特集 2011年11月12日

「ヘボ祭り」で蜂の子を食べてきた

実は去年も…

実を言うと僕は昨年もこのイベントに参加しようと岐阜を訪れていた。
しかし、駅から会場へ向かう途中で、土地勘もないくせに近道をしようと山に入りプチ遭難してしまい、なんとか会場にたどり着いたときにはすでに祭りは終わっていたのだった。
遭難中に飲んだ川の水が美味かった。あと、野生のシカとリスに会えたのでそれはそれでまあ楽しかった。
遭難中に飲んだ川の水が美味かった。あと、野生のシカとリスに会えたのでそれはそれでまあ楽しかった。
ようやくたどり着いたときにはもう会場はきれいに片付いていた。欲を出さずに地道に歩いていれば間に合ったのかもしれない。ああ、これが後の祭りというやつか。
ようやくたどり着いたときにはもう会場はきれいに片付いていた。欲を出さずに地道に歩いていれば間に合ったのかもしれない。ああ、これが後の祭りというやつか。
そんなこともあって、今年こそは何としても参加してやりたいという強い思いがあったのだ。

携帯のナビに従おう

事前に調べたところ、ヘボ祭りの開会は午前10時で、昼過ぎには全プログラムが終了。閉会後速やかに片付けという段取りで、祭りと名がつく割には短時間で切り上げられてしまうことがわかった。
そんなわけで今年もやって来ました。会場最寄りの明智駅。
そんなわけで今年もやって来ました。会場最寄りの明智駅。
絶対に開会式から参加してやろうと、勢い込んで始発電車で最寄り駅までやって来た。このとき午前7時半である。
しかし、駅を降りてすぐにひとつの問題に気づく。駅から会場までのバスが10時過ぎまで出ていないのだ。これは開会式には間に合わない。
やはり昨年に引き続いて会場まで徒歩で向かうことに。まあそれでも2時間半もあれば十分間に合うだろう。
駅前は整備されていてスーパーなども立ち並んでいる。
駅前は整備されていてスーパーなども立ち並んでいる。
しかし、駅を離れるにつれ、だんだんと緑があふれ、建築物も見当たらなくなってくる。
しかし、駅を離れるにつれ、だんだんと緑があふれ、建築物も見当たらなくなってくる。
ここまでの道のりは昨年と同じである。だが、今年は同じ過ちは繰り返さない。万全を期して、会場に到着するまで携帯電話のナビ機能を使うのだ。これでもう山の中に入って迷うことはない!…と思っていた。
妙な形の柿を見つけてはしゃいでみたり。
妙な形の柿を見つけてはしゃいでみたり。
道端で見つけた虫の写真を撮影してみたり。
道端で見つけた虫の写真を撮影してみたり。
余裕である。ナビ機能のおかげで昨年のトラウマは完全に抑えこむことができた。楽しい旅になってきたぞ。
へー、クマとか出るんすか。それマジでヤベーっすね。
へー、クマとか出るんすか。それマジでヤベーっすね。
熊注意の看板を見ても、「むしろちょっと会ってみたいな」とか野生をなめた考えを持つほどに余裕をこいていた。
しかしナビ通りに歩き始めて一時間半がたった頃、ようやく異変に気づき始める。
えっ…。ナビさん、こんな道進むんですか…?もう絶対車とか通れない道ですよね…。
えっ…。ナビさん、こんな道進むんですか…?もう絶対車とか通れない道ですよね…。
何かがおかしい。どんどん道が険しくなっていく。民家すら見当たらない。耳を澄ましても車の排気音も聞こえない。
それでも頼りの携帯のナビはこの道で正しいと言ってはばからない。
ナビさんがそう言うのならそうなのだろう。科学の力はすごいのだ。
ナビ「このまま直進です。」えええええええ。
ナビ「このまま直進です。」えええええええ。
絶対間違ってるよこのナビ!もはや道が無いじゃないか!
古い道のデータが登録されていたのだろうか。詳しい事情はわからないが、これ以上このナビが役に立たないことはよくわかった。

