特集 2014年4月25日

無人島にある教会(世界遺産候補)を見に行って来た

3回船に乗るか、船2回+JRで2時間

野崎島があるのは五島列島の最北端に近いところ。
野崎島の場所(別ウィンドウで表示
島に渡る船が小値賀(おぢか)島からしか出てないので、まずはそこまで行かねばならない。が、長崎(市)から直接行く船はなく、上五島を経由するか、佐世保から行くしかない。

ということで、長崎→佐世保→小値賀島→野崎島というルートで行った。ちなみに長崎=佐世保はJRでおよそ2時間。佐世保=小値賀は高速船で約1時間半かかった。
小値賀島=野崎島は船で約30分。片道500円。
小値賀島=野崎島は船で約30分。片道500円。
小値賀島から野崎島へと向かう便は、朝7:25と午後14:30の2便しかない。で、帰りの佐世保に戻る船の時間など諸々の時刻表と照らし合わせると、長崎からだと2泊3日の旅程になることがわかった(県内なのに!)。

事前にネットで調べてみると、野崎島は無人島としては異例なほど、WEBサイトが充実している(→ 野崎島のWEBサイト)。そこに、「渡航の際には必ず事前にご連絡を」とあったのでまずは電話してみると、
「日帰りですか?泊まりますか?」
と聞かれた。

そう、なんとここ、無人島なのに泊まれるのだ。
「泊まることもできる」という話は以前にもどこかで聞いていたが、しかし野宿みたいな感じのハードルが高いやつかと思っていたら、ちゃんと宿泊施設があって電話でどっちにするか聞かれるくらいカジュアルなものだった。

値段は相部屋2500円、個室3500円。
無人島なのに宿泊施設があるって、どういう仕組みになってるんだろう?
面白そうなので泊まることにした。

また、島に泊まれば長崎から1泊2日で行けることもわかった。が、せっかくなので2泊3日にして24時間無人島に滞在できるスケジュールで行った。
AM 7:25 出発。
AM 7:25 出発。
およそ30分で到着。
およそ30分で到着。
この日、島に上陸したのは日帰り客が3人と、泊まりの私、それと宿泊施設の管理人さんの計5名。
船着場周辺の様子。(朝のうちは天気が悪かった)
船着場周辺の様子。(朝のうちは天気が悪かった)
船着場周辺は廃村。
船着場周辺は廃村。
野崎島はかつて800人ほど人が住んでいた島で、3つの集落があったが、うち2つが昭和41年、昭和46年に廃村。船着場がある野崎地区だけが残っていたが、どんどん人が少なくなっていき、最後は神社の神主さんが長らく一人で住んでいたが平成13年に島を離れ、無人島になったという。
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廃村エリアを抜けると、「野崎島ワイルドパーク」の看板が現れる。
廃村エリアを抜けると、「野崎島ワイルドパーク」の看板が現れる。
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島のあちこちに野生の鹿がいる。(鹿について詳しくは後ほど)
島のあちこちに野生の鹿がいる。(鹿について詳しくは後ほど)
超絶美しいビーチが見える。
超絶美しいビーチが見える。
と、こういう雰囲気の中、歩くことおよそ15分。
やがて目的の教会が丘の上に現れた。
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旧野首教会

明治41年に建てられた教会。
設計は九州の数々の名教会を作った鉄川与助氏。氏による初のレンガ建築の教会という。
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人の住んでない無人島にこんな立派な教会がある不思議。
人の住んでない無人島にこんな立派な教会がある不思議。
普段は鍵をかけてあるが、事前に上陸の旨連絡すれば開けてくれ、自由に中を見ることができる。
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もちろん、現在は使われていない。
遺産として後世に残すため、昭和60年に改修。
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昭和46年に廃村となった野首地区にある。
今から40年以上前に廃村しただけあり、家などは完全になくなり瓦礫が散乱する程度で、芝生になっている。

そしてその草を鹿が食べに来ている。

野生の鹿!

