泥棒っぽい僕ら
400円で時間無制限でみかん食べ放題だ。500円払うとカゴいっぱいに持ち帰りできる。なんだかすごく安い。
「こぶりのがおいしいですよ」
「こっちにたくさんなってる」
よかった。それなりに盛り上がっている。ふたりがなんとなくみかん泥棒のように見えたのだがそれは黙っておいた。ふだん、夜しか行動してないせいだろうか。か、服装のせいかもしれない。宮城さんはこれぞ場違い、というブーツを履いていた。
宮城さんがきゃあと声を上げた
宮城さん 「いえ、葉っぱの裏にセミの抜け殻が」
横山さん 「なーんだ。…でも、カップルだったらきゃあきゃあ言うんだろうな」
林 「でもカップルがこんなところきたらチューとしかして、みかんどこじゃないんじゃないですか」
横山さん 「みかん狩りは男同士がベストだ」
宮城さん 「これが全部CDだったらいいなって思います」
かみあってない会話だが、たぶん盛り上がっている。
宮城さんがみかん畑にしゃがんでいるとフランスの文芸映画のワンシーンみたいだ。泥棒じゃなくなってきた。
林 「『伯父さん』って感じですよ。泥棒じゃなくて」
宮城さん 「いや、でも僕28歳ですよ」
がーん。年下だった。
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