ああ、直進してやるさ。

さて、どうしたものか。もうかなりの距離の山道を歩いてきた。いまさら大きな道まで引き返したらいよいよ二年連続でヘボ祭りに間に合わなくなってしまう。これは困った。

冷静に携帯電話の画面に表示された地図を見ると、確かにこのまま山中を直進すれば、理屈の上では会場に通じる道路に出られるようだ。…やるしかないでしょう。
おりゃああああああ!!道なき急斜面を一気に下る。
おりゃああああああ!!道なき急斜面を一気に下る。
まずい!分かりきっていたことだけどこれは人間が歩く場所じゃない!
林の中は急勾配の斜面になっており、倒木が散乱していて足場が恐ろしく悪い。その上やけに土壌の湿度が高く、苔むしているため足元がやたらと滑りやすいのだ。
やっぱり引き返そうかな…と振り返るとこの有り様。文字通りもう後には引けない。
やっぱり引き返そうかな…と振り返るとこの有り様。文字通りもう後には引けない。
いまさらになって先程見た熊出没注意の看板が恐ろしくなってくる。こんなところで熊に出くわしたら絶対逃げられないぞ…。
熊の恐怖に怯えながら、猿のように両手を使いつつ山を下ること一時間。
道だー!助かったー!
道だー!助かったー!
本気で「助かった」と思った。これではまるで遭難じゃないか。結局、昨年と大して変わらない道中になってしまった。

ようやく会場へ

それからさらに数十分かけてついに会場である「サンホールくしはら」にたどり着いた。
もうこの看板を見た時の嬉しさといったら。
もうこの看板を見た時の嬉しさといったら。
僕が会場入りしたのはちょうど開会式が終わる頃だった。ギリギリセーフといったところだが、すでに買い物や食事を楽しんでいるお客さんもいらっしゃった。
僕が会場入りしたのはちょうど開会式が終わる頃だった。ギリギリセーフといったところだが、すでに買い物や食事を楽しんでいるお客さんもいらっしゃった。
出店ではヘボ料理をはじめ、地元串原の特産品などいろいろな商品が売られている。写真手前に並んでいるのはヘボを混ぜ込んだ炊き込みご飯、「ヘボめし」。
出店ではヘボ料理をはじめ、地元串原の特産品などいろいろな商品が売られている。写真手前に並んでいるのはヘボを混ぜ込んだ炊き込みご飯、「ヘボめし」。
こちらのダンディなお父さんが焼いているのは五平餅という郷土料理。
こちらのダンディなお父さんが焼いているのは五平餅という郷土料理。
それにヘボのペーストを混ぜた味噌だれを塗って食べるのだ。
それにヘボのペーストを混ぜた味噌だれを塗って食べるのだ。
他にも蜂の子の甘露煮や
他にも蜂の子の甘露煮や
冷凍の蜂の子も売られていた。ちなみにこの冷凍蜂の子は中国産。(マウスオーバーでモザイクが外れます)
結構いい値段だが、これでも国産のものに比べれば破格値であるという。
結構いい値段だが、これでも国産のものに比べれば破格値であるという。
なんでもお店の人いわく、近年は需要に生産が追いつかず、中国やニュージーランドからの輸入にも頼っているそうだ。僕の知らないところでそんな貿易が行われていたとは!というか中国や果てはニュージーランドにも同じ食文化があったことに驚きである。
しかし地元の人が言うには「輸入ものは値段も安いしいつでも手に入って便利だけれど、味は国産が一番!」とのことであった。
食べ物以外ではいろんな意味で刺激的なヘボテレカ(500円)や、
食べ物以外ではいろんな意味で刺激的なヘボテレカ(500円)や、
防護服(11,000円)などのヘボ用品も売られていた。
防護服(11,000円)などのヘボ用品も売られていた。
ちなみに上の防護服はヘボ祭り会場では特別に通常よりも大幅に安い価格で販売しているため、密かな人気商品になっているのだという。今年も早々に売り切れてしまったそうで、係員さんの私物を撮影させていただいた。