島には野生の鹿がたくさんいる。
本当にあちこちで見かける。

…と言うより、鹿の方からむちゃくちゃ「見られる」。
いっぱいいる!
いっぱいいる!
超こっち見てる。
超こっち見てる。
人間を見ると、草を食べるのを止めピタッとこちらを見る。近づくと逃げる。観光地にいる人間慣れした鹿とはぜんぜん違う、すごい警戒心だ。

むちゃくちゃかわいいので、なんとかして触れ合えないものかと、ゆっくり近づいたり、微笑んだり、話しかけたり、座ったり、食べ物を差し出したり、いろいろやってみたがどれもダメ。
「キッ!」
と鳴いて逃げていく。
が、無視されるわけではなく、じっとこちらを見てるので、時間をかければやがて分かり合える日が来るかもしれない。
が、無視されるわけではなく、じっとこちらを見てるので、時間をかければやがて分かり合える日が来るかもしれない。
フンの数すごい。島全体のフンを数えたらいくつあるんだろう?
フンの数すごい。島全体のフンを数えたらいくつあるんだろう?
芝生の上にはものすごい数の鹿のフンが落ちている。寝られるスペースなど無いほど。(気にせず寝るなら別)

島には芝生がたくさん生えてるが、これらはすべて自生で、鹿が芝刈りをしてくれてるという。
「バイオパークか?」と見紛う光景。
「バイオパークか?」と見紛う光景。
遠くからでもしっかりこっち見てる。(野崎島)
遠くからでもしっかりこっち見てる。(野崎島)
島には、サバンナのようなエリアも。(野崎島)
島には、サバンナのようなエリアも。(野崎島)
もはやサファリパークにしか見えない。(野崎島)
もはやサファリパークにしか見えない。(野崎島)
いやもうホント、写真に「野崎島」と入れておかないとわからないくらいで、現地でも「すげーすげー」連発していた。
鹿の角が落ちてる。
鹿の角が落ちてる。
春先は鹿の角が生え変わる季節とのことで、3本ほどみつけた。島には(当然ながら)店は一軒もないので、おみやげはこれにした。

「店が一切ない」というのは、迷いが断ち切れてなかなか良い。拾ってきたものをお土産にしたらケチったと思われるかな…?という迷いも、店が無ければ生じない!
落ちてるものは、石、食器の破片、貝、骨が多い。
落ちてるものは、石、食器の破片、貝、骨が多い。
廃村跡に貝がたくさん落ちてるのはなんでだろう?
よく「~貝塚」と言って、貝を食べた跡から人が住んでいた証拠とするが、それにしてもこんなにたくさん落ちてるものだろうか? 普通捨てない?
と思ったが、後で聞いたところ、
「食べた貝殻を家の周りに並べて飾ったり、いろいろなことに使った」
とのこと。なるほどと思った。
この辺りの海はアワビがよく捕れるらしい。
この辺りの海はアワビがよく捕れるらしい。
骨もよく落ちてる。
骨もよく落ちてる。
鬼の頭蓋骨だ!と思っても不思議でない感じの鹿の頭蓋骨。こんなものまで落ちていた。
鬼の頭蓋骨だ!と思っても不思議でない感じの鹿の頭蓋骨。こんなものまで落ちていた。
次のページでは島の宿泊施設などについて。
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「鹿が入ります」
「鹿が入ります」

無人島の宿泊施設

この日は島に泊まる。
無人島の宿泊施設とはどんなところか?

