特集 2013年5月2日

もう間違えない!鳥取と島根

この記事を読めば鳥取と島根のニュアンスがばっちりわかります
この記事を読めば鳥取と島根のニュアンスがばっちりわかります
恥ずかしながらいまだに鳥取と島根を間違えてしまう。地図の上では分かる。東(右)が鳥取で西(左)が島根だ。

しかし具体的なニュアンスというか応用問題ができてない。当サイトのライターの西村さんは鳥取出身だがこれまで3回ぐらい「島根でしたっけ?」と聞いた。そのたびに西村さんが「鳥取ですけど、まあ…わからないですよね…」とため息混じりに答えるのも申し訳ない気持ちになる。

もうこんなことを繰り返さないために実際に鳥取と島根を訪れて徹底的にマスターしたい。
1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと新宿区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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まずは世界に鳥取と島根しかない地図とご覧ください
まずは世界に鳥取と島根しかない地図とご覧ください

「島根っぽいねー」と言ってみたい

例えば大阪出身の人なら大阪っぽいとか大阪っぽくないとか言うだろう。札幌もそうだし、横浜や赤羽も街とそこに住んでいる人のイメージがある。

鳥取と島根にはそれがないのだ(ごめんなさい)。「鳥取っぽさ」というイメージがあればその人が鳥取出身と聞いたときにそのイメージにひもづけて覚えることができる。

でもたぶんそれは僕が鳥取と島根について無知だから分からないだけだろう。

実際に鳥取と島根を訪れて、「島根っぽいね-」「鳥取っぽく見えないよ」と言えるようになるのが今回の旅の目的である。
旅のスタートは鳥取・米子空港。空港の売店がポプラで山陰であることを実感(鳥取・島根でいちばん多いコンビニがポプラである)。
旅のスタートは鳥取・米子空港。空港の売店がポプラで山陰であることを実感(鳥取・島根でいちばん多いコンビニがポプラである)。
鳥取は噂通りの妖怪押し
鳥取は噂通りの妖怪押し
とはいえ島根も近いので出雲名物割子蕎麦もある
とはいえ島根も近いので出雲名物割子蕎麦もある

事前情報によると鳥取の人は引っ込み思案

今回、現地に赴く前に事前調査をした。ツイッターで鳥取と島根の違いについて情報を呼びかけたのだ。結果はこちらのトゥギャッターにまとめてある。
まず目立ったのは県民性
まず目立ったのは県民性
鳥取は引っ込み思案。島根は見栄っ張りで家を建てる時に隣より大きいものを建てようとする。(so_tonoさん)

鳥取の中でも鳥取市など東部は引っ込み思案ですが米子市など西部は社交性があります。
(hitoshi_anxさん)

鳥取の方が堅実というか地味。 (toknakaさん)
総じて鳥取のほうが引っ込み思案で堅実で地味だという。本当にそうなのだろうか。鳥取と島根で実際に聞いてみることにした。「あなたは引っ込み思案ですか?」と聞くのだ。

そんな直接的な質問でいいのだろうか、鳥取に行くまでにもっといい質問を思いつくだろうと思っていたら出発当日になってしまったのだ。8月31日のような毎日である。

アンケート「あなたは引っ込み思案ですか?堅実ですか?」

1)米子(鳥取と島根の境目)
米子での街頭アンケート
米子での街頭アンケート
平日の15時なので人が少なかった
平日の15時なので人が少なかった
米子(鳥取)での結果
米子(鳥取)での結果
途中で赤いシールがなくなりました
途中で赤いシールがなくなりました
2)松江(島根)
米子から松江は鉄道で30分ぐらい
米子から松江は鉄道で30分ぐらい
学校帰りの学生が気さくに応じてくれた
学校帰りの学生が気さくに応じてくれた
松江(島根)の結果
松江(島根)の結果
傾向があきらかに
傾向があきらかに
3)鳥取市(もちろん鳥取)
鳥取帰省中の西村さんも参加
鳥取帰省中の西村さんも参加
ギャルっぽい子が多かった(目立っただけかも)
ギャルっぽい子が多かった(目立っただけかも)
鳥取の結果
鳥取の結果
地味じゃない
地味じゃない
鳥取の人はシールをバラバラに貼ることが分かった。いや、それだけじゃない。地域ごとにまとめた結果は次のページで
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自己申告では島根が引っ込み思案・態度では鳥取

母数が少ないがグラフにする
母数が少ないがグラフにする
自己申告では島根県のほうが断然人見知りである。ネットで事前に調べた内容と真逆になった。アンケートに答えている人の数が少なすぎるとは僕も思う。

ただ、アンケートをお願いして断った人の割合だとこうなる。
島根の人は断らない
島根の人は断らない
鳥取市が多いのだ!