ヘボ料理を食べてみよう

せっかくなので僕もヘボ料理を食べてみることにした。列に並んでヘボめしとヘボ五平を購入。
まずはヘボめしの全容。一見するとなんでもないが…。
まずはヘボめしの全容。一見するとなんでもないが…。
よく見るとちゃんといらっしゃる。これは成虫。(マウスオーバーでモザイクが外れます)
形、色ともに米粒にまぎれて目立たないが、しっかり幼虫も入っています。(マウスオーバーでモザイクが外れます)
あー。僕はわりとこういう料理も平気な方だけど、苦手な人は無理だろうなあ。ビジュアル的に。
いただきます!
いただきます!
実はこの日、朝から何も食べていなかった。激しい運動(会場まで歩いただけなのだが)の後だったこともあり、ひたすらお腹が減っていたのだ。
これはいける!
これはいける!
昔ながらの優しい味わいの炊き込みご飯に、殻の付いた小エビのような成虫と柔らかく甘味に富んだ幼虫が個性を添える。具はヘボの親子しか入っていないが、成虫と幼虫それぞれが異なった味と食感を持っているおかげで、料理としての味わいに起伏ができているのだ。すきっ腹であったことを差し引いてもこれはうまいぞ!
虫をただのタンパク源として料理の中に無理やり取り込むのではなく、ちゃんと食材として生かしていることに感心させられた。
つづいてヘボ五平。焼きたて!
つづいてヘボ五平。焼きたて!
いただきます!熱っ!
いただきます!熱っ!
うん、美味しい。美味しいんだけどコメントに困る。
うん、美味しい。美味しいんだけどコメントに困る。
甘辛い味噌だれが効いていてとても美味しい。だがヘボめしと違い、姿が目に見えないこともあって、どこに蜂の子ならではの味わいを見出せばよいかわからない。僕はヘボはもちろんのこと、五平餅というものも初めて食べたので、正直言ってどこが特筆すべき点なのか判断できないのだ。

裏を返せば、蜂の子の存在感が薄いが故に、それだけ虫食初心者や虫が苦手な人には食べやすいのかもしれない。
まあ、虫がダメな人が蜂の子を食べざるを得なくなるという場面が想像できないが。

蜂の巣箱がおもしろい!

さて、腹ごしらえも済んだところで会場へ戻ろう。ちなみに、あまりに美味しかったのでその後ヘボめしとヘボ五平餅をひとつずつおかわりした。
会場のはずれには大きな木箱を荷台に積み込んだ軽トラックがたくさん停められていた。
会場のはずれには大きな木箱を荷台に積み込んだ軽トラックがたくさん停められていた。
この木箱、何を隠そうヘボことクロスズメバチの巣箱なのだ。各地から持ち寄られたこの巣箱から蜂の巣を取り出し、その重量を競うのがこのヘボ祭りのメインイベント、蜂の巣コンテストなのである。
巣箱の形は出品者によって様々。
巣箱の形は出品者によって様々。
この巣箱を見るのが実に面白い!製作者の遊び心や、蜂に住みついてもらうための工夫が随所に見られるのだ。
特に気に入った巣箱がこれ。
特に気に入った巣箱がこれ。
巣の入口に土を盛り、苔を這わせ、植物を植え込んでいる巣箱があった。本来野生のヘボたちが巣を作る山肌を再現したものらしい。

