人工物は右回りが多い
「ねじが右回りだから、それを使って作る工業製品は右回りになるんです」 なるほど。 「もっと言えば、右利きの人が多いって事ですね」 右利きの人が使いやすい様に作ると自然と右回りになる。極めてシンプル。
確かに、回転寿司が左回りだと右利きの人は取りづらい。
「左足を軸にして右手を使う、っていう動作が日常的に行われている訳です。例えば自動販売機や自動改札がそうですね」
そういった右利き社会での生活自体がいわゆる「右回り」な訳で、それは消費、消化、老化の道を進んでいるって事で、だからこそ左回りが必要なのだろう。
段々左回りの必要性が分かってきたが、ここで1つ疑問が…… --左利きの人には逆に右回りがいいんでしょうか?
「いや、左利きの人にも左回りです。というのも、世の中が右利き社会な訳で、左利きの人たちも右利きの人と同じ姿勢を強要される訳です。だから左回りが有効ですね。心臓が右側にある人は別ですが……」
もちろん、体型にはそれぞれ個人差があるので、全ての人たちに対して左回りが有効な訳ではない。
「ちなみに遊園地の乗り物は右回りのものが多いんですが、それはスリルを味わう類いの乗り物で、例えばメリーゴーランドの様にゆったりと楽しむものは、やっぱり左回りですよ」
本当だ。 僕の知らない所で知らない間に、左回りと右回りのせめぎ合いが繰り広げられていたのだ。
「な、なんてことだ……」
すっかり左回りの健康法則を痛感させられた僕は、とにかく沢山左回りの出来る場所、遊園地に行こうと思い立った。
遊園地で左に回りまくって十二指腸潰瘍を治そうと思う。