対象物がないと分りづらいと思い、打ち合わせにみえていた林さんに並んでもらって写真を撮った。そして、写真をプレビューして愕然とした。
こんなにも違うものなのか!
使用前の写真なんて、林さんの後頭部しか見えていない。改めてがっかりさせられる。
それに比べて使用後の写真の立派なこと。威風堂々とは、こういう事を言うのだろう。目線の先にあるものは希望。
「高い、高いっすよ」
「ええ、いつもの住さんじゃないですね」
「全然、分らないですよね。履いてるって」
「え、ええ、膝下がちょっと長過ぎる様な気がしますが……」
「えっ? 本当ですか? 裸の王様になってます?」
「い、いや、大丈夫です。うん、大丈夫」
事務所の中を歩いてみる。踵の弾力が思ったより強く、歩く度に体がフワフワする感覚。心も体も浮き足立っている状態とでもいいましょうか、踵からミシミシ音がしている。
若干サイボーグっぽい歩き方になるけど、細かい事は気にしない。
とにかく町に繰り出す事にした。
|