これならヘボも住みやすいだろう。そういった機能面はもちろんのこと、ある種の盆栽を思わせるような見た目の美しさにも感服させられた。正直言って家にもって帰りたかったくらいだ。
こちらは大きな人だかりができていたオレンジ色の異様な巣箱。
こちらは大きな人だかりができていたオレンジ色の異様な巣箱。
なんとオレンジ色の部分は透明で中を観察できる。
なんとオレンジ色の部分は透明で中を観察できる。
なるほど。普通の木箱ではいざ開けてみるまで中の巣の大きさを知ることはできないが、これなら巣の様子が手に取るように分かる。蜂の健康状態も把握しやすいだろうし、何より観察していて楽しい。

今年はこんな個性的な工夫が施された巣箱が全部でなんと140も集まったらしい。せっかくこれだけ各参加者の個性が見られるのだから、いっそ蜂の巣そのものだけでなく、巣箱のコンテストも開催してみたら面白いのではないかと思った。

やっぱり刺された。

ところで、140もの蜂の巣が一堂に会していればあちこちに蜂が飛んでいるのでは…。と不安に思われる読者の方もいらっしゃるかもしれない。
その通り。尋常でない数の蜂が会場を飛び回っている。特に巣箱が集中している駐車場や巣を取り出すハウスの周辺はものすごい。
巣を取り出す網掛けのハウス。
巣を取り出す網掛けのハウス。
しかし蜂の群れの中、平気な顔で見学を楽しむ参加者の方々の多くは防護服など身に付けていない。巣をいじくられて怒っているはずなのに、こちらから直接ちょっかいを出さなければめったに刺してこないのだ。スズメバチの名に似合わぬおとなしい性格の持ち主なのである。
驚いて巣から飛び出した蜂があちこちにあふれかえっている。
驚いて巣から飛び出した蜂があちこちにあふれかえっている。
写真ではなかなかその迫力を伝えるのが難しいが、それはもう物凄い数の蜂がブンブン飛び交っているのだ。
いや、語弊があった。数こそ多いが「ブンブン」は飛んでいない。この蜂、ミツバチなどと違って羽音がほとんどしないのだ。耳元ギリギリを飛んでくれない限り気づくこともできないほどだ。不思議なものである。
これはヘボの働き蜂。こう書くとまるで働き者を馬鹿にしているようだ。
これはヘボの働き蜂。こう書くとまるで働き者を馬鹿にしているようだ。
こちらはオス蜂。触覚と腹部が長いのが特徴。
こちらはオス蜂。触覚と腹部が長いのが特徴。
ちなみに、蜂の毒針は本来、昆虫が卵を産む際に用いる産卵管という器官が変化してできたものである。なのでメスの蜂にしか備わっていないのだ。(実は働き蜂はすべてメス)なので毒針を保有しないオス蜂相手ならこんなこともできる。
素手でキャッチ!
素手でキャッチ!
この通り。当然だがまったく刺されない。毒針がなければ蜂もアブも変わらない。かわいいものである。
とはいえ、面構えは立派にスズメバチ。
とはいえ、面構えは立派にスズメバチ。
小さくても、おとなしくても、やはりスズメバチの仲間だ。いかにも肉食系といったお顔立ちでいらっしゃる。
最後に紹介するこちらのお方が女王陛下におはしまする。
最後に紹介するこちらのお方が女王陛下におはしまする。
女王蜂は働き蜂と形はよく似ているが、一回り大きいため簡単に見分けられる。
ここで通りすがりのおじさんに「女王は毒ないから捕まえてごらん。」と声をかけられた。はて、女王もメス蜂なのだから毒針はあったはずだが。
でもまあヘボに精通しているであろう地元の方の言うことだ。信じてみてもいいだろう。
ええ、刺されましたよ。
ええ、刺されましたよ。
僕「刺されたじゃないですかー!!」
おじさん「えー。女王も刺すんだねー!ごめんごめん、勘違いしてたよー。」
その後おじさんは奥さんに叱られながら笑顔で立ち去っていった。
勘違いは誰にでもあることなので笑って許したが、右手人差し指の腹を刺されたので、その後はカメラのシャッターを切りづらくて仕方なかった。

