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特集


ロマンの木曜日
 
7センチ背が伸びた

早速履いてみた

シューズが届いてスーツも新調した。後は履いてみるだけだ。
一体、7センチ高いっていうのはどんな景色なのか?


使用前 使用後

対象物がないと分りづらいと思い、打ち合わせにみえていた林さんに並んでもらって写真を撮った。そして、写真をプレビューして愕然とした。
こんなにも違うものなのか!
使用前の写真なんて、林さんの後頭部しか見えていない。改めてがっかりさせられる。
それに比べて使用後の写真の立派なこと。威風堂々とは、こういう事を言うのだろう。目線の先にあるものは希望。

「高い、高いっすよ」
「ええ、いつもの住さんじゃないですね」
「全然、分らないですよね。履いてるって」
「え、ええ、膝下がちょっと長過ぎる様な気がしますが……」
「えっ? 本当ですか? 裸の王様になってます?」
「い、いや、大丈夫です。うん、大丈夫」

事務所の中を歩いてみる。踵の弾力が思ったより強く、歩く度に体がフワフワする感覚。心も体も浮き足立っている状態とでもいいましょうか、踵からミシミシ音がしている。

若干サイボーグっぽい歩き方になるけど、細かい事は気にしない。
とにかく町に繰り出す事にした。


いつもの壁も

壁から頭の先が出ている。ちょっと背伸びをすれば、庭の中だって覗けてしまう。
凄いぞ、7センチ。

例えば座敷で飲んでいて、酔った誰かが僕のシークレットシューズを履いて帰ったとする。その日は酔っているから気付かないとして、翌朝、その靴を履いて電車に乗って気付く、
「あれっ? 俺、背伸びてる」

それくらい、ドラスティックに視線が上がる。


電車の中で つり革は把手の上をわし掴み

空いてる車内でも僕は座らない。なぜなら、少しでも長く、この高さを楽しみたいから。

ちょっと前のめりで、マイケルジャクソンのビリ−・ジーンみたいになっていますが、気にしないでください。


立ち食いそば屋にて

座って食べられる立ち食いそば屋でも僕は座らない。
立ちっぱなしで、ちょっと疲れてきたが、まだまだ物足りない。

夜の街に繰り出します。


 

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