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ゲストの日曜日
 
そうだ、アリゾナへ行こう。沖縄の
アリゾナ?日本?

アリゾナ、とい地名を聞いてまず何を思い浮かべるだろう。グランドキャニオン?インディアン?サボテン?とにかく雄大な風景ばかりが思い浮かぶ。
アリゾナはアメリカ南西部に位置する広大で荒々しい自然を有する州だ。自然大好き。夏休みだし行ってみたい。だけど少し遠いな。そんなあなたに朗報が。魅惑のアリゾナを日本にいながら体感できてしまう場所があるのです。それがここ、沖縄県南部、糸満市にある「ひめゆりパーク」だ。広大なサボテン園を有するこのテーマパークは沖縄のアリゾナとまで呼ばれているらしい。日本のアリゾナではなく沖縄のアリゾナ。沖縄というずいぶん限定されたところにアリゾナを見出しているあたり、日本人特有の謙虚さも感じられる。遠くアリゾナ砂漠に沈む夕焼けに思いを馳せつつ、沖縄のアリゾナへ行ってきました。

(text by 安藤昌教


突然巨大サボテン(コンクリート製)のゲートが目の前に

アリゾナはサトウキビ畑を越えて

目的のひめゆりパークは沖縄県南部、有名なひめゆりの塔の近くに位置している。

目的地までの道がまったくわからない僕達アリゾナへ行きたい一行は、地図でサボテン園サボテン園と探していた。実は現地に着くまで、サボテン園の正式な名称がひめゆりパークだということを誰も知らなかったのだ。これではアリゾナがどこの国にあるのかすら知らないまま飛行機に乗っちゃった、みたいなものだ。大丈夫か。

まあだいたいこの辺だろうと目星をつけて国道をそれると、車はいつのまにかサトウキビ畑の真ん中を走っていた。沖縄のアリゾナどころかこれではもろに沖縄の沖縄だ。不安な気持ちを抑えつつ畑を横切る田舎道をひた進むと、突如として巨大なサボテンのゲートが現れた。

もしかして、ここがアリゾナの入り口なのか?


この先、アリゾナ

ビンゴだ。

道に迷ったと思っているうちに、僕達はいきなりアリゾナに着いてしまっていたのでした。

巨大サボテンのゲートをくぐり、しばらく車を進めるとひめゆりパークの入り口にたどり着いた。しかし門の両側には僕たちの行く手を阻むかのような勢いの石像がにらみをきかしている。この先はアリゾナですが本当に行くんですか、とでも言いたげだ。


いらっしゃいまし

入り口のゲートをくぐると、そこにはさらにサボテン園への入り口が。進む先々にどんどん入り口が出現する。しかもそれぞれのゲートには、入り口とトイレとのどちらかしか選択肢はない。

サボテン園の入り口にはなぜかライオンが半笑いで座っていた。荒涼としたアリゾナを期待してきた観光客は、まずここで一度ひざをがくっとやられる。僕達もしばし言葉を失った。

「あれって、シーサー?」
「いや、ライオンに見えるけど・・」
「・・ライオン?」

沖縄では門の両側にシーサーという獅子に似た守り神が置かれていることがよくあるが、ここのは紛れもなくライオンだ。シーサーのワールドワイド版という意味なのかもしれない。

しかし沖縄のアリゾナの本気はここからだった。



陽気なおじさんが近づいてくる「機関車乗ってかない?」
ねえ、乗ってかない?

アリゾナ人に呼び止められる

半笑いライオンの横を通り過ぎパーク内へ足を踏み入れると、どこからともなくおじさんの声が聞こえてきた。

「サボテン園は広いよー、2キロ以上あるよー、歩くとすごく時間かかるよー。機関車乗ってかなーい?」

陽気な声に引き寄せられるように近づくと、ウェスタンハットをかぶり首からポーチを下げたおじさんがにこやかに話しかけてきた。第一アリゾナ人発見だ。僕の実家の親父と同じくらいの年齢だろうか。

おじさんいわくサボテン園は途方もなく広いので(10万平方メートル=東京ドームなんと8個分)普通に歩くと一時間くらいはかかってしまうとのこと。

広いアリゾナを体感するためにも自分の足で歩けばいいやとも思ったのだが、おじさんの陽気な説得に心打たれ、というかすでに笑顔で切符を取り出しているおじさんの目にやられ、料金を払って機関車に乗せてもらうことにした。


乗らせていただきます

この機関車、実際はエンジンで走るデコレーションカーでドイツ製。そういえばこのテーマパーク、実は台湾の企業が経営を行っているらしい。

つまり沖縄のアリゾナで走るドイツ車は台湾企業のものなのだ。ややこしい。そのためかパーク内の看板は日本語の他に、中国語、英語が併記されている。ここに来るだけでアリゾナだけでなく、細かく海外3カ国を体感することができてしまうのだ。なんと、これはお得ではないですか。


 

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