新千円札のモデルとなった写真
ネット上で新千円札のモデルとなった写真を見つけた(写真1)。福島県にある野口英世記念館が所蔵している肖像写真だ。
記念館に電話をかけて、肖像写真について伺った。
「この写真は、英世が41、2才の頃に撮影されたもので、英世自身とても気にいっていたようです」
気に入っていたという証拠に、写真の左隅にサインが入っている。現存する野口博士の写真は多数あるが、サインが入っているのはこの写真だけ。
「今から3年前の10月、財務省の人が来てこの写真を借りていったんです」
その時は印刷技術の検証の為という理由だったので、まさか野口博士が新札の肖像になるとは想像もしていなかったとか。しかし一昨年の8月2日、新紙幣発行が発表され、そこで初めて野口博士が千円札の肖像に選ばれた事を知った。
後日、財務省から連絡が入り、この肖像写真をもとに手描きで肖像画を作成するとの説明があった。お札の肖像画は写真印刷ではなく、手描き絵なのだ。確かに、仕上がった見本紙幣(写真2)とモデル写真を見比べると、ヒゲの感じや髪のウエーブ、ジャケットの色など微妙に違う。
写真のディテールを教えて下さい
今回の企画では、この肖像写真を真似て写真に写り、最終的に新札の肖像画にどこまで近づけるか挑戦する訳なので、写真の中の野口博士についてもう少し聞いてみた。
--ジャケットの色とか素材とか、分りますか?
「いやあ、さすがに分らないですね。そういう記録は残っていないので」
--(肝心の)髪型ですけど、これはパーマですか?
「ええ、パーマもあててると思いますが、もともとくせ毛だったらしいです」
野口博士はくせ毛だった。
くせ毛にパーマをあてる事で、あのボリュームを実現していたのだ。
服装についての詳細を知る事は出来なかったが、とにかく、野口博士を真似る為の小道具を調達しなければいけない。
卸問屋が立ち並ぶ日本橋馬喰町に向かった。
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