確かに引っ込み思案の人はアンケートで「はい、私は引っ込み思案です!」とは答えないだろう。そのハードルを乗り越えて答える人はすべからく社交的なのかもしれない。実際の答えではなく、態度で答えを示す鳥取市民。クレタ人は嘘つきのパラドクスのようだ。
鳥取県米子市で断られる林
鳥取県米子市で断られる林
鳥取は軽自動車の世帯当たり普及率が日本一である。西村さんが教えてくれた(写真は米子のデパートの駐車場)
鳥取は軽自動車の世帯当たり普及率が日本一である。西村さんが教えてくれた(写真は米子のデパートの駐車場)

松江の人は疑わない

松江(島根県)でのアンケート拒否は0件だ。声をかけるとみんな協力的だった。東京で街頭インタビューやアンケートは拒否が基本だが、「え、なになに?」と寄ってきてくれる雰囲気は感動的だった。自分でアンケートしておいて映画を半額で見られる券とか売ってたらどうするのだ?とちょっと思った。

島根出身のライターさくらいさんがキャッチセールスの話をじっくり聞いていたという話も納得できる対応であった。
引っ込み思案だけど断らないのだ。
島根は京都っぽいという指摘があったが行ってみて納得
島根は京都っぽいという指摘があったが行ってみて納得
最近できた松江のスターバックス。初日に行列になり、スターバックスの開店初日の売上記録を更新したという。
最近できた松江のスターバックス。初日に行列になり、スターバックスの開店初日の売上記録を更新したという。
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いやいや、うちのほうが田舎ですから

自己申告ではよくわからないので地元にの人にじっくり聞いてみたい。定数的な調査ではなく定性的な調査である。

鳥取在住、鳥取出身で現在東京在住、島根在住の3名に集まっていただいた。とはいっても関係者である。
左からライター西村さんのお父様(鳥取在住)、ライター西村さん(鳥取出身)、ライターさくらいさん(島根在住)
左からライター西村さんのお父様(鳥取在住)、ライター西村さん(鳥取出身)、ライターさくらいさん(島根在住)
お父様の横でふざけるライター西村さん、たぶん30年前からこうだったんだろうなと思う構図である。知人の実家感を思わず目の当たりにしてちょっと照れる。
3人に鳥取と島根のイメージについて語ってもらったのだが、だいたい言ってることは「うちのほうが田舎だ」ということであった。

鳥取→島根

島根を田舎だと思ったことがない(西村)

島根は私鉄がある、すごい。(西村)

山陰の小京都、松江。山陰の足手まとい、鳥取。(西村父)

島根→鳥取

買い物は米子に行く(さくらい)
鳥取は兵庫に接している。兵庫に接しているなんてすごい(さくらい)
謙虚な言い争いである。おれがおれがとならないところが山陰なのだろうか。日本海側のいちばんの田舎は?と聞くと「鳥取!」(西村親子)「島根!」(さくらい)と譲らない。引っ込み思案問題についてもうちのほうが人見知りだと主張して議論は平行線に。

議論といっても謙虚なので「いやいやいやうちこそ…」と言ってすぐ終わる。
松江市、たしかに歴史ある建物がある
松江市、たしかに歴史ある建物がある
米子空港からの列車はやっぱり鬼太郎柄
米子空港からの列車はやっぱり鬼太郎柄

島根だからシネマ、鳥取だったらリットト

謙虚さはエスカレートして自虐トーンになってくる。
・最近できたスターバックスをオートバックスだと思っていた(西村父)
・天気予報で山陰は大阪の西がいきなり松江。鳥取県がまるごとないことになっている。(西村父)
・鳥取と島根でストリートビューがぷっつり切れる。(西村)
・島根にはイレブンがつかないセブンというコンビニがあった(さくらい)
・子どものころ、映画館がシネマという名前なのは島根だからだと思っていた(さくらい)
「シネマが島根だから」というのは見間違えていたのだろうか。それとも島根をもじってシネマと呼んでいると思ったのだろうか。

