特集 2013年4月9日

そば打って泣く!熱闘そば打ち甲子園

これがそばうち甲子園か
これがそばうち甲子園か

たしかに甲子園だ

農業系の高校が授業の一環としてそばを育てそば打ちまでとりくみ、その流れで出場するケースが多いようだ

北は北海道、南は鹿児島の11校が出場する。北海道だけで3校出てるのはさすがそばの名産地。静岡はサッカー王国、みたいな話だ。

しかもバスケでいう能代のような強豪校も存在する。

北海道の中でもそばの生産量トップをほこる幌加内町。そこにある幌加内高校は全員がそば打ち段位初段を持っている。中には三段をとる生徒もいるらしい。

そこにはスタープレーヤーもいる。前年度優勝の齋藤桜子選手がそれだ。これほんとにそばの話なんだろうか。
会場には基本的におじいちゃんが多い
会場には基本的におじいちゃんが多い

高校生とおじいちゃんたち

白い調理服に身を包んだ高校生たちが並ぶとまぶしい。

これを運営側やお客さんのおじいちゃんたちが取り囲む構図は、何かをありがたがっているようにも見える。

開会式では選手宣誓や優勝旗返還もある。この人たち、このあとほんとにそば打つのだろうか。バット持って出てきやしないか。
選手宣誓もある
選手宣誓もある
いつか野球の甲子園みたいにしたい、そのためにそば打ちをみとめるよう文科省にはたらきかけている、と開会式あいさつがあった。

大臣からのメッセージもとどいていた。さすがおじいちゃんたち。ロビー活動がぬかりない。
団体戦にさきがけて個人戦がはじまる。利根実から山田さんが出場
団体戦にさきがけて個人戦がはじまる。利根実から山田さんが出場

個人戦開始

午後の団体戦を前に個人戦が始まる。利根実からは山田さんが第一組、大畠くん金井くんの三人が第二組に出る。

選手が入場し、各作業台につく。審査員はそばうち5段位を持った5人が担当する。
審査員がそば打ち中にチェックしていく
審査員がそば打ち中にチェックしていく

そば打ちは礼だ

会場には司会と解説のアナウンスも流れる。

「そば打ちは、礼にはじまり礼に終わると言われています。一同、礼」

いきなり知らないことからはじまった。そば打ちって礼にはじまるのか、そばじゃないのか、そばじゃ。

どうやらそば打ちが競技化され、華道や茶道といった「そば道」なるものが生まれたようだ。そば道によって人間形成を、今やそういうことであるらしい。

なんか最近そばみたいな人ふえたなと思ったら、それはたぶんそば道のおかげだ。
衛生検査、爪は白いところが見えたらダメ
衛生検査、爪は白いところが見えたらダメ

粉が勝負を決める

開始の合図とともに粉をあけてふるう。

そば粉500gに小麦粉が200g。

そば打ち段位でいうと初段にあたる量だ。段位が上がると量がふえ、そば粉の割合が高くなるらしい。

粉自体にも簡単なものと難しいものがある。使用する粉は大会当日にわかる仕組みだ。
粉と水をまぜる水回し。金井くんは団体戦でも水回し担当だ
粉と水をまぜる水回し。金井くんは団体戦でも水回し担当だ

最難関、水回し

そば打ちでもっともむずかしいのがここ、水回し。粉と水をまぜる作業のことだ。

粉や気温、湿度を見きわめ、水を入れる。この分量がそばの出来を左右する。

「入ってる入ってる、回ってる回ってる、いいリズムだぞ~」佐藤先生がつぶやく。そば粉に水が入ってる、回ってる、そういうことらしい。

ボディビルの「キレてる」「ナイスカット」ではないが、そば打ちも競技化されるとこうなるのかと妙に納得させられるものがあった。
大畠くんは団体戦でこねを担当
大畠くんは団体戦でこねを担当

こね

水回しで粉と水をまぜ、ここからはこねの段階になる。生地から空気を追い出す“菊練り”という作業だ。
利根実ののし棒は太い
利根実ののし棒は太い

のしの作業

生地を丸くのばしていくマルダシ、そのあと四角くしていくツノダシ、ヨツダシ。序盤の生地の出来がここを左右する。穴が開いたりうまくのせなかったりしたら減点になる。

先生が言うにはこののし棒に利根実の特徴があるらしい。見てみると他の学校より太い。なんでですか?

「太い棒で丸くのすのは会津の文化なんです。沼田と会津の文化はつながってるんですよね」

地域の食文化からだった。各地方の特色が出るのも甲子園っぽい。
左から二番目が前年チャンピオン。たしかに切りの速さがちがう。
左から二番目が前年チャンピオン。たしかに切りの速さがちがう。

食べなくても味がわかる理由

最後は切り。この切りで実力差が出るらしい。切りがふぞろいだと、そばのゆで加減にもばらつきが出る。当然味もわるい。

粉は一緒なので味はこの切りの出来でわかる。そのため大会にはゆでと試食がない。
麺のそろい具合がゆでかげん、味を左右する
麺のそろい具合がゆでかげん、味を左右する

前年度チャンピオンのすごさ

「切りもリズムでトントンやってく高校は多いんですが、うちはそういうふうに教えてないので遅いです」と佐藤先生。

「あれ見てください。前年優勝の桜子ちゃんの切り。速いですよ」

そう言って指さした先にいる前年度チャンピオンの切りは利根実の倍くらいの速度でトントン切っている。なるほど、これはちがう。これがスターか。そば打ちマンガが今にもどこかではじまりそうだ。
片付けまで採点の対象となる
片付けまで採点の対象となる

片付け

片付けも採点の対象だ。作業スペースや道具に粉がついていると原点になるのできれいにふいていく。

片付けが終了すれば挙手で終わりを告げる。制限時間の40分内であれば早くても遅くてもいい。これであとは審査を待つ。

さて個人戦の三人の結果の前に、いよいよ団体戦がはじまる。
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