どうやらこの一撃で刺され癖がついたようで、この直後に服の中に入り込んだ蜂に背中を一発、追い払うときに右手中指を一発刺された。
でも安心!会場にはいざという時のため救護班がスタンバイしているのだ!
でも安心!会場にはいざという時のため救護班がスタンバイしているのだ!
慣れた手つきでポイズンリムーバーを使って毒を吸い出してくれる。
慣れた手つきでポイズンリムーバーを使って毒を吸い出してくれる。
ちなみに救護班に駆け込む前に口を使って毒を吸い出してみたのだが、毒液は非常に苦かった。ヘボめしに入っている蜂にはまったく苦味を感じなかったので、加熱すると分解されるタイプの毒なのかもしれないなと思った。
応急処置をしたにもかかわらず、刺された右手は翌日にはパンパンに腫れあがった。
応急処置をしたにもかかわらず、刺された右手は翌日にはパンパンに腫れあがった。
刺された時の痛みはせいぜいミツバチやアシナガバチよりやや痛いといった程度であったが、その後がいけない。数日腫れが引かないし、患部がひどく痛痒くなるのだ。
さすがは小さくてもスズメバチ。毒自体はそこそこ強力なものだったようだ。

白熱!蜂の巣コンテスト

さて、コンテストに話題を戻そう。
取り出された巣は計量後、重量ごとに仕分けされる。
取り出された巣は計量後、重量ごとに仕分けされる。
開会式から3時間後、140個の巣全てを計量し終わるとついに表彰式が始まる。
栄えある優勝者は今大会唯一、6キロを超える巨大な巣を持ち込んだ早川さん。
栄えある優勝者は今大会唯一、6キロを超える巨大な巣を持ち込んだ早川さん。
授賞式の後は優勝者によるスピーチ。惜しくも敗れた参加者は熱心に耳を傾ける。
授賞式の後は優勝者によるスピーチ。惜しくも敗れた参加者は熱心に耳を傾ける。
スピーチの内容は大きな巣を作る飼育法のレクチャーが中心で、早川さんはヘボ飼育の秘訣をライバルであるはずの他の参加者たちに惜しみなく伝えていた。その姿勢からは自らの勝利と名誉以上にヘボ飼育の発展を願っていることがうかがえた。

スピーチを聴いて驚いたのが、早川さんたちがヘボの生態についての研究に余念がないことである。ヘボのことならなんでも知っているようであった。実は早川さんは人間に化けたヘボなんじゃないかとも思った。
やはり生活を共にしている人はその相手が人間であれそれ以外の何かであれ、いつの間にか誰よりもその者に関する知識を身につけてしまうのが常なのだろう。魚の生態に一番詳しいのが研究者ではなく、実は漁師であるのと同じようなものだ。
残念ながらタイミングが合わず、優勝したヘボの巣は撮影できなかったが、3位に入賞した金田さんの4750グラムの巣を見せてもらった。27センチの靴と比較するとその迫力が伝わるだろう。
残念ながらタイミングが合わず、優勝したヘボの巣は撮影できなかったが、3位に入賞した金田さんの4750グラムの巣を見せてもらった。27センチの靴と比較するとその迫力が伝わるだろう。

ヘボの巣、僕らも買えます。

表彰後、ヘボの巣はすべて一般向けに売りに出される。お値段なんと1キロ当たり一万円!これはあくまでも巣全体の値段であり、実際に食べられる蜂の子はもっとずっと少ない。そう考えると決して安い買い物ではない。
しかし買い求める人で販売所には黒山の人だかり。
しかし買い求める人で販売所には黒山の人だかり。
こちらはヘボTシャツを着てなんと兵庫県からお越しの坂本さん。リッチに2キロの巣を購入。毎年通っているのだとか。
こちらはヘボTシャツを着てなんと兵庫県からお越しの坂本さん。リッチに2キロの巣を購入。毎年通っているのだとか。
常連の坂本さん曰く、「思い切って2キロ以上の大物を買うのが、質のいい巣を手に入れるコツです。」とのこと。

