西はどっちだ
川の博物館から最寄りの駅は東武東上線の「鉢形」。徒歩20分ほどだそうだ。来る途中にバスの運転手に聞いておいた。
「ここまっすぐ行くと交差点があるから、そこを西に曲がればいい」
西?
そんなドラゴンクエストみたいな指示のされてもわからない。しかし地図上では西と言えば左だ。
交差点を左に曲がって歩き出す。散歩がてら写真を撮りながら。
やっぱり迷った
猫とか鳥とかとってるあいだに実は1時間ぐらい歩いていた。駅がある気配はまったくない。どこだここ。
寄居の人は親切だ
前から歩いてきたおばさんに道を聞く。あなた逆方向にあるいているわよ、とのこと。こうなったら隣の駅まで歩いたほうがいいわよ、とアドバイスをもらう。おばさんは親切に地面に石で道を書いてまで教えてくれた。
おばさん 「あそこに東上線の線路が見えるでしょ」 僕 「あ、よく見るとありますね」
そこに東上線がたまたま通りかかる。カタンカタン。
おばさん 「あ、昔の東上線が走ってる!」 僕 「あ、ほんとだ!」
東上線はイベント中で、むかしのペイントの電車が期間限定で走っているのだ。それがたまたま通りかかった。
道に迷って、子供のころに乗った電車を見るなんて、安っぽいSFみたいだ。そして電車で興奮する初対面のふたり。なんなんだ。
その後、また道に迷い(親切なおばさんすいません)、もういちど道を聞いてようやく駅に着いたころには日が暮れかかっていた。
まけおしみなんて言ってない
地図が好きなので道に迷わない自信があった。
道に迷う人がうらやましい、と思ったこともある。道に迷った人のあてのないロードムービーみたいな文章が好きだからだ。僕も書いてみたいと思っていた。しかもたくさん歩いて(都合8キロぐらい歩いた)、かつ丼のカロリーが消費できて結果オーライだ。
わらじかつ丼、水車、なまず、そして広大な畑、親切な人々。並べるとぶらり途中下車の旅みたいだ。期せずして埼玉を満喫した1日だった。ディスカバー埼玉、このレポートの主題はそれである。
data
安田屋:玉県秩父郡小鹿野町小鹿野392(マップルネットでの詳細情報) さいたま川の博物館:埼玉県大里郡寄居町小園39番地(ホームページ)