ビデオ屋までの道のり、内田さんに闘牛の話を聞かせてもらった。
闘牛の魅力ってどんなところですか
「闘牛は本能の戦いなの。八百長は絶対にないし、そういう本気のぶつかり合いがしびれるのよね。」
八重山酋長のどんなところに惹かれていたんですか
「誇り高いところかしら。彼は絶対自分がチャンピオンだってことをわかってたわ。負かした牛を執拗に追い回したりしなかった。それに試合が終わると微動だにしないのよ。それはもう、かっこよかったわね。」
僕が去年闘牛を見に行ったときには「あかりパンダ」という牛がチャンピオンだった。そのことを内田さんに話すと
「あかりパンダもね、いい牛だったんだけど実はあの牛、右目が見えないのよ。」
詳しすぎるのだ。
「酋長はね、石垣出身でもともとは八重山闘牛組合ってところ所属だったの。だけど全島チャンピオンにするために本島の牛主のところへ預けられたのよね。」
話からも内田さんの並々ならぬ牛への愛情を感じる。へたな相槌を打つと車から降ろされそうだ。そんなぴりぴりした道中を経て、僕達は屋良闘牛ビデオへ到着した。 |