◆隙だらけの立入禁止
柵越しの禁忌ゆえに気持ちを駆り立てられた立入禁止を見てきたが、逆に隙だらけの立入禁止というものもある。本気で禁じているのかと疑念を持つくらいに自然体の立入禁止だ。軽やかに通り抜けられる立入禁止はあまりにも魅力的だ。
こうして書いてみると、柵があろうとなかろうと、立入禁止というものは節操なく魅力的であることがわかる。
改めて表示を読んでみると、丁寧な物言いが逆に歯がゆく感じられる立入禁止。やっぱりご遠慮しなくちゃだめなのか。先にある屋上を示す「R」の表示もうらめしい。そんな自分にできることは「お客さまなのに…」と、立ち尽くすだけだ。
●みんな落ち着くんだ
マンション裏の駐輪場での表示。自転車が出入りする故なのだろうが、間口はあくまで広く、物理的な意味ではかなりスカスカ感漂う立入禁止の姿となっている。 それにしても気になるのはずいぶん多いタイヤのスリップ痕。関係者以外の者が人目を忍んで入るならともかく、住民であるならばあわてることなく落ち着いて自転車を操作すればよいのではないだろうか。
●知が心を乱す立入禁止
地下駐車場での一枚。写真の下は階段で階下につながっているのだが、この表示以外は特に何もなく、普通に行けてしまいそうな状況。間違えて入るのをせき止めるかのようにこの表示が掲げてある。 アンダーグラウンドな機械室という魅力的な設定に心ひかれずにはいられない。どうせ禁止させるなら、この下に機械室があるなんて知りたくなかったと言いたい。
立入禁止めぐりで変わる自分
ずっと気にはなっていつつも、これまでわざわざ意識してめぐることはなかった立入禁止。
あいまいな憧れをはっきりさせるために今回めぐってみてわかったのは、立入禁止を無益に意識化することで、結果として屈辱的な思いが際立ってくるということだ。
妙なテーマで立入禁止をめぐることで、どんどん卑屈な気持ちになってしまった気さえする。
こんな立入禁止との出会い方はやっぱりおかしい。これからは意図的に立入禁止をめぐったりすることなく、あくまで自然体で立入禁止との一期一会の出会いを大切にしていこうと思う。