の近くにあるらしい。駅前には「ホテルひぐま」というホテルもあるようだ。実に北海道らしい素晴らしき名前だ。その近くに「カフェバンカム918」はある。ホテルひぐまに泊まって、朝はカフェバンカム918でコーヒーを飲むのだ。それが札幌観光の朝である。
ということで、西18丁目駅に来たけれど、
ということで、西18丁目駅に来たけれど、
ホテルひぐまがない!(このどれかが元ホテルひぐま)
ホテルひぐまがない!(このどれかが元ホテルひぐま)
ホテルひぐまはなくなっていた。地図がレシピの塩少々のように曖昧なので、厳密にはどこか分からないが、ホテルひぐまの文字は見当たらない。しかし、メインはホテルひぐまではない。カフェバンカム918だ。その場所に行き着いた。
1986年のカフェバンカム918
1986年のカフェバンカム918
2014年のカフェバンカム918
2014年のカフェバンカム918
カフェバンカム918は19世紀のヨーロッパの雰囲気を近代的にアレンジした店内だったそうだ。ただ現在はおにぎり屋さんになっていた。

カフェバンカム918は今はないのだ。コーヒーからおにぎりへの変化。和になった。

近くにいたタクシーのドライバーさんに聞けば、この辺りも変わったな、と言っていた。ひぐまもバンカムもないのだ。これが28年という時間なのだと思う。
ちなみに地図にあった「けいほくビル」はあった!
ちなみに地図にあった「けいほくビル」はあった!
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牛の里

次は肉を食べたいと思い「牛の里 札幌店」に行くことにした。白老牛を安い値段で食べることにできるそうだ。味付けしていない肉をお客さんが炭火で焼き、お好みの焼き加減にして、味付けをして食べると書いてある。焼き肉ということでいいのだろうか。
牛の里
牛の里
ここにある
ここにある
円山公園駅からすぐの場所にあるようだ。サーロインステーキが2700円からとのこと。普段なら高くて食べないけれど、東京から札幌に旅行に来ているのだから、払ってしまおう。物価の上昇を考えたら今はもっと高いかもしれないが、札幌で清水の舞台から飛び降りようではないか。
円山公園駅にやってきました!
円山公園駅にやってきました!
地図を見ると大きな通りにあり、角にあることも分かる。曖昧な地図でも分かりやすい場所だ。当時の2700円は今ではいくらになっているのかとドキドキする。取材当時は消費税が8%になったばかりだ。ちなみにこのガイドブック当時はその消費税もまだなかった。
1986年の牛の里
1986年の牛の里
2014年の牛の里
2014年の牛の里
迷わずにすんなり辿り着くことはできたが、「牛の里」はなくなっていた。何の里でもないのだ。リフォームを扱うお店や花屋さんが入るビルとなっている。俺のサーロインステーキがどこにもない。値段的に少しほっとした気もするけれど。
お花屋さんに聞いた
お花屋さんに聞いた
ビルに入っていた花屋さんに「牛の里」について聞いた。知らない、という答えだった。10年ほどここで花屋さんをしていて、その花屋の前もケーキ屋だったそうだ。つまりかなり前からここは牛の里ではないようだ。ちなみにここは札幌店で白老には今もキチンと牛の里はあるそうだ。
次はこのお店に行きます!
次はこのお店に行きます!

牛助

お肉を食べたいという気持ちを満たすことができなかったので、次は「牛助」という牛タンのお店に行くことにした。牛タンの専門店。北海道に牛タンのイメージはないけれど、ガイドブックを読めば店長が仙台出身らしい。
ここにあります!
ここにあります!
「すすきの」の辺りはお店が集中している。アーバン札幌というビルの地下にあると書いてある。地図から察するに激戦区のようだが今もあるのだろうか。札幌はジンギスカンや焼き鳥が強い場所だ。当時は牛タンセットが990円。手頃だ。これなら払えるがあるのか心配。
アーバン札幌を発見!
アーバン札幌を発見!
地図通りの場所に「アーバン札幌」は存在した。2階にはインターネットカフェがあった。きっとガイドブック当時には存在しなかったお店だ。やはり入れ替わりが激しい場所なのかもしれない。牛助があるのはこのビルの地下1階だ。
1986年の牛助
1986年の牛助
2014年の牛助
2014年の牛助

牛助があった!

牛助は存在した。ガイドブックの写真と寸分違わない外観だ。今のガイドブックにこの写真を載せても何の問題もないだろう。だってもう全く変わっていないのだ。約30年の歳月で変わるものもあれば、変わらないものもあるのだ。
値段もそんなに変わっていない!
値段もそんなに変わっていない!
お店に入り、メニューを見ると値段もあまり変わっていなかった。さらにお話を聞けば、ほぼ何も変わっていないのだそうだ。味付けも変わらないし、もちろん作っている人も変わっていない。30年前がここにはあるのだ。

当時なかったテールラーメンのようにメニューは増えているが、減ってはいない。進化はキチンとしている。
牛タンセットを注文
牛タンセットを注文
美味しそう!
美味しそう!
美味しそうである。実に美味しそうである。ガイドブックに載った当時はこのお店ができて間もない頃だった。やはりジンギスカンや焼き鳥に押されてお店は大変だったそうだ。