聞いてみると「鳥取に行けばリットトになると思ってました」さらに「鳥取と島根以外の県は知らなかったので他は考えたこともなかった」とのこと。

リットトという響きが面白すぎて今後10年ぐらいはシネマの文字を見るたびにリットトを思い出すと思う(この原稿を読んでいる人もみんなそうなりますように)。
松江駅の売店にあったマンガ。さすが神様の国。
松江駅の売店にあったマンガ。さすが神様の国。
鳥取でとった写真の半分ぐらいが妖怪グッズだった。ゲゲゲの岩塩という全く語呂があってない商品も素敵。
鳥取でとった写真の半分ぐらいが妖怪グッズだった。ゲゲゲの岩塩という全く語呂があってない商品も素敵。
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それぞれの誇り

謙虚な両県民が珍しく自慢げに話をした内容はこんな内容だった。
・倉吉はせんばこきの名産地(西村)
・鳥取はたばこを作っていた。タバコの乾燥小屋はよく燃えた(西村父)
・エヴァンゲリオンを作ったガイナックスは鳥取の方言「がいな(でかい)」が由来(西村)
・鳥取市はカレールーの消費量が日本一(その後、佐賀市に1位を奪われる)(西村)
・カレーだけじゃなくてかれいもよく食べる(西村)
鳥取でスーパーに行くとかれいは本当によく見かけた
鳥取でスーパーに行くとかれいは本当によく見かけた
かれい煮付け200円。安い。しかも20円引き
かれい煮付け200円。安い。しかも20円引き
海産物自体が豊富で安かった
海産物自体が豊富で安かった
こんなもずく見たことねえっす
こんなもずく見たことねえっす
そして対談の場にシジミの酒蒸しが運ばれてきた
しじみがでかい
しじみがでかい
東京のしじみについては「あんなものしじみじゃない」と3名とも意見が一致していた。
これならしじみを爪楊枝でほじくり出して食べてててもみっちく見えない。

僕の叔父さんは酔っぱらって「しじみをつまようじで食べてると貧乏くさいんだけどうまいよねー」と冗談っぽく言ってから食べていた(僕もそれを真似している)。そんな気遣いが必要ない大きさだ。我ら親族の工夫はなんだったのか。

どこでもそうだと思っていた

次はローカルと思ってなかったアイテム。
・とうふちくわはどこにでもあると思っていた(西村)
・あご野焼きもどこにでもあると思っていた(さくらい)
島根のスーパーにて「あごだんご」「あごはんぺん」「あご野焼き」「あごすまき」。アゴは香ばしくてほんのちょっと甘みがあって、歯ごたえがある。
島根のスーパーにて「あごだんご」「あごはんぺん」「あご野焼き」「あごすまき」。アゴは香ばしくてほんのちょっと甘みがあって、歯ごたえがある。
あごとはトビウオのこと。「フジヤマのトビウオ」は「フジヤマのアゴ」となる(うそです)。アゴ野焼きは島根の特産ねりもの。とうふちくわは鳥取名産のちくわである(詳しくは「鳥取はちくわ王国だった」 をご覧ください)。

鳥取はあれだけ魚が獲れるのになぜちくわに豆腐を入れようとしたりカレーの消費量が多いのかは謎。

鳥取島根のスーパーをうろうろしてみたがローカルな商品が確かに目立つ。

鳥取は白バラ牛乳
鳥取は白バラ牛乳
島根は木次牛乳
島根は木次牛乳
鳥取のしょうゆ キッコーナン
鳥取のしょうゆ キッコーナン
倉吉のみそ、味みそ
倉吉のみそ、味みそ
みその「み」も味なので漢字で書くと味味噌である。味だらけ。3倍うまいのコピーも納得できる。
そして鳥取で流しているタクシーはなく、すべて電話で呼ぶ。名前もタクシーではなくハイヤーである。
鳥取でハイヤーは普通
鳥取でハイヤーは普通

鳥取が練馬で島根が板橋

まる2日間、鳥取と島根を移動して沢山の人に話を聞いた。鳥取と島根のニュアンスがわかった。乱暴に言ってしまうと鳥取は練馬で島根は板橋だ。

中心じゃないという自虐トーン、そして両者の連帯感。練馬と板橋の雰囲気に似ている。中山道が通ってて歴史がある板橋は島根だ(島根の歴史の都は古さが違うが)。
米子のロフトにあったステッカー
米子のロフトにあったステッカー
鳥取県は一時期島根県に編入されていた時期があるそうだが、そういえば練馬もかつては板橋だった。
ニュアンスがわかったと言いながらもまた狭いものに例えている気がする。
もっと乱暴に言えば、鳥取=大宮・島根=川越、鳥取=新宿・島根=麻布という感じだと思う。

もう鳥取と島根を間違えない。
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