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コネタ


ウイルスの恐怖展 連動企画
 
ギャル会話リスニング at 香水売り場

(text by 大塚 幸代

某有名安売りショップ、香水売り場にて。
私は匂いを嗅いでいました。ショーケースの前には、綿に香水を染ませた見本の小さなプラスチックケース。ひとつづつ、フタをあけては鼻を近づけます。くんくん。
どれを買おうか迷って、長いこと同じ動作を繰り返していたのですが、その間、女の子2、3人連れがやってきては何かしら、匂いをかぎながらお喋りしていくのに気がつきました。
聞こうと思わなくても耳に会話が入ってきます。
…え、盗聴? いや、2004年、師走の少女たちの声が自然に聞こえちゃったというか……そんなわけでリスニング記録を、どうぞ。


(以下、プライバシー保護のため、名前・内容などは若干変えてあります。香水の名前だけはそのままです)



●事前解説
丸井のお財布売り場なんかでも、女子はなんやかや喋りながら買い物をしておりますが、「これかわいくない?」「かわいー」「これもかわいくない?」「かわいー」「これもかわいくない?」「かわいー!」の繰り返しのみ、のほうが多いような気がします。香水売り場では、もし「これいい匂いじゃない?」と同意をうながそうと試みても、ビンを他人に渡して匂いをかがせる、という時間が必要なため、あまりそういった行為は行われていないようです。また、香水には明確に「生理的な好み」があり、財布のような雑貨とは違い「この匂いはアリかなしか」というのは個人的なもので、「かわいー」のように安易な同意はしないようでした。
そして「匂いをかいでいる」状態のときは、嗅覚に集中して他感覚が無防備になるせいか、会話も無防備になる傾向があるように思われました。



匂いをかぎながらカラコンの話/ギャル風3人組
茶色とアッシュグレーの髪。3人とも凶器のような派手な爪をしていました。


「……てか、今日超外暗かったよ」
「なんか朝礼でいってたじゃん、今日雨降るからとかって」
「え、そうなの?」
「ていうかさあ、ノリってカラコン(カラーコンタクト)つかってる?」
「ううん、ジメ」
(※おそらく漢字にすると『地目』、裸眼の意と思われる)
「まじで」
「なんか超薄茶色じゃん、あと青っぽくない?」
「ぽいぽい」
「あたしがこないだグレー入れてみたんだけど超ぜんぜん色変わらなくて」
「なんでー」
「やっぱ地目が黒いからじゃん?」
「なんか、黒目大きく見せるのって、チェスナッツ(のカラーコンタクト)がいいらしいよ」
「やっぱ黒目だよー」
「黒目重要!」
「去年とかブルー入れてたじゃん」
「あれもうやりすぎかなぁって思って」
「あれ今年ありえないかも」
「でも目って寝る前に冷やすと茶色くなってくるらしいよー」
「まじで?」
「冷やす冷やすー」
「そういえば免許ってどのくらいかかんの?」
「30万くらいかな」
「だよねー、親?(が出してくれた)」
「もちろん親(が出してくれた)
---



香水は耳につける?/OLさん風2人組
地味な色のコートにパンプス。片方の子の首にはフェイクファーが巻いてありました。


「チカって美人系?」
「美人系だよねえ」
「でもはっきりいって眼鏡かけてた頃とか、超ありえないし」
「超ありえない系だったよね」
「つーかさぁ、今のあの女、まじで魔性だからさー」
「魔性だよねー」
「こないだ携帯のスケジュールに誕生日入れさせてたもん」
「ねー」
「どうすんのかな」
「ねー」
「そういえばあたしー、ジャドールつけてたら超オバさんの匂いとか言われてー」
(※クリスチャンディオールの香水。フローラルな香り)
「えー」
「そうかなあ」
「そうでもなくない?」
「くさくない」
「いやくさいかも」
「まじでー」
「ねえいつも(香水を)どこにつける?」
「耳ー」
「耳つけるよねー」
「でもあたし、ほとんど耳たぶがナイー」
「あはは」
「あと、ひざのうらとか」
「ああ、ひざー」
「なんかねえ、脈のあるとこに付けるのがいいんだってー」
「へえー」
「うち、お母さんコレ(エスカーダセンティメント)つけてるー」
(※ フローラルでオリエンタルな香水)
「えー、アイランドキッスはナミがつかってなかった?」
(※同じくエスカーダの香水。 南国フルーツっぽい匂い)
「そうかもー」
「おいしそうな匂いのやつってさー、リップクリームとかはいいけどさー、香水だと私はあんましー」
「あたしもー」
---

 



有名人のつけてる香水の話/微妙にギャル風の2人組
茶髪にニットキャップ、靴はスニーカー。マスカラをダマになるほど付けていました。


「……ていうかあゆ(浜崎あゆみ)のアルバムかなり欲しいんだけどー」
「なんか何種類もあるんでしょー?」
(※新譜『My Story』は初回盤のみ限定オリジナル・ジャケットが4種類。通常盤を加えると合計5パターンのジャケットがある)
「なんか全身がうつってるやつがいいかなー寝そべってるやつのー」
「あゆってインカント使ってるんでしょー」
(※フェラガモの香水。フローラルフルーティーウッディの香り)
「そうなんだー」
「でもレベル・ドゥ・リッチも使ってるとかー」
(ニナリッチの香水、トマトの香りがベース)
「くわしいじゃん」
「ファンだし!」
「あ、そういえばペ・ヨンジュンってプールオムらしいよー」
(※ブルガリの香水、紅茶やせっけんの香り)
「なんでそんなの知ってるのー」
「ファンだし!」
「あははー」
---