でも、今もお店は残っている。お店の方に話を聞けば「頑張ったから!」と言っていた。実に分かりやすくその通りの答えだ。
ガイドブックの通り麦めしと牛タンの組み合わせが素晴らしい!
ガイドブックの通り麦めしと牛タンの組み合わせが素晴らしい!
牛タンの歯ごたえ、シンップルな味付け、麦飯、全てが最高の組み合わせだ。美味しいのだ。美味しくて震えているのだ。そして、お店の人が優しい。この人柄も今もお店がある理由だと思う。札幌を大好きになった瞬間だ。味と人柄。鰺と鶏ガラだと料理みたいだ。
美味しくて嬉しくて、記念撮影をしてもらった!
美味しくて嬉しくて、記念撮影をしてもらった!
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ラビリンス

次に向かうのは「ラビリンス」。コンクリートボックスの外観が特長的な喫茶店だ。ドリップで一杯一杯おとしてくれるらしい。初々しいママが美味しいコーヒーをいれてくれるとある。もし今あれば初々しいママではなく、もはやいろんな意味でマスターだ。
ラビリンス
ラビリンス
場所はここ
場所はここ
北18条駅の近くにあるのが分かる。駅以外に頼りになる目印がないのが、この時代のガイドブックの傾向だ。しかしラビリンスは特長的な外観なのできっと分かるだろう。ちなみに当時の値段はコーヒーが350円。値段は普通だ。
北18条駅に到着
北18条駅に到着
この辺りには高い建物も少なく、すすきのなどに比べればずっと静かだ。地図を見ると分かるように近くには北海道大学があるので、学生がきっとやってくる喫茶店なのだろう。学生が集うラビリンス。就職難を表しているような感じだ。
1986年のラビリンス
1986年のラビリンス
2014年のラビリンス
2014年のラビリンス
ガイドブックにある特長的な建物が残っていた。しかし、お店の名前が違う。「アガリコサユール」というワインと創作エスニック料理のお店になっている。オシャレだ。学生時代こういうお店で女子とランチをしたかった。
現在はアガリコサユール
現在はアガリコサユール
現在のお店の方にお話を聞けば、アガリコサユールは最近オープンしたお店で、その前はブラウンオールカフェというお店が3年ほどあり、さらにその前は「ディッセンバーなんとか」というお店が20年ほどあったそうだ。

お店の方はラビリンスは知らなかったけれど、おそらくその前がラビリンスだったのだろう。初々しいママは見れなかったけれど、建物が見れたのは嬉しい。
いま見ても特長的な建物だ!
いま見ても特長的な建物だ!

カランドリエ

最後は「カランドリエ」というカフェに行こうと思う。カランドリエとはフランス語でカレンダーという意味だそうだ。日替わりランチやママの手作り料理が楽しめるとのこと。写真を見ると実に優雅な店内である。
カランドリエ
カランドリエ
地図でいうとここ
地図でいうとここ
円山公園に近い場所にあるコチラのお店。お店の前には白樺がはえている。ガラス張りの店内から季節の移り変わりが分かるのだ。白樺の葉の緑が濃い春、枯れる秋など、ここでコーヒーを飲みながらそのような季節を楽しむのだ。だから「カランドリエ」らしい、そうガイドブックに書いてあった。
1986年のカランドリエ
1986年のカランドリエ
2014年のカランドリエ
2014年のカランドリエ
ガイドブックのお店が、地図通りの場所にあった。白樺がなくなっていたりと違う点もあるが、一番違うのはお店の名前だ。カランドリエではなく「円山花笑夢」と掲げられているのだ。ラビリンス同様に変わったのだろうか。
円山花笑夢
円山花笑夢
でも、カランドリエの名前も残っている!
でも、カランドリエの名前も残っている!

入ってみよう

お店はお休みだったが中に人がいたので思い切って、ドアをトントンとするとお店の中に入れてもらえた。優しそうな男の人だ。ガイドブックには中野初恵さんと書いていたので、やはり経営者が変わったのかもしれない。
中野初恵さんもいた!
中野初恵さんもいた!
お話を聞けば10年ほど前に息子さんがこのお店を継ぎ、そのタイミングでお店の名前が変わったそうだ。ちなみに当時の営業時間はガイドブックによれば、「11時から20時ごろ」だったそうだが、「ごろ」について肝要で気分次第で18時にお店を閉めることもあったそうだ。でも、今はそうではない。
1986年のカランドリエ
1986年のカランドリエ
2014年の円山花笑夢
2014年の円山花笑夢
ガイドブックに載ったのは、お店ができて間もない頃。店内写真に写っている女性は中野さんだ。当時のメニューも残っている一方で、時代に合わせコーヒーの味を変えたりもしている。白樺は年々枯れて、やがてなくなったそうだ。

変わるものと変わらないものがあるのだ。ひとつ言えるのは人柄がすごくいいということ。ひげ面が急に定休日に来ても開けてくれる器。それが大切なのだと思う。

私なら美人しか開けない。その器の大きさを見習いたい。古いガイドブックからはそのような教訓も学べるのだ。
地図にある北海道神宮はもちろん今もある
地図にある北海道神宮はもちろん今もある

昔ガイドは楽しい

昔からあるものにはキチンと理由があって、当然美味しかったりする。今回は食べ歩きと言いつつもあまり食べていないのは、ほとんどのお店がなくなっていたわけではなく、たまたま選んだものがそうだったのだ。私にはそのような引きの強さというか、弱さがあるらしい。ちょっとした貧乏神みたいだ。気をつけようと思う。何を気をつければいいのか分からないけれど。
これは札幌でたまたま入った定食屋さんのごはん。すごい!
これは札幌でたまたま入った定食屋さんのごはん。すごい!
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