そこは元々小学校だった建屋を改装したものだった。
キャンプができる施設となっている。
キャンプができる施設となっている。
宿泊施設、「自然学塾村」。
宿泊施設、「自然学塾村」。
学校の廊下だ。
学校の廊下だ。
教室だったところに畳を入れてある。これは2500円の相部屋。合宿向きの広さ。
教室だったところに畳を入れてある。これは2500円の相部屋。合宿向きの広さ。
と言ってもこの日泊まるのは私一人なので、こんな感じで真ん中に布団を敷いた。(笑)
と言ってもこの日泊まるのは私一人なので、こんな感じで真ん中に布団を敷いた。(笑)
あちこちにムカデ注意と書いてあってちょっとビビった。が、見かけなかった。
あちこちにムカデ注意と書いてあってちょっとビビった。が、見かけなかった。
管理人(塾長)の前田さん。(NPO法人・おぢかアイランドツーリズム)
管理人(塾長)の前田さん。(NPO法人・おぢかアイランドツーリズム)
宿泊者がいる時は、管理人のかたも施設に泊まる。前田さんはNPO法人おぢかアイランドツーリズムのかた(先の充実したWEBサイトもここが作っている)。この日は私一人のために泊まらせてしまってなんだか申し訳なかったな…と思ったが、「事務所より無人島の方が好き」というオーラが前田さんから漂って来るのを見て少しホッとしたり。
料理に必要なものはひと通り揃ってる。
料理に必要なものはひと通り揃ってる。
食事は、食材を持ち込んで自分で作る。
自炊に必要な道具、炊飯器、ガス、電子レンジ、包丁、まな板、鍋、冷蔵庫などひと通り用意されている。
食器や箸、調味料などもある。
食器や箸、調味料などもある。
菜箸、ヘラ、しゃもじ、大根おろし、ピーラー
菜箸、ヘラ、しゃもじ、大根おろし、ピーラー
これだけあればなんでもできるな。
これだけあればなんでもできるな。
で、私が持ち込んだ食事はこれ。
米とカレーとカップヌードル(カレー味)。どんだけカレー好きなんだ?というラインナップ。
米とカレーとカップヌードル(カレー味)。どんだけカレー好きなんだ?というラインナップ。
米はいいね。
炊飯器か鍋がいるけど、それさえあれば携帯性抜群。それでいてしっかり腹にたまる。

余ったご飯で翌朝のおむすびまでできた。
ビールも持ち込んだが、これは島内の自販機にあった。(島で唯一金で買えるもの)
ビールも持ち込んだが、これは島内の自販機にあった。(島で唯一金で買えるもの)
余ったご飯で翌朝用に塩むすびを作った。
余ったご飯で翌朝用に塩むすびを作った。
ちなみに昼は小値賀島で買って持ち込んだパンを食べた。
ちなみに昼は小値賀島で買って持ち込んだパンを食べた。

地図に展望台があると載っていたので目指した。
地図に展望台があると載っていたので目指した。
ここで持ってきたパンを食べた。
ここで持ってきたパンを食べた。
このあたりを軍艦瀬というらしい。
このあたりを軍艦瀬というらしい。
野崎火山火口跡。
野崎火山火口跡。
一転して新しい人工的な道が出てきて、不思議な気持ちに。(昔テレビで見た「火星年代記」を思い出した)
一転して新しい人工的な道が出てきて、不思議な気持ちに。(昔テレビで見た「火星年代記」を思い出した)
無人島にダム?!
無人島にダム?!
小値賀島に水を送っている。
小値賀島に水を送っている。
説明板によると、このダムは平らでダムを作れる場所がない小値賀島の水不足を補うために作られたもので、海底パイプラインを通って小値賀島に水を送っているという。

つまり、野崎島は無人島ながらも、キャンプ施設やらダムやら観光やらで小値賀島をサポートする場所として使われているわけだ。
あちこちに鹿の足跡がある。
あちこちに鹿の足跡がある。
超絶美しいビーチにも行ってみた。
超絶美しいビーチにも行ってみた。
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無人島での過ごした時間は、その後いろいろと良い影響をもたらしてくれた。島内を歩きまわったことによる運動不足の解消、3日間パソコンの画面を一切見ずに早寝早起き。これらがもたらすデトックス作用で、ここ最近なかったくらい頭も体もスッキリした。あまり腹いっぱい食べようとも思わなくなった。現代人は何かが足りないのではなく余計なものが多すぎるのかもしれないな…などとも思った。

一方、野崎島に人がたくさん住んでいた頃、人々は自給自足の生活をしていて、それはやろうと思えば現在もできないことはないのだろうが、生活スタイルの変化から人々は足りないものを求め島を離れていった。

余計なものにまみれすぎてる自分とって、考えさせられることがたくさんあった。
シカ!
シカ!
野崎島に行くならここを読めばだいたいなんでもわかります。↓

参考サイト:奇跡の島 野崎島
(NPO法人おぢかアイランドツーリズムによる野崎島情報サイト)

※野崎島は正確には無人島ではありません。宿泊施設関連で住民票を置かれているかたが一名いらっしゃいます。
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