生のヘボを食べる

一通りの催しが終わって落ち着きを見せはじめた会場の片隅で打ち捨てられたヘボの巣のかけらを見つけた。
一通りの催しが終わって落ち着きを見せはじめた会場の片隅で打ち捨てられたヘボの巣のかけらを見つけた。
しかも中にはまだ蜂の子が残っている。
しかも中にはまだ蜂の子が残っている。
…もったいないなあ。
よし、食べてみよう。
取り出してみた。(マウスオーバーでモザイクが外れます)
プリプリとみずみずしく太っている。ヘボめしの中で見た姿とは大違いだ。
さすがにちょっと緊張する。
さすがにちょっと緊張する。
巣から取り出した蜂の子をつまみ上げておそるおそる口に運び、そっと噛んで見る。
あっ、これすごくうまい!!
あっ、これすごくうまい!!
美味しい!ヘボめしやヘボ五平を食べただけではよく分からなかった、素材そのもののダイレクトな味が口の中に広がる。なんだこれ。初めて体験する味だ!
強いて例えるならば脂肪分が多い為か、どことなくナッツ類に似た風味がある。しかし柔らかくクリーミーで、他に類を見ない味わいを誇る食材である。

なるほど。他にいくらでもタンパク源確保の手段がある現代の日本で、なぜこれほど蜂の子が珍重されるのか疑問に思っていたが、これで謎が解けた。そう、その答えは単純に「おいしいから」そして「代わりになる食材がないから」なのだろう。
そう考えると多くの人々が血眼になって追い求め、大金をはたいて買い求めるのもうなずける。いい勉強になった。

すでに来年に向けた戦いが始まっている。

さて、すべての催しが終わり、後は閉会式が行われるのみとなった。
しかしここで先ほどまで巣の取り出しが行われていたハウスで不穏な動きが見られることに気がついた。
一心不乱に何かを探す人々。
一心不乱に何かを探す人々。
割りばしを持った人たちがヘボの大量に取り残されたハウスの内外に群がっている。一体何をしているのか。
手に持つケースの中には大量の女王蜂が。
手に持つケースの中には大量の女王蜂が。
そう、彼らは来年のコンテストに出品する巣を作る女王蜂を集めていたのだ!もう来年へ向けた戦いは静かに始まっていたのである。
しかも集める女王はオス蜂との交尾を済ませた個体でないと意味がない。なのでハウス内で交尾中の女王を見つけて捕まえるのだそうだ。この非常時に交尾を行う蜂たちの生殖本能にも驚きを隠せないが、勝っても負けてもすぐに兜の尾を締め直す参加者たちの情熱にも感服させられっぱなしであった。

こうしてヘボ祭りは次なる戦いの火種を確実に残して、静かに終わっていくのであった。

生き物と人間の関わりはかくも面白い

実際に参加するまでは、きっと「はちのこっておいしい!わーい!」「はちのすでっけー!すごーい!」という感想で終わるだろうと思っていたヘボ祭り。

しかしながらなかなかどうして、その実態は蜂の生態を、昆虫食の文化を、そして人と自然の関わり合いを楽しく美味しく、それでいて深く学ぶことができる非常に意義深いイベントであった。また、現地の人々が皆親切で暖かく接してくれたことも忘れずに記しておきたい。
興味をそそられた方はぜひ来年、「ヘボの里 串原」へ足を伸ばしてみていただきたい。その際には自動車、あるいは公共の交通機関に頼って会場入りすることを強くおすすめする。
コンテスト参加者のおじさんたちがイナゴの佃煮をアテにして一杯やっていた。ホントに虫食べるの好きだなー!
コンテスト参加者のおじさんたちがイナゴの佃煮をアテにして一杯やっていた。ホントに虫食べるの好きだなー!
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