特集 2013年7月2日

50℃のお湯で蚊のかゆみは止まるのか?

もう片方の手を冷やす

(冷たさでかゆみを忘れるため)

凍らせてきた保冷剤をいくつか持つ。手が冷たいのはけっこうつらい
凍らせてきた保冷剤をいくつか持つ。手が冷たいのはけっこうつらい

直接冷やしたらどうか

ためしてガッテンで紹介していたのは「もう片方の手を冷やすと、かゆさより冷たさの方が強いのでかゆさを感じなくなる」というものだった。

実際やってみたら冷たいのはけっこうつらい。それに刺された箇所がかなりの数になってるので、かゆさを忘れたとは言いがたい。かゆいぞ。

――もう一方の手を冷やすのは?

「2011年にそういうテレビ番組をやったときに多少効果があったようなんですね。冷たいという刺激が脳にいってて、かゆみを忘れるというような。

ただ、裏ワザ的に紹介してるのでもう片方の手でとなってますが直接冷やせばいい ですね 」

どうやら体の感覚の話なので白井さんの専門外のことのようだが、間違ってはないようだ。

・もう片方の手を冷やす

→効果は微妙、脳は冷たさを優先させるが

水や氷で冷やす

(アレルギー反応がおさまる)

水で洗うだけでいいという話
水で洗うだけでいいという話

氷がいいらしい

水で冷えるとアレルギー反応がおさまるという話。今まで蚊にさされたところを洗ったりしてきたが、そんなに効果あった気もしない。

――水で冷やすとアレルギー反応がおさまるんですか?

「それもおかしいかな。水で冷やしただけでアレルギー反応はおさまらないですね。冷たい刺激がかゆみにとってかわるならわかりますね 」

――やはり冷すこと自体いいんですか?

「『かゆみ最前線』という本では痛み刺激と冷刺激がいい と書いてますね。爪でバッテン? そうです、それが痛み刺激ですけど叩いたりひっかいたりしてあまりよくないから冷刺激が推奨されてますね」

――バッテンつけたりってかゆみが広がるんじゃないですか?

かいたらひろがるというけども、それは特に根拠がない んですよね。

ちょっとかけばよりかゆくなるというのは経験的にわかるんですけど、毒が拡がるということはないと思います」

・水で冷やす

→効果なしだが氷なら効果あり、脳は冷たさを優先させる

かゆみ止めの薬

(抗ヒスタミンでヒスタミンをとめる)

スッとさせる成分(メントールなど)とかゆみがおさまる成分(抗ヒスタミン)が入ってる。
スッとさせる成分(メントールなど)とかゆみがおさまる成分(抗ヒスタミン)が入ってる。

結局、薬しかないのか

一応ムヒも塗ってみた。スッとしてかゆみがおさまる。すばらしい安定感。

――かゆみ止めは市販の薬にたよるしかないんですかね?

「まあ、それしかないですね。抗ヒスタミン剤が入ってるものですね。抗ヒスタミン剤が入っておらず、刺激が強いもの、爽快感のあるもの、しみるものが入っていて、かゆみがまぎれて、効いた気がするものもあるんです 」
お酒を飲むと体温があがってさされやすくなるらしい
お酒を飲むと体温があがってさされやすくなるらしい

専門家はさされたらどうしてるのか?

――白井さんは刺されたときどうしてるんですか?

「私の場合、実験でよくさされてますので、ほっとくとすぐひくんですよ。最近珍しくひどくかゆかったことがあるんですけど、そのときはムヒとかそういうものを塗りました

――よく刺されているとすぐかゆみがひくっていうのは、アマゾンの原住民は蚊にさされすぎてかゆくなくなってるみたいな話ですか?

「アマゾンの人に話聞いたことがないからわからないですけど、蚊のかゆみ反応については刺された経験によって5段階あるんです。

1段階目は無反応。2段階目は遅延反応、ぶりかえしですね。乳幼児は刺されてすぐはかゆくなくて、一日たってからぶりかえしのかゆみがあります。

3段階目は即時反応と遅延反応、ふつうの人。さされてすぐのかゆみと、ぶりかえしのかゆみがあります。

4段階目は即時反応のみ。5段階目はまた無反応になります。アマゾンの方が5段階目になってかゆくなくなる というのは考えられますね」

蚊にさされるとどんどん次のステージへ。どうやら専門家はさされすぎてそもそもかゆくなくなるらしい。
酒をのむと、とたんにどうでもよくなってくる
酒をのむと、とたんにどうでもよくなってくる

聖なる世界がある

――白井さんは4段階目なんですか?

「そうですね、もう即時反応のみでお風呂に入るときにはもう蚊にさされたのかわからないくらいになってますね。

私の先生たちは刺され慣れして年齢も重ねて、無反応に近い状態になられてます。 私もゆくゆくはそうなる可能性がありますね 」

――聖人みたいですね

「ウケるように書けばそうですけどね」

ウケたい。ウケたいので書くが、蚊のかゆみについてはどうやら聖人の域があるようだ。今後の人生この性格では聖人になれるはずもない。せめて蚊の反応だけでも聖人になってみたいものである。

・薬をぬる

→効果あり、抗ヒスタミン剤がかゆみをおさえる

取材協力

害虫防除技術研究所 http://www.gaityu.jp/
有限会社モストップ http://mostop.co.jp/

・50℃のお湯をかける
・ブラシでこすって50℃のお湯をかける
→体感では効果あり熱さでかゆみを忘れる
・セロテープを貼る
→効果なし、根拠なし
・石けんをぬりこむ
→効果なし、根拠なし
・塩をぬる
→効果なし、根拠なし
・ポイズンリムーバーで吸い出す
→効果なし、根拠なし
・酢をぬる
→効果なし、根拠なし
・もう片方の手を冷やす
効果は微妙、冷たさでかゆみを忘れる
・水で冷やす
氷なら効果あり、冷たさでかゆみを忘れる
・薬をぬる
効果あり、抗ヒスタミン剤がかゆみをおさえる


以上が結果である。なんと夢のない一覧だろう。

蚊のかゆみに対しては「薬によるヒスタミンおさえ」と「刺激によるまぎらわせ 」しかないのだ。50℃のお湯は効くのかの答えは、後者の熱さの刺激でいくらか効果ありだといえる。

だがもっといえば、氷があればいいし爪でバッテンでもいいらしい。

インターネットができて情報があふれ、SNSでさらに加速度をました。検索すると、あっという間にかゆみ止め情報の宝の山ができあがる。

そして二時間の実験の結果、残ったのはムヒと氷と爪バッテン。一体わたしはなにをやっていたのだろう。狐に化かされて葉っぱの宝の山に喜んでいたのだ。いやあ、まんじゅううまかった(馬の糞)。

ところで、今回の実験においてさほど強烈なかゆみがあったわけではなかった。

「初夏のころと秋のころでは経験的にはかゆみがかわりますね。初夏の方はかゆくなくて、秋になるとかゆくなると思います」

シーズン本番はこれから。せっかく効果を体感できた50℃説なのだからすててしまうのももったいない。実証をかさね、火傷以外の新しい根拠がうまれることを期待したい。

告知とひきかえに協力してくれた栩秋大洋さんの舞踏公演があります。

『名付けることのできない仕事』
2013年7月19(金)~21日(日)
会場 RAFT(中野区中野1-4-4 1F)
http://raftweb.info/unname

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