恋とマフラーの話/専門学校生風2人組
黒髪、だけど髪はギャル風のシャギー。中島美嘉っぽい、モテそうな女の子たちでした。


「ヒトミって、メアド変えた? メール返ってくるんだけど」
「なんか金払ってないとか」
「金払ってなくても、メールいかなくない?」
「わかんないー」
「でもさー、メールねー、そういえば、なんか同じサークルでー、好きな人をばんばん変える奴がいてえー」
「げー」
「でもなんかー、彼女とかいてもいつも二股まで持ち込んでー」
「えーなにそれ」
「なんか彼女にずっとメールで相談されてー、ていうかその女にも相談されてー」
「あはは」
「でもなんか面倒くさくなったからメールも冷たく返してたんだけどー」
「いいんじゃん、それで。てか自分は?」
「えー」
「だって続いてるでしょ」
「ねー」
「だってもうちょうど1年?」
「年上だったら今ほど真剣に好きになってないかもーみたいな」
「あはは」
「やる気のある人らで部を作りたいとかゆってて〜、10時くらいまで話してて〜」
「アツいよねー」
「若いっていうかー。こないだマフラー欲しいとかいわれてー」
「あー、マフラーだめらしいよ」
「えー?」
「マフラーをプレゼントしたとたんに別れちゃうらしいよー」
「え、マフラーだめなんだ」
「ダメらしいよー」
「まじで?」
---



オレンジレンジが好きらしい/学生風2人組
キャスケットをかぶった女の子と短髪の女の子。大声で喋っていました。


サムライウーマンかぐと、ゆりの匂いって感じするー」
(※アランドロンの香水、ゆずやピーチの香り)
「えー、てか、もうあんま使ってないよ」
「そういえばそうかも」
「最近、ウルトラマリンつかってる。なんかさあ、サヨコがサムライ使い始めたからやめたー」
(※ジバンシーの香水。フルーツとグリーン系のさっぱりした香り)
「わかる、そういうのー」
「てか、やっぱあの人ダメだよー。あいつなんか人のことばっかりでさー。人の事言う前にさー、自分のなおさないんだもん。今日はまぢでムカついた」
「なんかねー」
「ミナのことブスとかゆってるし」
「自分のほうがよっぽどブスじゃん」
「なんかストパーかけたとか言ってたよ」
「すげえ痛んでるのにね」
「あー……てか眠い」
「ねー」
「かなり夜型」
「明日もでしょアレ」
「んーやめちゃおうかなあ」
「でもさ、昨日トイレでひとりいたらさ、みんなのカラオケすげえもう声きこえてて、響いてたもん」
「まぢで」
「声、でか!」
「でも歌みんな結構うまいよね」
「オレンジレンジとまぢで合コンしたい!」
「あはは、したいー」
「新曲も聴くと必ずスキになるんだけどさー」
「あたし、去年受験んときずーっと聴いてたー」
---

 



バイト先と学校がいっしょ?/ギャル風2人組
茶髪。片方の子はブランドバッグを持っていました。


ベビードールエンジェルハートはもうさー」
(※ベビードールはイヴサンローランの香水、甘い香り。エンジェルハートはストロベリーやピーチなどの香りのするジューシーな香水)
「でもまあ定番じゃん」
「ぶなんー」
「D&Gのライトブルーとかミラクは?」
(※ライトブルーはドルチェ&ガッバーナのシトラス系さわやか香水。ミラクはランコムのフルーティ・フローラルな香水)
「てか、高校のときつけてたー」
エンジェルハートサムライウーマンと混ぜるといいよー」
「うそー」
「いい匂いー」
「あははー」
「サムライ、ミナがつかってるよねー」
「あれ、まじ別れたの?」
「うん、らしいよ。昨日も連れて来た」
「学校きまずっ」
「ミナへこむね」
「学校はいいけどさあ、ああいうときに、女連れとか超しらける」
「ねー」
「しかも女とか超楽しくなさそう」
「ねー」
「あ、なんかあ、あたし超性格悪い女みたいじゃん?」
「そんなことないよ、あたしもそう思うもん」
「でもさあ、クリスマスにシフト入ってるらしいよ」
「げー超ありえない」
「やだー」
「やだやだー」



ちなみにその売り場での香水人気ベスト4は

1位 イン・レッド(アルマンドバジ)
2位 アリュール オム(シャネル)
3位 ベビードール(イヴサンローラン)
4位 ウルトラマリン(ジバンシー)

となっていました。

………香水を買うすべての女の子に幸あれ!!

編集部から

ギャルの会話が耳に入ってくるのは仕方ないのですが、自分のメールのやりとりは他の人の目に触れたくないですよね。ネットではそんな盗聴の可能性があるのです。ウイルスの恐怖展でその防御策をゲットだ。


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